未プレイ勢が映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』を観たときの感想
今さらだけど、映画『ドラゴンクエスト ユアストーリー』を公開時に観たときの感想を書く。
私はドラクエファンの友人に付いていっただけで、ドラクエについては大雑把には知っていたもののプレイ経験自体は皆無だった。
そんな人間が当時ほぼまっさらな状態で鑑賞し、何に対してどう思ったか書こうと思う。
ちなみに最後の5分くらいまでずっと真顔で観てました。ラストのラストで手のひら返し。
正直、割と終盤までは「(つまらなくはないけれどこんなもんかぁ)」くらいの気持ちだった。
「(そっちのヒロインルートでいくのね。ただ振るだけではなかったとはいえ、あっち派の人は残念だろうな)」「(尺の都合で仕方ないとはいえ、こんなん原作ゲームと似て非なる物語なんだろうな)」なんてことを他人事のように考えていた。
だけど最終盤、問題のあの展開で一気に引き込まれた。
話題になったシーンだから今更だけど、万が一知らない人がいるなら是非この先のネタバレは見ずに映画を観てほしい。
まぁあの‘ラスボス戦’については、驚きはしたものの私は前から「(趣味くらい他人を気にせず自分の好きなように楽しめや)」と思っていたので、割と茶番劇と感じた。
だがその後、一人の青年がラスボスを倒し、「リュカ」としてゲームに戻っていく。その先でヘンリーからお前が勇者だと言われ、自身もそう自覚する。
そのシーンでハッとさせられた。
ゲームでは‘勇者’ではなくただの一般人だった「ドラクエVの主人公」が映画では勇者と呼ばれた。
何故か。それはただの一般人である「ユアストーリーの主人公」がドラクエへの愛を携えてラスボスを倒したから。
これらのことから、自ずと一つの考えが浮かんだ。
勇者の条件は、生まれや血筋ではなく情熱だ。
勇者は、先天的に決まっていたり他人が決めるものではない。
後天的に自分の中でそうだと思うものだ。
この映画における勇者とは、画面の中の一人だけではなく、観客全員がなりうるものだった。観客の心だけに留まらず人生経験にまでメッセージを訴えてくる作品だった。
VRゲームをプレイしている「ユアストーリーの主人公」と、映画を観ている我々観客の状況が近く感情もシンクロしやすいってのもあったと思う。
だからドラクエに関してお客様気分だった私にも深く刺さった。
何なら私はお客様気分どころか、(好きなものもあるとはいえ)ゲームについても割と‘ラスボス’に近い考えを持っていた。
それでも刺さったのは、ドラクエファンにおけるゲーム体験のようなものが自分にもあったから。高校時代の部活だ。センスもないし結果もしょっぱかったし(進学校だったので)あまり理解も得られなかったが、半ば意地になりながら夢中になった。
まさか名前くらいしか知らないゲームの映画でこんなことを懐古するとは思わなかった。そしてそんなゲームに急に親近感が湧いたのである。
このように新たな切り口から部外者を新規客として巻き込めるのは、シリーズ関連作が本来持つべき大きな強みだと思う。
そして、人生経験に訴えてくるだけあって、シリーズファンのプレイ経験も尊重していると感じた。
もし仮にゲームのシナリオを最大公約数的に映像化したとして、それは自分のゲーム体験と似て非なるものじゃないだろうか。
この映画も、もしあのまま終わったとして、例えばフローラ派の人なら「お前のドラクエVは偽物。本物はこれ」と言われているように感じるかもしれない。または「俺の中の強敵はブオーンでもゲマでもなく○○なのに」と思う人もいるかもしれない。
それを「この物語は一個人のプレイですよ」と開き直ることで、そんな各々のこだわりを尊重した作りになっていると感じた。実際、公開後は皆自身のドラクエ思い出トークに花を咲かせていたように感じた。
『ドラゴンクエスト ユアストーリー』はドラクエ経験の有無に関わらず、観賞後に各々の大きな経験を思い起こさせる映画だった。
コンテンツを楽しむ側からみて、映画は一方的に話を語られる、こちらが基本的には受動的になるものである。対してゲームは製作者から用意されたものとはいえ、こちらも能動的になって体験するものである。よって映画とゲームは相性が悪いと前から思っていた。
しかしこの映画はそうではなかった。ゲームのような映画だった。こう一言で言うのは簡単だが、映画界の巨匠がゲームを、ゲーム界の巨匠が映画を、製作陣がシリーズファンや観客を尊重したから生まれた作品だと思う。
以上です。
読んでくれてありがとうございます。
~映画鑑賞前のある日~
友人「勇者じゃないやつ一人混じってるwwwww」
ワシ「集合絵なのに仲間外れとかwwwww」
観賞後ワシ「リュカよかったね(;_;)」
追記
今はドラクエシリーズにはまっています。ロト三部作やりました。3つともむっっっちゃ楽しかったです。天空シリーズも集めてて、番外編まで気になってきた……
何がオススメなんだろうか、、、作品多すぎて分かんね。ナンバリングはいつか制覇したい。
ロト三部作や、それを踏まえた上でのユアストーリーの感想もいずれ書こうと思ってます。どれも長くなりそう。
11/29 ドラクエ1の感想書きました
https://note.com/reachtsumodora6/n/n21ffb6ee69ba
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