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シャチホコは何故勝てる?



前置き

こんにちは。シャチホコ中毒者レモンティーだよ。
僕がシャチホコに惚れ込んでいることは過去記事を見ていた人なら知っていると思うが…今一度言っておこう。

 僕は《天下統一 シャチホコ・カイザー》(以降シャチホコ)の可能性を長らく模索してきた。実装弾である17弾から、変なパーツを組み込んでは試行錯誤を繰り返していた。
上記記事のサムネから漂ってくるだろう…
「なんてもん入れてんだコイツ」という雰囲気が。
 しかしシャチホコがスタン落ちしてからというもの、単色推しに呆れて特にデッキをアップデートしていなかった。正確には新カードを試してはいたものの、ランクマッチに持ち込むことはなかった。

ごめん、デッキに入らないけどニガヴェルムートいたわ

つまり、新たに貰えたシャチホコの進化元は最高傑作を除けば《早撃人形マグナム》のみ。

自分のサイキック爆破してどーすんだよ。

また色基盤になるカードも収録されていない。
故に、シャチホコの強化は停止していると言える。
これから載せるデッキリストも、「龍解紅蓮伝」に収録されたカードが一番の新顔だ。
さて、もう一度タイトルを読み返そうじゃないか。
「シャチホコは何故勝てる?」

戦績

まったく同じデッキで2環境分を戦った。どちらもマスター到達。


マスター到達のシーズンはヘルボロフカップとレッドゾーンカップ。環境で言えば《モルトNEXT》《ヘブンズロージア》、《ヘルボロフ》などが収録された「竜魂超決戦」と、《レッドゾーンZ》や《デュエにゃん皇帝》、《革命目 ギョギョウ》などが収録された《天魔命動》。

先程も書いたし、マスター到達ツイートを見てもらえばわかるだろうが、この間、僕のシャチホコには一切の構築変化がなかった。1枚たりとも。

おさらい。

そんなデッキが、インフレをものともせず環境で戦えている理由を解説…というか、使用者が一番不思議に思っているのでちょっと考えてみたいと思う。

デッキリスト

これがワレの、最高傑作ダ!

改めてリストを掲載。
過去記事の内容と重複するため、各カードの解説は省略させていただく。基盤自体は《シャウトシャチホコ》と、あまり変わらないし。

基本的な動き

1ターン目
赤を含む多色カードをマナに埋める。《シャチホコ》も埋めてよい。

2ターン目
青単色のカードをマナに埋めて、《灼熱の闘志 テスタ・ロッサ》や《戦略のD・H アツト》、《熱湯グレンニャー》などのルーターで手札・場・墓地を整える。また捨て札に《夜露死苦 キャロル》を選べば手札の質を上げつつリソースを増やせる。

3ターン目
多色処理をしつつ、もう一度2コストのルーターを並べてアドバンテージを稼ぐ。手札の単色カードに余裕があれば《電脳の女王 アリス》をルーターとして使用するのも良いだろう。

4ターン目以降
シャチホコの有無で分岐する。

※シャチホコ無
《シャチホコ》を出せる状況でなければ更にルーターでデッキを回す、相手の妨害を行う、単純に並べる、などの行動を取る。このデッキは14枚(《湧水の光陣》を含めれば18枚)のルーターが採用されているため、途切れたら不運だと思ってほしい。

※シャチホコ有
《シャチホコ》のスペアがある、もしくは相手に破壊以外の除去がなさそうな場合、すぐさま覚醒リンクが決まりそうな場合などには《シャチホコ》を着地させる。
《シャチホコ》が通ったなら、そこから《学校男》《陰陽の舞》《束縛の守護者ユッパール》《ボルメテウス・ホワイト・フレア》などで自分のクリーチャーを破壊し、相手に応じた覚醒リンクを狙う。

以上だ。

ルーター×キャロル基盤の強み

入れろ…!

 「湧水シャチホコにキャロルを入れろ委員会」なんて言ったこともあるが、《テスタ》《アツト》《キャロル》の基盤はそれほどまでに革命的だ。
というのも「湧水シャチホコ」というデッキは慢性的なリソース不足を抱えている。その上で大量の多色カードをデッキに採用する必要があり、あり得ないくらい多色事故が起こるデッキだ。
シャチホコをしっかり使ったことがある人なら「ガガ・ピカリャン」を幾度となくマナに置かざるを得なかった記憶があるだろう。

大事なのは、人よりも少しだけ得すること。

 しかしこのルーター×キャロル基盤は、多色事故が起こる前提で動く事ができる。「基本的な動き」でも説明した通り、多色処理に充てられるターンが存在しているのだ。
更にもう一つ、考えてみたいことがある。

多色事故が嫌なのはなぜ?

