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Recycle Mafia 3-2 dark story

数秒・・いや、数分・・・いや、数時間。
いったいどれ位時間が経ったか解らない。
気を失っていた。

首の辺りが重だるい。
辺りを見回すが、何もない。ただの部屋だ。どこだ?ここはいったい。
ふと、前歯が無い事に気が着く。殴られ前歯を折られたことを思い出す。
「あの野郎!」
歯と歯のあいだから、呻きに似た声が漏れる。いつか仕返ししてやる。
だが、ここはどこだ?
そして、今どうなってる?

記憶を呼び戻す。
あの倉庫を出てすぐに、黒服の男たちに囲まれた。
あのイチとか言う奴らは逃げ出した。
その隙を見て逃げ出すチャンスだと思った矢先。首筋に痛みと同時の「バチバチッ!!」
聞き慣れた音とともに、目の前がブラックアウトした。

で、今ここ。
耳をすますと、かすかに聞こえる音がある。
「ザザザ・・・サササ・・」
これも聞き慣れた音。波・・・っていう事は、海か。
だが、揺れは感じない。
海のそばの家か倉庫に閉じ込められているのか。
これからどうなるのか、サッパリ検討が付かなかった。だが、不安はなかった。
ただ、異様に腹が減っていた。

「誰か居ないのか!!」
扉を叩いたが、無反応。
「おい!!」
再び扉を叩いた。

足音がした。
ドアが開いた。
「オキタカ・・マタ、ネテロ オッケー?」
カタコトの日本語で男は言った。中国人? 
腕を捕まれた、引っ張り返そうとしたがもの凄い力だった。
今度は注射。
体の力が抜け、ぼうっとして気持ちが良くなって来た。シンナーの感覚に似ていると思ったが、10倍いや100倍も気持ちが良かった。考える事を止めた。ただ、涎を垂らし、ぼうーっとしていた。

強い光で目が覚めた
「オキロ!デバンダゾ、オッケー?」
今度は二人の中国人が目の前にいた。
ぼうっとする頭で少し考え、立とうとした。足が言うことを聞かない。
足ばかりではない。全身だ。首から上は動く。首、口、目。

「アハハハハ」
二人の中国人は笑った。

「クソが!!なにした!!」

訳が解らないまま、二人の中国人にストレッチャーに乗せられ、長い廊下を移動した。
でかい扉の前で止まった。中からは、「ドッドッドッド」とビートの早い音楽が流れているようだ。
クラブなのか?
中国人の一人がトランシーバーで何やら話している。

「おい、何だよこれ、おいって!!」
泣きが入っていた。

「オッケー!」
トランシーバーから声が聞こえた。扉が開く、音が大きくなる。

「ウオーー」
「ワオー」
「キャー」
「ギャーーー」
様々な歓声があがる。ストレッチャーに乗せられたカトウに視線が一気に集まる。
真ん中のメインフロアーに運ばれる。
真ん中のメインフロアーには様々な医療器具が集まっていた。まるで手術室だ。
カトウは必死で何か言っている。狂わんばかりに目をむいている。
しかし、音楽と歓声にかき消されている。

マイクを持った大柄な男が手を挙げると皆黙った。すると英語で言った

「いよいよメインイベントの始まりだ。みんな、準備はいいか?」

「今回の‘物‘は19歳の活きのいい男の子だ!!さぁ始めようか」

すると別の男がマイクで言った
「まずはeyes!100$から」
こんな調子で、目玉、頭、腕、足、心臓、胃、肺、肝臓・・・・と余すところなくオークションにかけられた。それぞれの落札者がクリーンウエアーを着て、冷蔵輸送用ケースを持って前に出てきた。
他の客はテーブルで酒や食事を楽しんでいる。
先程のでかい男の司会者がマイクを取って言った。

「さぁ!みんな、沢山の入札ありがとー!それじゃぁ始めようか!!ダンスタイムだ」

カトウはようやく理解した。
これは解体ショーだ。そして今から解体されるのは他の誰でもない自分だ。夢なのか?夢であってほしい。何故自分が。考えても答えは見つからなかった。

菊川会から福建マフィアにカトウは売られた。
福建マフィアはこのような行方不明者を買い取って、戸籍から身体から何から何まで金に換える。
ただ、人体をバラバラにして臓器売買をするよりもっと金を生み出す方法を考えたのだ。
それこそが、豪華客船で太平洋をクルージングしながらの人体解体ショー。
世の中の変態から大金を取って、目の前で人体を解体してゆく。
変態どもはそれを見ながら、女は股を濡らし、男は勃起しながら酒を飲み、飯を食う。
解体された人体は髪の毛すら余すところなくその筋に売る。
船の上なので、警察の手入れの可能性もなくのびのびと楽しめるというわけだ。
中国人の頭はどうなっているのか?日本人には考え付かないエグイことを平気で考える。これも4000年の歴史のなせる業か。

スポットライトが当てられる。
メスを握った男がニヤニヤしながら、近づいてくる。
歓声が止む。
「止めろ、止めろ、ヤメローー!!」
叫んだ。叫んだ。泣きながら叫んだ。目の前が暗くなる。
どこからともなく声が聞こえる。


あの女の子もお前に何回も泣きながらお願いしたはずだよね。
他の女の子もそうだよ。
でもお前は止めなかった。止めるどころか、笑いながら犯した。そして殴った。そして殺した。
やられる側の気分はどう??
ねぇどう??

沢山の女の顔が迫ってくる。今までレイプしては動画を撮って、殴ってきた女達だ。
「俺だって、俺だって、やりたくなかったんだよー!!」
声にならない叫びだった。すると、今度は一人の女子高生が近づいてきた。あの、女子高生。
「本当に?笑いながら殴ったよね。何回も何回も何回も!!だから私死んじゃったの。まだ、やりたいこともいっぱいあったの。
お父さんにも、お母さんにも会いたかったの。」
言いながら、女子高生の目から赤い血がとめどなく流れた。
「ぎゃーー、あっちいけ!!やめてくれーー」
またも、声にならない叫びだった。目から出た赤い涙は、カトウの腹にポタポタと落ちて行った。


メスが腹に一筋の赤い線を引いた。
こぼれる内臓
「ギャーーーー」

あれ?
不思議と痛くない。

より観客を楽しませるために首から上を除く全身に麻酔をかけてあるのだ。痛みこそ伴わないが、ゆっくりとバラバラにされて殺されていく。
老人が依頼した内容でもあった。「できるだけ苦しめて殺してくれ」と
カトウ達は決して怒らせてはならない人間を怒らせた。その代償だった。

手も足も無くなり、内臓は肺と心臓だけ残され辛うじて呼吸している。規則的にきこえる「ヒュー、ペコ。」
「ヒューペコ。」という音が聞こえる。
目の前が暗くなり、またあの女子高生が迫ってくる。手にはキラキラ光るスプーンを持ってる。
「なにするんだよ!!!やめろーーーー」
 
グチャッ!

何も見えなくなったと同時に暗闇み吸い込まれた。もう何も感じることは無かった。
 
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