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インパクトから考えたい公共投資

現在、ある自治体における公共施設の跡地利活用問題の検討に関わっていて、いろいろと思うところがある。

検討委員会の中では、長年使用されてきた公共施設が寿命を迎え、耐震上も問題があるため、取り壊しが決まったのだが、その後の活用方法が未定となっている。そのため、跡地に新たな施設を作るのか、作るとすればどのような機能を持ったものにするのか、といったことが議論されている

議論の中では、新たな公共施設に求められる機能と要件が整理され、市民アンケートに基づいて、市民側が必要と考える要素の絞り込みを行うことが検討されていた。

ただ、この中で私は強い違和感を感じた。それは、並べられた項目の中から市民ニーズの高い項目を単純に選べばそれでいいのか、という疑問だった。

市民にしてみれば、並べられた項目を見てみれば、属性によってそれぞれ趣向は異なるものの、恐らくどれも重要なものに見えたに違いない。

なので、市民に対して尋ねるべきだったのは、施設の機能ではなく、施設があることによって生じるアウトカム(状態変化)や、その先にあるインパクト(社会的影響)だったのではないだろうか。

どうも議論が空回りしているように感じたのは、ここの辺りに原因がありそうだった。

本来であれば、市として、そして市民として、その場所に求める状態があって、その状態を実現するために必要な機能が議論されるべきはずなのだ。

企業経営でいえば、ビジョン・ミッションがあって、その上でどんなビジネスモデルを考えるのか、という順番と同じことだろう。

この順番があべこべになってしまうことで、本来市民や市が望んでいたものが出来なくなってしまっては元も子もない。

この辺りのことを会議の中でも一生懸命に伝えたつもりだったのだが、上手く伝わったのかどうか。。。若干心許ないところではあるが、ひとまず機能をいきなり絞る、という結論は先送りされることとなった。

公共投資においても、社会的インパクトから逆引きして、どういう結果、状態を実現したいのか、そのためにどんな施策を打つ必要があるのか、という、組み立てが必要なはずだ。



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