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いつも心にときめきを

人生が楽しいかどうかって、どれだけ「ときめき」を感じられるかどうかだと思う。それは別に、恋をするということに限った話ではなくて、嬉しくなったり、楽しくなったり、心があたたかくなったり、そういうポジティブな心の動きにはいつもくっついてくる感情だ。それは自分の「好き」と結び付いていて、「ときめき」をたくさん感じられるということは、「好き」に囲まれているということと同義だ。

わたしは、この「ときめき」をいつも持ち歩いている。イギリスのブランド、「キャスキッドソン」の長財布。わたしの持ち物の中でも大のお気に入りで、もう表面のロゴがほとんど剥げてしまっているが、まだ買い換えるつもりは無い。

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その財布は、イギリスのヒースロー空港にあるキャスキッドソンのショップで購入した。大学時代、友達と行ったイギリス旅行の帰りだった。もともとこのブランドが好きだったわたしは、飛行機の時間を待つ間、目に入ったそのショップに吸い寄せられるようにして入った。そこで見つけたのがこの財布だった。大きな赤いバラがプリントされたその大胆で優雅なデザインに、どうしようもなく惹き付けられた。その時は、パッチワークのようなデザインのものが並んで置かれていて、どちらも素敵だったので随分迷ったのだが、その時のわたしの決断は正解だったと思う。

あれから何年も使っているが、買い物で財布を取り出す度、未だに心がときめく。何度見ても「やっぱり可愛いなあ」と、きゅんとする。使い続けると飽きがきてしまう物もたくさんあるけれど、この財布はいっこうに飽きが来ない。初めて見つけたときからずっと、魅力的で大好きなまま、今も大切に使い続けている。

正直、わたしはわりと飽きっぽい性格なので、同じ物をずっと使い続けて満足するということがあまり無い方だ。バッグも服も、ある程度着たら「もう飽きたなあ」「あまりときめかなくなったな」と思う日が来て、新しいものと交換してしまう。だから、こうやって一つの財布を長く愛用することは、わたしにとって珍しく、特別なことなのだ。

飽きっぽいことも、物持ちが良いことも、どちらもちっとも悪いことではない。すぐに飽きてしまうなら、その分色々なものに出会えるし、一つのものを長く大事にできるなら、ものを無駄にすることがほとんど無いということになる。どちらもすごく素敵なことだし、一つの個性なので良い悪いも無い。

ただ、わたしが大事にしたいのは、「ときめき」をたくさん感じられるかどうかだ。わたしのような飽きっぽい性格は、間違えると「ものを大事にできない浪費家」になってしまいかねない。なのでわたしは、新しい何かを始めたり、手に入れたりする前に、自分が本当にときめきを感じているかどうか確認するようにしている。「今流行だから」とか、「安いから」とか、自分の感情が入っていない理由はナシだ。そういう理由でものを購入すると、大抵後悔することになる。流行なんてあっという間に過ぎ去ってしまうし、安いからって自分にとって必要なものとは限らないから。

わたしは、心がときめきを感じたものは、直感でだいたい手に入れるようにしている(もちろん、自分の収入に余裕がある範囲でだが)が、こういう買い方をしていると、毎日がけっこう楽しい。身の回りが「ときめき」で埋まっていくと、生活をしているだけで心が弾む。全部に思い入れがあるから、自然とものを大切に扱うようになる。社会人になって、自分でお金を稼ぐようになって初めて、自分のものを自分で買うということに、喜びとありがたみを感じることができるようになった。

今日も、わたしはキャスの財布を持って出かける。お気に入りのバッグに入れて、お気に入りの服を着て、お気に入りの靴を履いて玄関から外へ飛び出す。昨日落ち込んでいた気分も、風と一緒にどこかへ飛んでいってしまうような気がする。そういう小さな幸せを、これからも毎日積み重ねていきたい。

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