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遠国

たとえば 欠けてく 月を見る葬列
身の程知らずなんて とうに知ってたの

性をたよって縋れば たやすく切れる蜘蛛の糸
愛の生贄 墜ちていく 暗闇のなか
こゝろ 攫って 攫われて ほしがってた身体は何処?
ぜんぶ それ 感想だけ 意味はなく 響かなく
罪なきは求めたこと 償いは殉ずること
何もかも 手遅れなの 君と僕 霧の奥
たとえば 夢のように ふたりきりでいれたなら
誰にも交わらず生きていたのでしょう。

Plastic Tree「遠国」

自分が経験したことないことなんて所詮想像するしか出来なくて、完全なる理解などは不可だとおもう。
世間一般にみたらわたしは結構やばい家庭でほっといても子供は大きくなるみたいな感じで生きてきたけど、それを「わたしは一番可哀想」と免罪符にしたくない。してこなかったはず。

幸せにするね、なんて出来もしない事を口にする自分が更に嫌いになった。
君の王子様になりたかったよ、わたしはやっぱり底辺に額を擦らせながら生きるような人だからすぐに安っぽいメッキは剥げてしまったんだ。

「これを言ったら病むから我慢しよう」
「シナプスが人と違うのだから分かりやすく伝えなくては」
そうやって我慢も苦痛も、たった独りで背負わせてた。
甘えられるだけ、頼られるだけの4年間だったでしょう。
甘えたいと言った君に甘えておいでと言ってもうまく出来なくて、結局きみはわたしに癒やされるのは諦めてしまった。諦めさせてしまった。

君の大切な4年間をくれてありがとう。
辛くてたくさん悩ませてしまって本当にごめんなさい。

苦手な足音や怒号が響く小さな部屋のベッドで、この先終わってくのだと…本当に思ってた。なんの気力も希望も未来もなかったから。

そしたらさ、希望の城からお姫さまが絶望の森に乗り込んできて、こんな汚らしい手をつかんで一緒に走ってくれた。

忘れない、君の笑った顔も泣き顔も拗ねた顔も。
家族で仲良く食べたご飯、アイス食べながら映画見たり、お着物で京都も行ったね。花火大会、とっても綺麗だった。あんなに心に刻みつけられるような花火なんて初めてだったよ。シャーペンで書いてるのに誤字や新しい漢字を生み出した手紙は全部宝物だよ。
ああ、きっと私を一番愛することが出来るのは君だけで。
それを全部自分の手で壊した私にはもう幸せにはなれないとおもうんだ。

あのね、思い出は痛いくらいきれいだから。
ずっと、鍵をかけて閉じ込めなきゃ。

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