答えはこうだ。「ガガ・ピカリャン」をはじめとした、より得られるアドバンテージの大きいカードをプレイしたいから。

だが、このデッキの《テスタ》《アツト》は、《キャロル》を絡めることで「ガガ・ピカリャン」と同じかそれ以上のアドバンテージを得られる。
それどころかデッキを1枚多く掘り手札を1枚捨てられるコストが軽いから連打しやすいし、枠をとらないし、デッキ全体のリソースが大きく増える。
なんかキャロル本体もシャチホコと合う。

強みが多すぎるだろ。なんだコレ。

しかもその《アツト》《テスタ》に除去を吐かせるだけでもアドバンテージで優位に立てるというのだからどうかしている。
《シャチホコ》の睨みが効いているから、ただのルーターにも除去を吐いてもらえるのだ。
《キャロル》の強みを分かってくれたなら、あなたも「湧水シャチホコにキャロルを入れろ委員会」に入ってみてはどうだろうか?

《激天下》《湧水》ができること

名前が紛らわしいデスマス

このデッキの《激天下》が蘇生するクリーチャーは4種類に分けられる。
主に
・リソースを稼ぐルーター、
・盤面空けと自壊要員と除去要員の《学校男》、
・時間と自爆を稼げて、除去にもなるし、
《絶体絶命》の当て先を作れもする《ユッパール》
・妨害できるチャンプブロッカー《オリオティス》
のいずれかだ。

もっとも、この4種類を扱えれば十分。
《特攻人形ジェニー》が不採用なのは、トップ力の低い《シャチホコ》でハンデスを行うのが噛み合っていないと思ったからだ。

入れるにしても進化元になる《ザビ・バレル》あたりになるだろうが、そもそも黒単色が弱いのもあって抜いている。

手撃ち《湧水》の蘇生対象は、この4択に《シャチホコ》本体を加えたものとなる。

なんにでもなる「真の切り札」

だが、上記の蘇生対象は「ルーター」以外は2積み。それで蘇生対象を選べるのか…という疑問があるだろうが、その問題は「ルーター」が解決している。
《キャロル》によってルーターが連続すれば、必然的に墓地が肥えていくために、蘇生対象の選択肢も広がっていくのだ。《激天下》の場合は、必要なパーツが見えていなければルーターを蘇生して探し、直後に手から使えばいい、というのもあるのだが。

クロック8枚、スパーク2枚

「相変わらず時が止まったようなデッキだな…」

続いて、シャチホコのカウンタームーブの話。
 《終末の時計 ザ・クロック》をメインパーツである《湧水の光陣》で蘇生することで、実質的にクロックを8枚積めている…というのは、こんな辺境のnoteを見ているそこのあなたにはお見通しだろう。
それを含めて10枚も全体ストップのトリガーを積んでいれば、大抵1枚は出てくれるものだ。ここで大事なのは、返ってきた盤面がどうなっているか。
 シールドトリガーの発動は基本的に、「攻撃されている」という状況を指す。つまり、相手のクリーチャーがタップ状態になっている。その上で、召喚酔いの解けた《クロック》が場にいる。つまり自爆できる。ここに場に残ったルーターをつぎ込めば、ほとんどの場合で覚醒リンクまで持ち込める。
さらにさらに。《絶対絶命》をその寝ているクリーチャーに突っ込ませることで返しのターンを生き残りやすくすることもできる。
よって、キャロルシャチホコにおけるクロックはただのストップトリガーじゃないどころか、速いデッキに対する無料の自爆枠ですらあるのだ。 
 しかも「青単色」というのはキャロル基盤にとって都合がいい。「基本的な動き」の項目で説明した通り、青単色は確実にマナに置きたいからだ。

 「色」という観点で行くと、ホワイトフレアも「赤多色」のために非常に優秀である…シャチホコの次に色基盤として優秀だ。また《エンターテイナー》などのメタクリーチャーや《パンツァー》などのシステムクリーチャー…特に、攻撃されないものの除去に重宝する。基本自壊用なので、除去用にキープすることはまず無いが。

自壊枠

実は唯一の闇単色

直接的な自壊要員は《学校男》《陰陽の舞》《束縛の守護者ユッパール》《ボルメテウス・ホワイト・フレア》の4種8枚。
加えて《湧水の光陣》でそれらを蘇生する分を含めれば実質12枚。
積極的に攻撃してくるデッキに対しては《クロック》が実質的な自壊要員を務める上に、先述のルーター×キャロル基盤がデッキを高速回転させるのでそこまで枚数を取らなくて良い。

特筆すべきは《陰陽の舞》と…《ユッパール》だろうか。

なんかあんま暴れてないね。

キャロル基盤は色が揃うのが速く、後半のマナ埋めは単色か否かの違いしかないことが多い。そこで《陰陽の舞》をマナに埋めれば、単色を置くと同時に1コストの自壊要員として待機させる事ができる。
キャロルのおかげで手札リソースは余っているけど(これはキャロル型が異常。普通の湧水シャチホコならリソース余剰なんてまずない)、マナが足りなくて手札を使い切れない……なんてことがなくなる、というのも地味だが素晴らしいシナジーだ。

