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食べ物についてのあれこれ(麻辣編)


以前のグリーンカレー編に引き続き食べ物シリーズ。

麻辣とは、麻:花椒(ホアジャオ、中国版の山椒)と、辣:唐辛子(辣油とかに使う字なのでこっちは馴染みがあるはず)の組み合わせの味付けのこと。山椒の痺れ系の辛さと、唐辛子の燃える系の辛さ両方を持つ味付けで、四川料理でよく使われる。
(と、認識している。プロじゃないので細かいところはわからない。)

今日寒かったので、帰りにコンビニで担々春雨スープ的なカップスープを買って食べた。そしたら、ちゃんと麻辣系の味がして美味しかった。ふと、この間お店で食べた担々麺が麻辣の味じゃなくて、山椒の味しなくて唐辛子だけで、美味しかったんだけど期待した美味しさじゃなかったのを思い出して、調べてみた。そしたら、四川で発祥した担々麺は麻辣系の味付けで、しかも汁なしだったけど、日本に持ち込まれ、日本人の好みに合わせて行った結果、汁ありになり、胡麻と唐辛子ベースになっていったらしい。その過程で山椒要素は影が薄くなり、店によっては消えていったのだと思う。結構お店で食べる担々麺、花椒の味しないものも多い。麻婆豆腐も同じ気がする。麻辣系料理のはずだけど、唐辛子系の辛さしかしない時も結構ある。

日本人、鰻に山椒かけるのに何で山椒要素が消えていったんだろう。ちょっと謎だ。


私は麻辣の味付けがとにかく好きだ。

学生時代某油そば屋でバイトしていて、油そばは特別好きではなかったけど、サブメニューの麻婆豆腐と、店で独自に作っていた山椒辣油がめちゃくちゃ美味しくて、大好きだった。

オーナー2人が大陸料理の研究熱心な人だったので、夜な夜な中国から仕入れてきたスパイスをでっかい鍋で煮込んだりしてた。その油そば屋は結構期間限定で麻辣系の味のメニューも出したりしていて、それがすごいおいしかった。
そのオーナーたち、油そばとは別に、最近担々麺専門店を出してて、たまたま近くに用事があった時に寄って、おすすめの汁なし担々麺食べたらめちゃくちゃ美味しかった。山椒の主張が強くて、でもちゃんと唐辛子の辛さもあって、やっぱりこの人たち麻辣系の味付けの天才だな、と思った。市ヶ谷にある、桐梓林(トンズリン)っていうお店。めちゃくちゃおいしいのでぜひ。


私の麻辣好きは圧倒的に山椒側に原因がある。唐辛子的な辛さは特別好きじゃない。山椒は結構異常なレベルで好きで、家に花椒パウダーを常備しているくらい山椒系の味が好きなのだ。

人の好みって、幼少期の影響が結構大きいというか、ほぼそれで決まると思う。小さい時よく食べさせられていたものを好きだったり、その反動でそれが嫌いな食べ物だったり。滅多に食べさせてもらえなかったものが特別感があって好きだったり、慣れなくて嫌いだったり。あとはたまたま体調悪い時に食べて気持ち悪かったものが嫌いなものになったり。

私にとっての山椒はというと、山椒との出会いは結構特殊で、思い出深い。

私はすごく田舎の山の中の村の出身なので、幼少期、道もない山の中に入って遊んだりキノコや山菜を取ったりしていた。その中で、野生の山椒がたまに生えていて、親に「これはサンショウって言って、実がなっていたらビリビリするけど食べれるよ」って言われて、実がなっているのを見つけた時食べてみたら、刺激が強すぎて、涙目で慌てて水を飲んだ。その後、周りの友達との間でちょっとした度胸試し的な感じで山椒が流行り、一気に何個食べられるかという遊びをしていたことがあった。山椒の実は、一気に何個か口に入れて噛むと、舌が麻痺して、しょっぱいような酸っぱいような味がしてくる。水を大量に飲んでもしばらくは舌の痺れが消えない。体調すら悪くなった気がしてくる。
その頃は、山椒の痺れは誰も好きじゃなかったからこの遊びが成り立ってたはずなのに、しばらくずっと山椒を食べる機会がなくなっていて、ふと気づいたら、山椒の味を求めるようになっていた。クセになる刺激。どう転んで好きになったかはわからないけれど、私の異常なレベルの山椒好きの原点はこの経験にあると思う。

以前得た刺激が、その時は結構ガツンときたのに、少し経つともの足りなくなってさらに刺激を求めてしまう、これってドラッグの依存と同じサイクルかも。やばいやばい。まあでもドラッグは極端でも、刺激を経験してしまうとそれを上書きする刺激を求めてしまうの、人間の性質だとは思う。そう考えると私の山椒好きは不思議じゃないな。

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