冬、マクスウェルの悪魔
冬に窓を開けるのが好きだ。
椅子に座ってパソコンに向き合う自分の身体を、なぞる様に吹き抜けていく低温低湿の空気。
36℃を保つ物体から熱を奪おうとするさまに、エントロピーの増大を感じる。
1年の内で1番粘度が低い空気は、キーボードを叩く指の運動を直接的に妨げることはないが、熱を奪い鈍化させてくる。
マクスウェルの悪魔よ、我の指に熱を取り戻し給え。
この世にマクスウェルの悪魔は存在しないからこそ、生物はみな仕事をしなければならないのだろう。
防寒具を盾にコアの温度を保ちなが