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この矛でその盾をついてみた結果…[続きを読む]


この間、とある書類の申請に某所へ行ってきた。とにかく年度末ってやつは書類との格闘なのだ。それはわたしだけではないので、もちろん混み合っていて老若男女が鶏小屋みたいにぎゅうぎゅうになっていた。

長い列のせいで顔も見えなかった受付のお姉さんの元へようやく辿り着き、書類を渡したところで、隣の窓口では待ち時間が長すぎて暇なのか、おじいさんが受付のお姉さんに話しかけていた。

ちょうど昼時だったので「お昼食べる時間あるの?」なんて当たり障りのない話。お姉さんは、書類から一瞬も目を離さずに「そんな時間ないですよ。ゼリー飲料パパッと食べて終わりです」と軽くあしらっていた。それでも話しかけ続けるおじいさん。ちょっとした物音で反応するSiriみたいだと思った。

書類から目を離さなかったお姉さんが遂に顔をあげた。おじいさんに向かって笑顔で「そう、お昼を食べられないくらいすごく忙しいの。だから黙って待ってて欲しいな」と真っ直ぐに伝えた。優しい物腰で鋭い一言。見たら分かる、いっちゃん怖いやつやん(©️宮川大輔)

あははと笑うおじいさん。この世のおじいさん(もちろんおばあさんにも)の何%かには、自分に都合の悪いことは聞こえないように、セルフノイズキャンセラー機能が搭載されているのだ。何をノイズとするかは己次第。どうやらこのおじいさんにもその機能がついていたようだ。(余談ですが、わたしのおばあちゃんにも搭載されています。)お姉さんに注意された3秒後にはもう話しかけていた。

え、こわ。聞こえなかったんか?聞こえなかったんだな。人いっぱいいてガヤガヤしてるし。そうね、聞こえなかったのね。と一人納得していると、お姉さんもそう思ったのかは知らないが「うん、そう、だからね、黙って待ってて欲しいの」変わらない笑顔でもう一度おじいさんを制する。


そこでわたしの書類の申請が終わったので、最後はどうなったか分からない。面白すぎて声を出して笑いそうになっていたので、良いタイミングで終わってくれたと少し安心した。わたしは人生で初めて「ほこ×たて」ってやつを間近で見た。

「絶対に話しかけられたくない受付VS絶対に話していたいおじいさん」


勝利がどちらであれ、わたしは面倒な書類申請が終わったので、安心して年度始まりを迎えられる。お姉さんも落ち着いてお昼ご飯が食べれますように。年度末頑張った全ての社会人に乾杯!ゴールデンウィークまで頑張ろうね!わたしゴールデンウィーク休みないけど!