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ひどいことをした父や母も敬わなければいけないのか

 聖書には「あなたの父と母を敬え」と書いてありまして、親に虐待された傷を持つ人がクリスチャンになってから、この戒めを受け入れられず苦しむことがよくあります。あるいは、クリスチャンでありながら虐待をして、「聖書に書いてあるんだから父と母を敬え!」と言う親もいます。最悪。私のところにも、「父と母を敬えと書いてあるのに、どうしても父や母への怒りや憎しみが消えません」とカウンセリングに来られる方が何人もいらっしゃいます。

 あまりにひどい仕打ちを受けてきた経験をお聞きする時、私たちはつい、「そんなひどいことをする親のことなんか、ゆるさなくていいですよ!」と言いたくなります。どんなに傷つき苦しんできたかを目の当たりにする時、私も正直心の中では「最悪な親だな。ほんと地ピーに落ちればいいのに」と思っていたりしますが、私たちの信じる主はその人たちのことも愛しておられ、「ゆるしなさい」「親ならば敬いなさい」とおっしゃるわけですよ。

 では、神様にとって傷つけられた子どもたちよりも、親の方が大事だというのでしょうか。親の過ちを我慢して受け入れなさいとおっしゃる方でしょうか。そんなことはないのですよ。「あなたの父と母を敬え」の戒めは、父と母のためでなく、子である私たちのためなのです。聖書をよく読めば、父と母を敬うのは、私たちが健やかで長生きするため、と書いてあります。私たちが幸せに生きるために、「父と母を敬う」というひとつの試練は、乗り越えるべきハードルなんですね。

 父と母を敬うのは難しいことです。敬えば良いのではなく、敬えないほど傷ついた心が癒されて、自由になる過程に意味があり、神様はそこを取り扱おうとなさるのですよ。傷が癒やされ、自由になった結果が「父と母を敬う」なのです。今回は、この戒めの意味と大切さについて書いていきましょう。

【もくじ】
◇父と母を敬うために必要なこと①傷が癒やされる
◇父と母を敬うために必要なこと②呪いから自由になる
◇父と母を敬うとは、どういうことか
◇父と母を敬うことで、自分から祝福が始まる

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