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句集刊行プロジェクト9 鉛筆書きの妙味ーー初校校正クリア!

朝、カレンダーを見たら、「入梅」と書いてありました。実際の梅雨入りのことではなく、太陽の位置で定められる雑節ということですが、雨模様の日の続くこのごろ、改めてこう記してあるのを見ると、なんだか感慨があります。

さて、RCの句集づくりは、初校著者校正をクリアしたところです。

実は、校正についてはかなりビクビクしていました。校正の人が、いろいろと指摘や注文をしてくるのではないか、そのことで頭を悩ませてしまうのではないかと。

出版社から送られてきた包みを開くのも、こわごわした思いでした。

見開きでプリントアウトされた校正紙を、一枚一枚めくってみると、ちょっと拍子抜けでした。最悪の場合、鉛筆書きで真っ黒けになった校正紙を想像していたもんですから。

いただいた指摘は予想よりかなり少なく、内容は三種類に分かれました。

1. アチャー! やっちまったタイプ:これは歴史的仮名遣いの間違いの指摘。RCは「お」と「を」の使い方に弱いようで、句会でも間違えることがあり、よく恥をかいております(汗)。

2. そこまで言わんでもタイプ:ここまで細かく見るのかと驚きましたが、漢字の字体の、「払い」の書き始めについている「筆押さえ」(ヒゲのような点)があるので、ない字体にしますかという質問です。内容にはかかわらないことですが、こだわる人もいるのかもしれませんね。

3. 迷い道くねくねタイプ:季語の指摘がありました。季節ごとに章立てを作っていたのですが、夏の章に秋の季語の句が交じっていました。句を作った時期でまとめたので、こうなっていたのですね。自分としてはここにあって違和感はないわけですが、他の人からすると、なぜここに? となるのでしょう。

こんなわけで、いろいろ考えたり考えなかったりで、結局、1と2は、校正紙ママ、3は、前書き付きの連作の中の句はそのままに、移動できる句は、秋の章に移しました。

こうしてつつがなく初校校正は終えることができたのですが、実は一番恐れていた指摘がなかったことが大きかったわけです。

それは、「類句」「先行句」の指摘です。校正の段階でこれがあったら、おそらくパニックになったのではないかと思います。

潔く捨てるーーそれがただ一つの選択肢。わかっていても、それは断腸の思い。

RCの普段の考えとしては、類想・類句については寛容です。そうした句がいっぱいあって俳句を楽しむ人が増えるなら、それもよいと思っています。が、句集として残す際には、厳しい態度が必要。当然そうですよね。

その指摘がなかったことは、ひとえに先生の選のお陰だと思いました。本当にありがたいことです。

それにしても、鉛筆書きの丁寧さというか、著者に対してすんなりと指摘が受け入れられるようなやわらかな表現には、頭が下がる思いがしました。念のための確認、明らかな誤り、判断に迷うであろう懸案事項を、それぞれ端的に上手に伝えてくれました。

きっとこの方も俳人なのだろうと思いますが、お互いにわかり合って共同作業が進行する感覚で、気持ちよく校正ができました。感謝、感謝です。

校正における鉛筆書きの妙味には、俳句に通ずるものがありますね。

さて、そろそろ著者代送の準備に入る段階です。再校を待ちながらーー

明日も素敵な季語との出会いがありますように。

RC

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