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自宅で炭火を楽しむための技術。煙をだすばかりが炭火じゃない。

私は「賃貸で炭火をすると煙でご近所に迷惑がかかって、下手すると通報される」と思っていました。しかし、実際に炭火を導入したらわかります。これは大きな勘違いでした。

この記事では、自宅で揃えると便利なアイテムをご紹介した上で、自宅炭火の「実際」をご紹介ます。

本記事は自己責任でご利用ください。うちは契約上問題ありませんでしたが、IHで火気厳禁の物件などではもちろん炭火も利用することはできません。


炭火という独特の熱源

まず重要なのは、炭火は熱源のひとつでしかないということです。備長炭を使ってることをウリにしている飲食店はとても多いですが、炭火はその特徴によって食材のうまみを引き出し、独自のできあがりになります。

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よくいわれるのは、炭の遠赤外線効果によって中の水分を逃さずに外はぱりっと仕上がることです。

ガス火には水分が多く含まれるとか近赤外線効果とかいろいろあるのですが、料理が好きな人向けの紹介をすると

 表面温度が85度になった時の内部温度はガス火が35度、炭火が55度。中まで均一に火が通りやすいので「半生」が実現しやすい
 160gのお肉を焼いた時の焼き上がりは、ガス火が137.6g、炭火が148.3g。肉汁や水分を外に逃さない
https://www.fnw.gr.jp/7rinhonpo/restconer/sumibi-delicious.htm

というメリットがあります。

燻煙にしてたべるのもおいしいのですが、本質的にはただの熱源ですので、うまくコントロールすることで煙をほとんどあげることなく炭火を楽しむこともできます。

それではまず炭火をはじめるとして何を用意したらいいでしょうか。


ホームセンターで選ぶな

炭火素人 ―― 具体的には2ヶ月前に私がとった行動ですが、炭火環境に興味をもつと近所の大きめのホームセンターにいくのではないでしょうか。やめといた方がいい、それは大きな間違いです。

というのも、七輪や木炭など商品名は同じですが、ホームセンターに売ってるのは基本的にバーベキューのセットです。広い青空の中、場所を気にせず用意をして、きゃっきゃ楽しむためのセットです。ものすごい煙がでます。

そもそも炭火というのは大人の楽しみなわけです。そうやってさっと選んでしまうのではなく、ネットでじっくり選びましょう。まず最低限必要なのは、七輪と炭、火消し壷とトングです。

1. 七輪を選ぶ

七輪を選ぶ重要なポイントは、サイズと長方形であること、そして区切りがないことです。

何人でやることを前提にするかでサイズを決めましょう。特に小さなお子さんがいる家庭では、ゆっくり食事を楽しむなんて夢のまた夢、基本的には焼き物も急かされながらすると思っていいので大きい方がいいです。

しかし、大人4人まででしたら幅30cm×奥行18cmで十分です。焼肉を食べにいった時に用意される網のサイズを考えてもらうといいのですが、それで大人4人までのニーズを満たすことができます。

そして長方形であること。これは炭の用意の仕方にあるのですが、七輪で調理をしてると強火ゾーンと弱火ゾーン(休ませるゾーン)がほしくなります。それを分けるためには長方形である必要があります。

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左が強火ゾーンで右が休ませるゾーンです。これは極端ですが、食材によってバランスを変えることができるので長方形がおすすめ。

そして最後に「区切りがない」こと。一部の七輪ではちょうど中央で区切りがあるのですが、これがあると炭の調整がしにくいですし、炭が大きければ割らないといけなくなります。まったく必要性を感じない。

あと、空気孔を調整してある程度火力をコントロールできれば便利ですよね。ただこれは団扇なりで扇げば解決するのでさほど重要度は高くありません。

七輪といえば切り出し珪藻土と思って、1〜4人用に使えるのは探したところこれだけでした。私もこれを使っています。

これが、幅30cm×奥行18cmなのですが、もうひとつ大きいサイズだとこんな感じがいいと思います。

幅37.5cm、奥行21.5cmです。炭を偏らせればいいので、大人数でやることが多そうならひとまわり大きいサイズを利用するのもありだと思います。

2. 炭を選ぶ

繰り返しになりますが、ホームセンターで買ってはいけません。七輪はともかくとして、少なくても私が知る限り、いい炭をおいてるホームセンターは皆無です。味も悪くなりますし、煙もたつし、いいことはないのでやめておきましょう。

