予定を入れていない休みの日に、少年の夢は散る

今日のは日記やで。
予定を入れていない休み。その日に前日までは無限の時間が用意されている気がしてワクワクするのに、当日になり意外とさらっと終わって夜に変な気持ちで後悔気味。
と、なるのはワタクシ見えていますので、ある行動を起こした。------

------ブルーロックが面白すぎる。
そこそこ前に銭湯の漫画コーナーで1〜5巻の一次選考編まで読んでいて(知らない人はネタバレ…とかしないから怖がらずこのまま読んで)、「あ〜面白いな〜」くらいだった。そしてアニメが始まりギャンギャン話題に。僕は1週間くらい前にアニメを見始め、漫画で読んでいた一次選考編をすぐ追い抜かし二次選考編をアニメで初見。
面白すぎる。一次選考もアニメで見るとより面白く感じたし、二次選考は初見だということももちろん、真新しいのにうまく成立している設定にのめり込んだ。
サッカー✖︎デスゲーム。マンガの設定で人気のある系統を組み合わせているからそら面白いのだが、うまく合わせれるもんじゃないと思う。思いついても普通できひんもんを「な、なんでお話として成立しているの、!?」と驚かされた。
僕は純粋に作品を楽しむエンジョインなので、こんな裏側の評価みたいなんはしないしできないのだが、それでもそう思わされた。
刺さった部分は、作品がバズる要素である内容の面白さ、キャラクターの魅力はもちろんの事。そして、内容全体を通して、勝負の世界ならなんにでも通ずるであろう部分がめちゃくちゃ刺さる。
ブルーロックは、夢を叶える者と敗れる者を容赦なく描写している。ほんまにふわっとしてない。よくある、成功していく方が敗れる方に情けをかけてしまうみたいなぬるい部分もなく、いかに勝利する方を選択するか、みたいなんがたまらん。テーマが“エゴイスト”なので、アンチジャパンを感じさせるのが何よりも真新しいのだろう。
もちろんフィクションなので極端ではあるが、勝負の世界では、他人の気持ちを優先する以上に“エゴ”も大事にしなければ成功できないことに、改めて気づかせてくれる。
ブルーロックがサッカーで描かれているだけで、野球、バスケ、文化系、社会…なんでも競争の中を生きる人には“絵心甚八”の言葉は刺さるんだろうなと思った。
端くれも端くれ、偉そうには言えないが、かくいう僕も厳しい業界に飛び込む人間。まだめちゃめちゃ揉まれている訳でもないのに刺さりまくってしまう。
物語の序盤で出てきた“ゴールの方程式”というのも、お笑いに置き換えれば“笑いを起こす方程式”になる。そこに自分の得意なことを当てはめる。出来ないことをモヤモヤ考えて無理くり伸ばそうとする、みたいな間違いを起こさないための方程式。
「おい潔世一(主人公)、サクサク方程式完成させすぎやて」と思いながら、その成長速度はマンガと割り切りつつ、ブルーロックのような負けたら終わるという追い込まれた環境の、甘さゼロの環境が人間の成長を数倍も促進させるというのが伝わってくる。
ひゃーーおもしろい。戦闘民族ならゾクゾクするんちゃう。

「こ、これは…!サボりが度をすぎた時に読み返さねばっ…!!!」と、“サボるのが人生のコツ!”と唱えている僕でも、さすがに手元に置きたくなった。------

------そして予定のない今日。古本屋を巡ることに決めた。
ネットショッピングが盛んな今日日、久しく行ってない古本屋。
大っっっっっ好きなんです。昔は腐るほど行った。小学生の小銭すら持ってない小汚い格好で立ち読みをさせてもらえた。なぜ古本屋の店員さんはあんなにも寛容なのだろうか。集めたいマンガはおじいちゃんにおねだりして買ってもらえたし、ゲームもたくさん買った。幸せの空間。

来店。入った途端の匂いからもう幸せになれる。入り口から左手にあるカードバトルコーナーのオタキン達による熱気を背に感じながら、右手にある階段を登る。2階がマンガコーナー。大人になってからマンガは新品で買う主義なのだが、今日は忘れかけていた夢を叶える日。中古でしか置いていない、薄いポリ包装を施された“全巻まとめセット”を買うんだ……!!
人気も人気の「鬼滅の刃」でさえ全巻セット4,000円弱。子供の頃は手が届かなかったが、大人の力ならひょひょいのひょい。いやこんな安いん。こんな良い作品を完結まで読めて??…なんで居酒屋あんな高いねん。一夜で。ほんで記憶まで飛ぶのにさ。
様々な作品が威風堂々と塊になって並ぶ。全ての作品が並んでいるんじゃないかと言わんばかりの、それはもう大量に。マスクの下でニコニコしながら、ブルーロックの文字が書かれた背表紙を探す。

「………ない…」
多分ちょっと声に出てた。あまりにも大量にあるもんで、見逃しているんじゃないかと20分は2階を歩き回った。まじでブルーロックだけなかった。
えぇ人気で?せやんな仕入れてないとかあるはずないよな。他の人気作品全部あんもん。うーわたまたま売れたんや。運悪っ。
そしてそこから……車で4件、古本屋を回った。日曜日、お父様方が奮起し家族サービスを行なっているのか、車が多い。3時間はかかった。
……………………………ない。
いや、さすがにこれはおかしい。ほんまに全店合わせて、ない作品なんてない。ブルーロックがマイナーだからないんじゃない。まず今をときめく作品だし、どんなマイナーな作品でもいっちょ前にまとめセットがあった。なにが起きている…?本当に人気で売り切れているのか……?


世の中にはまだまだ戦闘民族が潜んでいるようだ。サボり防止のために、ブルーロックを手元に置き、ぬるま湯に浸かりかけている自分を奮起させんと、古本屋に足を運んでいる。“絵心甚八”の言葉に影響されたサイヤ人の皆さんに僕は負けた。

仕方ない。僕は時代に追いついている。古本屋?過去の遺物だ。素晴らしい空間、幸せの記憶として胸にしまっておいてやろう。今の僕にはKindleがついている。
手元に置くどころか、本当にずっと手元にあるんだぜ?データで持ち運べるんだぜぇ…!

電子版まとめ買いをポチッ。お、新品やなそら。大人やなぁ。
過去の遺物にマウントをとりながらも、
頭の隅に潜んだ少しのモヤモヤが、
夢を叶えられなかった、小銭すら持ってない小汚い少年の哀れみをあらわしていた。

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