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日常(裏面)vol.1

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天気: 晴

朝起きると、目覚ましが鳴っていた。
目覚ましが鳴ったから起きたわけではない。
朝起きたのは至って自発的な理由だ。

…恥を忍んでいえば、
スケボーをしていて、
みなとみらいのランドマークタワーの前の大道芸をやる、あの広場を滑っていると、ハードロックカフェのでっかいギターが突然5弦ベースに変わっていたことに驚いて転んでしまったところで夢から目覚めた。

スケボーで転んだからか、起きると腰が痛くて
いっそのことサボって寝てしまおうかと思ったけれど、今日は会議があるからいそいそと着替えて出掛けた。

会社はひどく退屈で好きだ。
人は沢山いるのに、びっくりするくらい何も起きない。
やけに座り心地のいい椅子、誰が足しているのかもわからないが永遠に在庫が切れることのないお菓子ボックス、麦茶と緑茶とジャスミンティーと紅茶しか出ない給茶機。

全てが普通で、ありふれていて、平凡で、平均的だ。
そしてそんな感覚がいかに贅沢で傲慢なことかもわかっている。
でも、違う、そうじゃなくて、会社にいると海を見に来た時と全く同じ気持ちになるってこと。
あぁ、本当に沢山ある命のうちの一つなんだな。とぼんやりするあの感覚。
それが海に行かずとも手軽に味わえるのが、この会社というものである。広辞苑にでも追加しといてくれ。

ちょっと残業して会社を出ると、
東京の排ガスと熱気が押し寄せてくらくらとする。
駅まで近いが坂道がきつい道を通るか、
駅まで遠回りだが坂道が緩やかな道を通るかで迷う。いつもいつも。

今日は遠回りの方を選んだ。
人生は選択の連続だ。なぜなら私は今日、駅まで少し遠回りした道を選んだおかげで、エチオピア料理のお店に辿り着いたからだ。

おすすめの料理はドロワット。カレーみたいなやつだ。店員さんにこれ辛いですか?って聞いたら、人によるってすごく真っ当な答えが返ってきた。そりゃそうだ。気まずくなって頼んだら案の定辛かった。
でも嫌じゃない、これで一人で滝汗かいてる男in Tokyo。

辛いもの空きっ腹に入れたら、帰りにお腹が痛くなりそうで、コンビニで飲むヨーグルトとR-1を買って飲みながら帰った。胃の武装である。ヨーグルトに関しては、カレーより後に生まれてないと辻褄が合わないくらいカレーに合いますよね。

そういうちょっとした刺激と、漫然とした日常を養分に明日も睡眠不足と戦うんだろうなと思う。
日常に裏面があるなら、それはここに。(1000字)

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