趣味って何だろう
「貴方の趣味は何ですか?」
聞かれると一番困る質問がこれです。
趣味について語れというのは、自分という人間について語れと言われているのと同義。
趣味はアイデンティティの代替になるものだから。
私には特にそれと言った趣味がありません。
日常的にやっている事は、あるといえばあるけれど。
例えば、人並みに小説を読んだりアニメや映画を見たり。
だけど別に、趣味と言えるほど楽しんでいるわけでもない。
…というか、それらを趣味であると言うことが少し怖い…というのが正解かな
…きっかけは小学生の時のこと。
私はポケモンが大好きでした。
毎日毎日、好きなポケモンだけでパーティを組んだりして最強のトレーナーになる妄想をしたり、休み時間中にはゲームでの進展を友達に熱弁したり、とにかく熱中していました。
そんな私の耳に入ってきたある一言____。
「うわ、またあいつポケモンの話してる(笑)」
……。
今でもあの嘲笑が忘れられません。
何度も横目で私を見ながらコソコソと周りにそう言い続けていたそいつの見下すような態度。
それを見て、何だか自分が恥ずかしくなりました。
言ってきたやつがいわゆる優等生だっただけに、妙な説得力があったのです。
「好きなものに熱中することって、実は恥ずかしい事なのかな」
なんて。
それ以来、ポケモンの話を自分からする事は無くなりました。おかげさまで段々とポケモンへの愛も醒めていき、毎度追っていたはずの最新作も追わなくなりました。
ここで最初の質問です。
「貴方の趣味は何ですか?」
…私は今だにあの事件に呪われていて、この質問に即答できずにいます。
何か答えるにしても、当たり障りのなさそうな嘘っぱちの趣味を答えるだけ。
…好きでもないくせに。
私は、好きなことを素直に好きだと叫べる人達が、とても羨ましいし、尊敬しています。
たとえ馬鹿にされようと、好きなことを好きだと主張し続けられるのは、とてもカッコいい。
そういう人はきっと、自分が何者であるかも容易に説明できるから。
私にはそれができない。
空っぽなんです。
…漫画家志望として致命的な欠点だと思ってます。
自分の「好き」、を伝わる形で全力で表現しなくてはならないのが漫画家なのですから。
…はぁ……。
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