もうちょっと評価されていい

《ユッパール》は本当に優秀なのだが、あんまりメジャーではないようだ。
《竜のフレア・エッグ》、先攻時の《一撃奪取》のタップキルなんかは当たり前のようでいてそうでもない。《学校男》だと2Tに置いたルーターも巻き込んで破壊してしまうからだ。
またフリーズをシャチホコ着地の直前にすることで、事前に自身の当て先を準備できる。噛み合った時にはシャチホコのスペアが必要なくなるほど。
それから、「単色パワー1000」というのはマナ置きはもちろん、《激相撲》のパンプを受けてもパワー2000に収まるのがありがたい。これは《電脳の女王 アリス》などにも言えることだが。

実はアリスは紙だとパワー3000。ナイスナーフ。

デッキ総括

このデッキをなるべく端的に表すと、
・手札の減らない小型を展開しつつデッキを回し、
・放っておくとシールドに触らずに勝ち、
・ストップトリガー10枚で1ターンもぎ取り、
・カウンタームーブも完備で、
・しかも色んなカードで対応できる

デッキである。なげーよ。端的って言っただろ。
しかもコスト2〜5のパーツだけでデッキが成立しているために手数を多くでき、捨て札・蘇生・サイキックも合わせて無数の択を選べる。
逆に、そのせいで回し慣れていても最適なプレイングを出すのは割と難しい。一度だけ僕のツイートを見てくれた(?)人が使う《キャロル》《陰陽の舞》が入ったシャチホコにランクマッチで当たったことがあったのだが、「あぁ…そっちじゃない…それも違う…勿体ない…」みたいな反応をしていた。
とあるYoutuberさんに実際にこのデッキを使って頂いた事があるのでそのリンクを貼っておく。
環境は26弾の「天魔命動」。
どんな動きをするかが気になったら見てみてね。

戦った相手

ヘルボロフカップより
・白単サザン
・緑単サソリス(殴リス)
・モルトNEXT
・5cとビッグマナ
・速攻
・ツヴァイランサー
・MRC
・ガチャデッキ
など。

レッドゾーンカップより
・レッドゾーン
・黒抜き4c刃鬼
・緑単サソリス(コントロール)
・5c
・モルトNEXT
・ガチャデッキ
など。
(BEANS様の環境調査レポート参考)

緑単サソリス(コントロール)は盤面が狭いため、トリガー《クロック》がよく刺さる。
《四つ牙》が出ていれば《絶体絶命》を成立させるだけで相手が勝手にデッキアウトしてくれるため、戦いやすい対面である……とか書いていこうと思ったのだが。

一つ一つ対面のプレイングを書いていたらキリがないのでやめておくが、逆に言えばキリがないほど書けることがある。無数の択はプレイングの幅を大きく広げ、カードパワーの差を埋めているのかも…?

その他、想像


シャチホコを握る側からしたら分かりっこないが、もしかしたらシャチホコは択が多すぎて相手からすると何をしてくるのかわからないのかもしれない。
プレイングが単調なレッドゾーン(そんなことはないが、シャチホコに比べたらその択の少ないこと少ないこと)なんかは適当でも結果的に最善手になってしまうため厳しい相手となるのだが、5cやモルトNEXT、緑単サソリスなどの対面で最善手を取られることはまずない。

メインの勝ち筋が《絶対絶命》によるデッキアウトであることも含め、シャチホコの戦術は極めて異質だ。まさか《学校男》の選ばせ破壊で《四つ牙》を選ばないと死ぬなんて想像もつかないのだろう。

勿論これはほんの一例であり、シャチホコ対面でしないほうがいいプレイは無数にある。極端なプレイングの難化・多様化は相手に動きを読ませないという戦術になり得るのかも。そもそもマイナーの極致みたいなデッキだからデッキ構成が割れていない筈だし、2積みのカードが多いのもあって初見殺しが決まりやすいのかも?

まとめ

シャチホコが今まで生き残っている理由があるとしたら、

・勝ち筋の特異性
・本体コストの軽さ
・進化元の緩さ
・蘇生を高バリューで使える

あたりになるんだろうか。
「進化元」「勝ち筋」の強みを《キャロル》で最大化し、《陰陽の舞》で軽さという強みを活かしたものが僕のリストということになるかな?
オチがつかないねぇ…

オマケ

もうしばらくすると、《絶対絶命》に侵略してそのままデッキアウトで勝てるカードが来ることはご存知だろうか?
その名は《S級宇宙 アダムスキー》。

デザイナーズコンボにすら思える噛み合い方

もしもこの《アダムスキー》が実装された暁には、一年越しのシャチホコ強化となる。
待たされすぎだろ。
しかし、《アダムスキー》はシャチホコの基盤そのものを強化してくれるわけではない。《絶対絶命》の覚醒リンクまでは既存のカードでやらなければならないのだ。
そんなの無理…なんて、この記事を読んだならば思わないだろう。

案ずるな、《シャチホコ》はまだ、戦える。
僕がそこまで生かしてみせる。

まあ、別にこんな変な型は流行らないだろうが。
誇りと埃を被った切り札を懲りずに使い続けるのはとても楽しい。

いつしか使わなくなった君の切り札も、ひょっとしたら普通に戦えるかもしれないから…気が向いたら、また使ってあげてほしいものだ。


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