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心不全療養指導士 認定ガイドブック第4章  ~心臓の働き・前負荷について~

心臓ってどんな働きをしてるの?

心臓は血液というとても大切な液体を全身に送るポンプです。
なにが心臓のポンプの機能に影響を与えるのか、ご存知でしょうか?
前負荷、後負荷よくわからんー!というあなたの参考になれば幸いです。

こんにちは
心不全患者さんが幸せになれるよう
日々勉強中の飯沼です。

心不全療養指導士 認定試験ガイドブックの
心臓の働きの部分を参考にして心不全に関わる知識のまとめ、

心不全療養指導士試験の予想問題&2020年の試験を参考に過去問を作成しました。

それでは見てみましょう!


心臓の働き

心臓ポンプ機能の調節因子


心臓の働きの本質って何でしょうか?


そのひとつは、体のそれぞれの大切な臓器に血液を届けることではないでしょうか。
なぜなら血液は細胞が活動を続けるのに重要な酸素や栄養素を運び、二酸化炭素や不要な代謝物を回収するという役割があるからです。


つまり、心臓が正常に働けないと、全身に血液を送れなくなり、細胞の活動が立ち行かなくなります。
心不全で多臓器不全に陥ってしまうのはそのためです。

運動時の筋肉の酸素需要の増加や外傷による出血での循環血液量の減少など、体内の様々な変化が生じた際に起こる様々な変化に対応するため、心臓にはポンプ機能を調節するいくつかの機構が備わっています。


だって、心臓に何か不具合が起こった際に「血液送れませーん」ってなったら、生命を維持するのが難しくなってしまうんですから。

そこで前負荷、後負荷、心収縮力、心拍数があるのです。
ご存じでしたか?
前負荷、後負荷よくわからないという方は多いですが、前負荷、後負荷は心臓のポンプ機能を代償するためにあるものだったのです。そう思うとしっかりと理解しなくてはと思いますよね!

つまり裏を返せばこれらの前負荷、後負荷、心収縮力、心拍数の代償機構が破綻するといよいよ心不全の状態になってしまうということです。


前負荷


前負荷とは「心筋の長さに影響する、収縮を開始する前までに心筋にかかる負荷(収縮前の壁応力)」のこととガイドブックには記されています。

「はい、わからん。もういいや。」ってならないでください!

前負荷と後負荷を理解するときのポイントは、

「いつ?」

「どこに負荷がかかるのか?」

を押さえることです。

その文脈で前負荷をとらえると

「いつ?」→「心臓の筋肉が収縮する前」
「どこに負荷がかかるのか?」→「心臓の筋肉にかかる負担」(心臓の内側の壁にかかる負担)

となります。

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少しでもイメージがつきましたでしょうか?


例えば、前負荷が高い状態とは、

「心臓が収縮を始める前に血液が心臓の壁を押す力が強い状態」といえます。

もう少し前負荷についての理解を深めていきましょう。
よく、前負荷のことを「容量負荷」と言ったりもします。

容量負荷=前負荷を理解すると、心不全でうっ血所見があるとき、なぜ前負荷が高い状態なのかを理解しやすくなるので、あきらめずに読み進めていきましょう。

前負荷が高い状態は「収縮の前に血液が心臓の壁を押す力が強い」と書きましたが、それは別の言い方をすると
「心臓のなかに、血液がたくさんあって、心臓の壁を強く押している」ともいえます。

心臓を風船、血液を風船の中の空気に例えると、下図のように前負荷が高い状態は、風船のなかにたくさん空気が入っている状態の風船に似ているのです。

画像2

前負荷(容量負荷)が高い状態は心臓のなかの血液の容量が多く、血液が強く心臓の筋肉を押すので心臓には負担がかかります。

ただ、お気づきのかたもいるかと思いますが、
「たくさんの空気を溜め込んだ風船」が勢いよく空気を噴出するように、
高い前負荷は、心臓が拍出する血液の量を多くすることができます。
これは、心臓の筋肉が弱って左室収縮機能が低下した状態でも全身に血液を送りやすくする重要な代償機構なのです。


Frank‐Starlingの法則


さらに、Frank‐Starlingの法則の図を見て理解を深めていきましょう。

下のグラフが理解できれば前負荷や心不全についてかなり理解が進んだことになります。

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このグラフは縦軸を1回拍出量(心臓が送り出す血液の量)、横軸を左室拡張末期圧(前負荷)としています。
風船が大きくなればなるほど、噴出する空気が多くなるように、
前負荷が高くなればなるほど、心拍出量が多くなります。
しかし、ある一定の前負荷を過ぎると心臓のポンプ機能が破綻して一回拍出量が下がってしまうのです。


心不全の原因になることが多い「左室収縮機能障害」を有した心不全の方は下の図の赤の曲線のようになります。

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それでは、正常心機能の人と左室収縮機能障害の人で同じ1回拍出量を維持するのにはどのような違いがあるか見てみましょう。

下の図をみてください。

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青の点線の1回拍出量を維持するとき、正常心機能よりも左室機能障害の方が「前負荷」が高いのを確認できますでしょうか?

これは、弱い心機能で同じ1回拍出量を維持しようとすると、心臓の中に血液をたくさんため込む必要があるということです。

心臓の中に血液がたくさん入って心臓が引き伸ばされていると、弱い収縮力でもたくさんの血液が送れるからですね。心不全の患者さんのレントゲン写真で心拡大がみられるのはそのためです!


いかがだったでしょうか?前負荷が高い状態とは、心臓に負担がかかって悪い状態である一方、低下した心機能を代償する機構にもなりうるのですね。

私たちの臨床の現場に置き換えると、

前負荷のコントロール≒体液量のコントロール≒体重のコントロール
となり、これは私たちが患者さんの適正体重を管理することにつながります。「適正体重を管理する≒前負荷のコントロール」にもつながると思いますので明日からの臨床に生かしていきましょう!

お知らせ

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