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Recycle Mafia #2-12 collect

「やめろ!!」

何かに取りつかれたように、カトウの首に腕をからめたイチにシンゴが怒鳴った。
ふと我に返ったようにイチがその腕を緩めた。

「なんでだよ。こいつは俺がヤッてやる。後のことは任せろよ」
イチがシンゴをにらみ言い返してきた。

「ダメだよ。」
ナチが言った。

するとイチは腕を解き、悔し紛れにカトウの腰当たりを蹴って言った。
「そうだったな。で、どーするんだこいつは」

すると、カトウがニヤッとしながら言った
「ふん。どうせ、あんたら堅気だろ、なんだかんだ言っても俺を解放するしかないんだぜ。あいつらは素人だからハッタリが通じるかも知れねーけど、俺には通じねーよ。」

「・・・・」

「解ったら早めに解放しろ。」

「・・・・」

カトウに詰め寄ろうとしたイチを手で制し、ナチがカトウに向かって行った。
カトウに近づくとナチは徐に、顔面、それも口のあたりを執拗に10発以上殴った、殴った、殴った
カトウの前歯は折れ、唇は裂け、夥しい量の血が地面にこぼれた。
途中カトウが何か言いかけたが、お構いなしだ。
カトウは気を失った。

「最初は、こいつを本当に殺すつもりでいた。でも、お前らと一緒に行動するようになって、なんかが変わった。」
イチが言った。

「知ってるよ。沖縄の前原組にこいつの処理を依頼したでしょ?」
ナチが言った。

「え?・・・なんで知ってる?」

「お前が、いろんな人脈があるように、俺らもそういう人脈はあるんだよ。」
とシンゴ。
実際、イチが組関係の知人に話をつけると予想したシンゴとナチはイチの昔の知人にあたって、調べたのだ。すると、イチのセキュリティー時代の先輩に沖縄の前原組に行った人物を一人発見したのだ。
だから、この場でカマをかけてみた。見事成功だった。
実際、893などシンゴもナチも無縁だ。

「んで、タダで893が動くわけないよね。」
とナチ

「そこまで解ってんなら話ははえーな」
笑顔でイチ

「やめとけ。せっかく仲間になれたのに・・・」

「うう・・・・ぐふっ」
カトウが正気を取り戻したようだ。

イチがカトウを立ち上がらせ、髪の毛を掴んで言った
「おいコラ。俺たちをなめるなよ。お前はこれから、どうなると思う?」

「・・・」

「ヒントをやるよ。俺たちはリサイクル屋だ。お前らには一個もこっちの情報を与えたくなかったけど、もう二度と会うこともないからいーや。」
イチが言った。

「なんだよそれ・・・」

「スハダクラブは人のリサイクルをしてるんだよ!!」


言いながら勢い良く殴った。カトウの口から血飛沫。
「・・・・」

「教えてやる。お前はこれからあるところに連れてかれて、ある組織の監視のもと死ぬまで飯場でこき使われる。もちろん親、兄弟には連絡は取れない。お前は失踪者あつかい、そして何年かして、死亡届が出されるんだ。お前みたいな腐った人間のリサイクル方法はこれしかないからな。生きていられるだけでも幸運だと思え。解ったか。」
実際にイチはカトウの死体処理を「前原組」に頼もうとしたが、「前原組」からは
「死体より生きてるままの方が使い道があるし、金もかからないぞ。ま、どっちでもいいよ。今回だけ面倒みてやる。」
と言われていた。
これは、暗に「死体」ならそれなりの代償が必要な事を言っていた。
実際に死体処理はリスクとお金が掛かるが、「生きて」いればその逆だ。飯場の作業員は借金などに追われて首が回らなくなった者ばかりなので、最終的な措置として安月給で死ぬまでこき使うのだ。その場合、前原組にとっては、作業員は使い捨てで、お金を多少積んででも、作業員を補充する必要がある。その為、今回のように19歳の若者が無料で手に入るとなれば、願ったり叶ったりなのだ。


「・・・・・」

「ん?いやか?嫌ならこの場で処分してやるぞ。そのほうが手っ取り早いしな。どっちがいい?」

「・・・かせる」

「ん?きこえねーな。」

「任せます!」

カトウは涙目でイチに言った。

「よし。じゃあ行くか」

イチの目をみた。
シンゴもナチも決意が固まった。カトウを前原組に渡す。実際にそれしか方法が思いつかなかった。イチを殺人者にさせるわけにはいかない。
黙って、イチとカトウの後に続いて、倉庫を出た。
瞬間の事だった。何やら、一見して「普通の人」ではない黒ずくめの人間が4人、こちらに近づいてくる。
思った瞬間、取り囲まれた。
 
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