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2022年上半期の松重まつり

mattige〜まっちげ〜松重   

わたしは俳優の松重豊さんのラジオ、深夜の音楽食堂を愛聴しており、今年からは放送で印象に残ったことを“まっちげ手帳”に記すようにした。
“まっちげ”というのは、松重さんが老舗Tシャツ会社の久米繊維工業とコラボした“mattigeTシャツ”からとった。mattigeTシャツを着てまっちげ手帳を見ながら、このnoteを書いている。
ラジオの内容以外でも、手帳には、松重さんのお仕事を追える範囲でメモしている。

特に騒がれてはいないが、松重さんは今ブレイクしているんじゃないかな?と思っている。
数年前に職場の人に松重さんのことを説明したら
「ああ、深夜に食レポしてる人?」
と言われ、言葉を失いかけた。
ブレイク中(私調べ)の今なら“ふっ、孤独のグルメを深夜の食レポに例えるなんておもしろい。いいじゃないかいいじゃないか”と主人公、井之頭五郎の口調でこたえられる気がする。
今年前半の松重さんの活躍ぶりは多岐に渡っている。
ある時はオペラ「アルルの女」の語りを。
またある時は大相撲のゲスト解説を。
池上彰と地図を見ながら散歩したりあんみつを食べてたと思えば、小林聡美さんの隣でツユクサの草笛を吹いていたりする(という恋愛映画にも出ている)。

バズる豊 

今年に入り、松重さんがネットでトレンドに上がっているのを何度か見かけた。
とくに盛り上がっていたのは、ヨウジヤマモトコレクションでモデルを務めていた時と朝ドラのカムカムエヴリバディの伴虚無蔵が登場した時だったように思う。

ヨウジヤマモトコレクションで松重さんが“老虎残夢”という文字の入った衣装をまとい、ランウェイを歩くのをみた時は震えた。白髪のパンクス降臨という風情が、当たり役井之頭五郎のイメージとのギャップを生み、ネットが騒然としていた。松重さんも「バズってると言われた」とラジオで話していた。
いっぽうカムカムエヴリバディでは、京都太秦の大部屋俳優・伴虚無蔵を演じていた。
下火になっていく時代劇を縁の下で支える役どころで、主人公たち若い世代の拠り所になり、自身も底力を見せるという、メインではないけれど要所でいぶし銀の光り方をしていた。虚無さんの言葉がひなた(主人公)を後押ししたとか、早く言ってよ〜とか、放送時のネットでは、感動と大喜利が渦巻いていたように記憶している。

辞書をつくる男 

松重さんは現在、TBS系火曜日22時のドラマ「持続可能な恋ですか?」に出演している。
主人公役の上野樹里の父親で、娘と共にダブル婚活をする沢田林太郎、かの逃げ恥と同じ枠で、井川遥演じる整形外科医の明里と出会い、どう展開するの?という役どころだ。
カムカムエヴリバディの伴虚無蔵のモデルは、斬られ役のレジェンド福本清三さんらしいが、“じぞ恋”沢田林太郎にもモデルがいる。国語辞典の編纂者、飯間浩明さんだ。
ドラマでは林太郎が繁華街に出向き、看板を撮影したり街を行く人たちの会話を聞き取る“用例採集”の場面があったが、実際にそういう調査をすることもあるらしい。
5月10日、17日の音楽食堂ゲストが飯間さんで、知られざる国語辞典にまつわる話を聞くことができた。
放送を聴き、わたしも家に眠っていた広辞苑第三版を引いてみた。
紙を漉く技術がバージョンアップすると辞書の新しい版をつくることになるらしく、世の辞書マニアには“紙フェチ”というタイプもいるそうだ。
また辞書により編者の日本語感が反映されるらしく、岩波は古い言葉を多く載せ、新明解は言葉の説明が長めで、飯間さんの三省堂は簡潔であるらしい。
この頃はよく、この言葉の使い方は間違っているという論争が起こったりするが、どちらか一方が絶対に正しいという例はあまりないそうだ。
ネットでそういう争いを見かけた時は、静かに紙の辞書を引き、クールダウンするのも手かもしれない。

ドラマの林太郎は、娘からは生活力ゼロと思われているどこか浮世離れした人物で、だけど娘を思い、自分も妻を亡くした悲しみから立ち直ろうとしている。
恋愛模様がメインだが、登場人物それぞれに、家族や他人を思いやる気持ちが流れているのが心地よい。
整形外科医の明里から、骨格をほめられた林太郎だが、松重さんの着こなしが毎回楽しみでもある。
以前、孤独のグルメをみていたら、伊豆の踊り子の銅像の手を井之頭五郎がそっと握るシーンがあり、自分内でこれはラブシーンでしょうと認定していた。
生身の人間に恋をする松重さんがみられる日がくるなんて、嬉しいじゃないか。




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