理芽「えろいむ」MVの制作記録。【後編】
※こちらの記事は後編になります。まだ読んでない方はぜひ前編からお楽しみください!
こんにちは、映像ディレクターの涌井嶺です。
先日、僕が監督した理芽「えろいむ」のMVが公開されました!
この記事では前回から引き続き、メイキングを紹介していきます。
前回までは企画やモデリングといった準備段階のお話でしたが、
いよいよここからは、一つの映像作品として作り上げていく工程になります!
キャラクターデザイン
背景をモデリングする一方で、efuさんによる怪物の制作も進みました。
・チラッと見えてゾッとするようなデザイン
・愛に飢えた女性のモンスターという設定なので、パッと見の形状は女性のかたちだけど、変に首や腕が長い、姿勢が人間のとる姿勢じゃない、みたいな感じで
一瞬カメラに写っただけで、不安感や違和感を煽るデザインにしたい
という僕のオーダーのもと、efuさんがすぐアップしてくださいました。
デザインは一発OKで、これを元にアニメーション制作も進めていただきました。
また、骸骨のモデルもプールの底で朽ちたようなイメージにしたかったので、efuさんにシェーディング・テクスチャなどマテリアルの制作をしていただきました。
プレビズ制作
以上の3Dシーン、3Dモデル、そしてビデオコンテを元に、まずは大枠のカメラワークや演出の流れを決定するためのプレビズと呼ばれる作業を行いました。CGの作品は最終のクオリティでレンダリングするのに非常に時間がかかるため、まずはプレビズの段階で色々なテストを行います。
プレビズはカットごとに各担当が行い、それをオフラインエディターが繋いでチェック用のフル尺を作っていきます。流れで見た時に演出的な問題がないか僕が確認し、何度か修正を重ねてプレビズを完成させました。
レンダリング・コンポジット
プレビズができたら、各カットを最終クオリティでレンダリングしていきます。
今回、最終のルックが美しくなるようコンポジットでのクオリティアップも行いたかったので、
まずは低サンプル数(画質は荒いが速くレンダリングできる)でレンダリングしてもらい、それをテストコンポジットして問題なければ高サンプル数(高画質だが時間がかかる)でレンダリングしていただきました。
レンダリングデータは共有したDropboxで行いました。コンポジット用にレンダーレイヤーもいくつか書き出したので、全レンダリングデータは700GBくらいになりました。
一部のレンダリングにはクラウドレンダーサービスも使用し、全てOpenEXRのマルチレイヤーで書き出しました。
コンポジットでは以下の要素を意識しました。
CGデータが全体的に緑色メインだったので、ツートーンにするために明るいところに青い光を追加。また画面外から差し込む青いレンズフレアを追加。
主人公の視点は人間の視点っぽくするため、ピントのブレや画面周辺のボケを追加して生っぽくする。
光っている部分にグロー効果の追加やレンズフレアの追加。
画面手前(カメラ近く)にあるオブジェクトや、奥まった部分の明るさを調整して奥行きを強調する。
コンポジットの前後で、こんな感じになります。
特に水中カットは違いが出やすいです。
これを全てカットごとに行い、カラコレ(色調整)用の素材を書き出します。
カラコレ・本編集
カラコレは広尾デジタルガーデンでカラリストの足立さんにやっていただきました。
以前にもフルCGの作品のカラコレをしていただいたことがあり、クオリティを非常にアップしてくださるのでお願いしました。
最後にそのデータを僕が受け取り、After Effectsで本編集作業をします。
ここでは古いビデオで撮ったようなエフェクトや、スケール調整などの仕上げを行いました。
ビデオっぽいエフェクトは今回こだわりたく、これが嘘っぽく見えると雰囲気が半減してしまうと思ったので、
いくつかエフェクトの掛け方を調べて、このチュートリアルが役立ちました。
おわりに
以上の工程を経て、MVが完成しました!
ホラーだけど美しい映像という当初の企画通りのMVができたんじゃないかと思っています。
CGアーティストの皆さんをはじめ、関わってくれた方に大感謝です!
今後はこういった映像制作の過程もなるべく記事化していく予定です。
次回もお楽しみに!
また、「えろいむ」MVもたくさんお楽しみください!
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