自宅で炭火をやる技術は、言い変えると、「いかに煙をださないか」なのですが、安い炭は何も焼かなくても煙をだします。ちょっといい黒炭としてバーベキューでは岩手切炭も人気なのですが、自宅でするには力不足です。せめてラオス産の備長炭、できれば国産の備長炭を使いましょう。

私がつかってるのはこちらです。まず、最初は不安だったので2kgという少量のものを買いました。2kgでも火消し壺を活用することで、ゆっくりしても10回ぐらいは楽しめました。

そして、2kgを使い切ったあと、知り合いからラオス産の備長炭を使わせてもらったりしたのですが、結局はこれがいいと、今は、土佐備長炭を12kgで買って使っています。

国産備長炭は硬いことで有名なのですが、硬いといいことがあって、なかなか小さくならないです。うちで夕食で炭を使うのは大体3時間程度なのですが、3回4回火消し壺から同じ炭をとりだして使ってるレベルです。

なので、「ラオス産は安い」「切炭は安い」などと表向きの値段で選ばなくても国産も十分に長持ちするのでお得に利用することができますよ。

3. 火消し壺 ・ トング・その他

これはどれでもいいのですが、火消し壷は大きめのものがおすすすめです。買った炭は湿気ないように保存しないといけないのですが、私は基本的に火消し壺に保存して、入り切らない分をビニール袋を二重にして保存しています。灰が下にたまってるのである程度水分を吸ってくれますし、何よりも酸素が入らないように密閉になるように設計されてるので。

トングは先がかぎ爪になってて、網も変えることができるタイプがおすすめです。

あと、備長炭はまじで火が起きにくいので、自宅がガスならガスで使える火起こし器、もしもIHだったらせめてガスバーナーは用意しましょう。

ちなみにトーチバーナー(バーナー)はこれがおすすめ。七輪の端にひっかかってハンズフリーで着火できます。

※ ガスボンベが高温になると爆発するので熱源とガスボンベの距離に注意してください。また、着火中は必ず移動せず管理するようご注意ください。

煙をださないための技術

家で焼く時に覚えておいてほしいのは「最高火力だと、脂が落ちても煙はほとんどでず、すぐ蒸発する」ということです。まじでこれ大切。具体的には

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のように少ない炭で隙間をあけて焼き物をするより

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のようにみっちりつめる方が火力は強くなります。脂おちてほとんど煙がでずに「じゅっ」と脂だけ蒸発する火力は、近所から苦情をいわれないために欠かすことはできません。この火力を実現するためにも炭は量も質もケチらない方がいいです。

また、脂が落ちっぱなしの食材はどうしても煙がでがちです。そういう意味では、ホルモン焼きやサンマを焼くのは、夜の夜闇に紛れる・扇風機を上に向けて煙をちらしながら焼くなど工夫が必要です。

炭を両脇にどけて、脂が落ちる肉の真下には炭をおかないことで煙をださない方法もありますが、燻煙されるのがおいしいので悩ましいところです・・・。

なので最初のおすすめは、貝や野菜を焼くことです。

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煙もでにくいし、どういうパターンで煙がでるかを初心者向けのもので覚えてからいろいろ焼いていくことがおすすめです。

個人的には、鶏むね肉や鶏ささみもぱさぱさ感がまったくなく仕上がるので、炭火の力を確認するのにおすすめの食材です。

もう一歩技術をあげるためには、日本食の炭火焼きの技法を学ぶのが一番です。いくつか読んだのですが、一番わかりやすく、そして実用的な技術が書かれてるのはこの本でした。


まとめ

煙をもくもくしながら広い場所でしかできないのが炭火ではありません。この記事が炭火技術を身に着けて、自炊する時の熱源のひとつとしてご活用いただくきっかけになればと思います。

それではまた。

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