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映画館で映画を

映画の日のハプニング 

毎月1日の映画サービスディが平日休みと重なり、ここぞとばかりに映画館へ繰りだすと、チケットカウンターの前に行列ができていた。
朝9時からの上映をみようと思い、ギリギリに到着したのだが、列は動いている様子はなく、どうも様子がおかしい。カウンターのスタッフと話している客の会話から、正社員が出勤しておらず、開場ができないのだということがわかった。
対応するスタッフは、というか館にそのとき存在していたスタッフは全員バイトであるという。
来るはずの社員とは連絡がとれず、別の社員(あるいは本部のような所?)と連絡をとっているところであるが、そちらともまだつながっていないのだという。
うわー、内部事情がつつぬけではないか。
こういう場合、機材のトラブルとか発券システムが異常でとかごまかさないんだな。これが令和ということなんだろうかと、妙に感心してしまった。
その映画館は駅前のビル内にあり、シネコンではなくマイナーめのロードショー作品をメインに上映していて、同じフロアにはレストランがある。
レストランのスタッフが従業員入口から入ってきて開店準備を始めたが、我々の救世主はあらわれず、朝の回の上映は無いという結果が館から発表された。

わたしは犬王をみたかった。
南北朝時代の伝説の能楽師を題材にしたアニメーションで、主役の声は森山未來と女王蜂アヴちゃん。キャラクターデザインは松本大洋、音楽は大友良英、脚本は野木亜紀子、むっちゃいかつい。
そのいかつい作品に松重豊さんが声の出演をするのでみにきたんだけど。
ここで次の回の上映ができたとしても、スケジュールをみるとお昼を過ぎてからになってしまう。電車に乗って別の上映館に行こうか‥と悩んでいたら、館から招待券を配るというアナウンスがあった。
うぇーい。
わたしは顔には出さないように心でそう言った。
スタッフではなくお客発信で「オンラインで予約した人とそうでない人では不公平ではないですか?」という気づきがあり、カウンターの前にはオンライン予約した人、してない人の列が分けられ、わたしはしてない方だったけど、招待券をもらいその場を去った。

トムに会いに行こう

犬王は後日、招待券でみよう。
でもせっかくの映画サービスディだからこのまま帰るのは惜しい。
駅前には別の映画館があったが、スマホで検索すると朝イチの上映はもう始まった後だった。こうなったら封切りされて間もないトップガン マーヴェリックをみようじゃないかと検索を続ける。すると少し離れた場所の映画館で11時から上映しているのを見つけた。
松重さんごめん、わたしトムに会いに行くわ。
そう心の中で入れなくてもいいことわりを入れ、やや街はずれな場所にある映画館に向かう、一時間に2便通うバスに乗り込んだ。

結果から言うと、トップガン マーヴェリックは素晴らしかった。
冒頭の朝ごはん食べて出勤するトム・クルーズ、なんであんなにかっこいいの?
サングラスって、トム・クルーズのために神が作ったの?
もしこの先、意識を失うようなピンチがあったらデンジャーゾーン流してくれたら復活すると思う。
いろいろツッコまれているみたいだけど、戸田奈津子の字幕をみると、洋画を観てる!って気分になる。
映画館でみる映画、楽しいー! 
なんだかアホみたいな感想だけど、それにつきるという作品だったように思う。
後で調べて知ったのだけれど、トムの考えで役者さんたちは飛行訓練を受け、実際にGを受けて撮影していたとか。CGを使わず、配信はせず、劇場公開にこだわった彼の熱量が伝わってきた。トム、顔だけじゃない。

映画って

映画を映画館でみる意味とはなんだろう。
大きな画面と臨場感ある音響はもちろんだけど、自分以外の人とその場を共有することはやはり大きいのかな。
公開期間を気にせず、配信されたものを家でみるのも気楽でいいけれど、真っ暗な場内でしんとした気持ちで本編が始まるのを待つのは、特別で大切な時間かもしれない。
そうは言ってもサービスディを極力狙い、あまり飲食もしない自分は、映画好きではあるけれど映画ファンだとは名乗れないような気がした。太い客じゃなくて、ほんとすまないです。
せめて、複数の、得意分野が違う映画館に足を伸ばせる環境は当たり前ではないということを心に刻み、鑑賞マナーを守って楽しもうと思う。









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