「あ、オレ友達がいない」~句友の可能性~
この自粛状態で吟行句会が軒並み中止となる中、その代替としてオンライン句会が開催されたので、参加してみました。
ネット上で投句、選句ができるシステムを利用した句会ですが、コツをつかめばスムーズに使えますし、縦書き表示もできるので、とても満足しました。
談話室のフォームには、「この後の懇親ができないなんてー」なんて書き込みをした人もいましたが、それはまあ新型コロナウイルス終息後の楽しみにとっておくとして、RCはこの非常時に、「句友」というものについて思いを巡らせています。
というのも、ちょっと前のことなのですが、何の気なしに一人で小さな居酒屋で呑んでいた時、「あ、オレ友達がいない」ということに気づいてしまったのです。
思えば子どもの頃からあまり社交的ではなかったですし、社会に出てからは、友人をつくるということを全く考えずに生活してきました。
結果として、定年間近のこの時になって、仕事上の関係と、家族関係だけの中で生きてきたことにやっと思いが至ったというわけです。
そして、この自粛生活に入ったわけですが、人との交わりが極端に少なくなった状態で、俳句仲間のことが、とても気になるようになりました。
まあ、用もないのにメールなどもしませんが、みんなどうしてるかなぁ、どんな句を詠んでるかなあ、と毎日思うようになりました。
句会でしか会わない人たちは、物理的には疎遠なわけですが、句を通してその人の心の深淵に触れているわけですから、とても特別な関係ですよね。
懇親の席で俳論を戦わせる仲なら、学生時代の同級生みたいなもんですからね。ちとうるさい仲間ですけど。
句友という言葉は、「俳句の上での友人」という意味で使われることもあるけど、本当の意味は、「俳句を通して得た友人」ということなんじゃないかと思います。
でないと、文芸としての俳句の歴史など成立しませんし、あの必要悪である俳壇なるものも、生まれてこなかったでしょう。
夏目漱石と正岡子規が俳句や漢詩を通して出会わなければ、その後の小説家漱石は存在しなかったかもしれません。ある意味濃厚な関係ですね。
俳句を通して培った人間関係には、無限の可能性があります。RCはそう信じています。
明日も素敵な季語との出会いがありますように。
※私たちがオンライン句会で使用したシステムは下記です。
夏雲システム
https://nolimbre.wixsite.com/natsugumo