不便の中にある豊かさ

「人は便利な道具だけでは幸せになれない」

先日読んだ新聞記事にそんな一文を見つけた。

高校を卒業して、進学のために引っ越しをしてからもう8か月が経つ。
田舎から出てきた私にとって、生活は格段に便利になった。
数分おきに来る電車、家を出て3分で着くスーパーやコンビニ、家から徒歩15分圏内にスタバもタリーズもドトールも揃っている。
そんな生活は地元では考えられない。

しかし、あの頃文句を言っていた不便な時間の中でできた思い出は、数え切れない。

電車に乗り遅れ、駅のホームで友達と電車を待った30分間。
雪の影響でバスが大幅に遅れ、痺れを切らしてひたすら歩いた帰り道。
東京のカフェにあるクリームソーダの画像を見ながら、家でクリームソーダを作った休日。
ただただ田んぼや畑が広がる地、ビル一つなくひたすら青が広がる空。
そんな、都会の人が見たら何もないなと思うであろう場所には、私の青春のすべてが詰まっている。

便利な生活の中で、当時の不便な生活を思い出しては、温かい気持ちになる。
不便さの中にある豊かさが、私は大好きだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?