【くすぐり小説】ピアノ教室の女子からくすぐられてフェチに目覚めた少年の話

月曜日の午後3時。

帰りの会を終え、今日は何して遊ぼうかとみんなが話している中、ピアノ教室に通う男子が一人。

けどその目は期待に満ち溢れていた。

しかし、ピアノを弾けること自体がうれしいわけではなく、

「ふっ…んふふっ…!!うひゃはははっ!」

ちょっと特殊な理由で。




「もう高学年なんだから静かにしなさい」

(何回言うんだよそのセリフ…)

僕は北村玲。

みんなから「れー」と呼ばれている。

身長は高いのに運動はあまりできず、ただ勉強はそこそこできる、黒髪短髪のインドアな普通の少年。

先月小学4年生に上がり、先生から「もう高学年なんだから○○なさい」と言われる学年になった。

(3年生になったときは1,2年生、3,4年生、5,6年生で区切って「もう中学年なんだから○○しなさい」って言われたのに…今は1,2,3年生、4,5,6年生で区切りやがって…)

5年生になったら「中学年じゃないんだから」

6年生になったら「一番上の学年なんだから」と言われることが確定している。

「さようならー!」

今日は月曜日。

1週間で唯一授業が5時間で終わって、唯一3時に帰れる日。

しかし、僕はピアノ教室に通っているため、

帰るのはほかの曜日と同じか、なんならいつもより遅い。

「こんにちは〜」

「はいいらっしゃい、準備はできてるわ」

ピアノ教室といっても、そこは学校からすぐのところに建っている民家。

典型的なおばあちゃんの家である。

先生はその家に住んでるおばあちゃんで、入り口すぐの部屋でピアノを教えてくれる。

個人規模ということもあり、月謝はとても安いらしい。

僕はそこで毎週3時半から、1時間ピアノを教わっている。

「ありがとうございました」

午後4時半にそう言って、次の生徒と入れ替わるように部屋を出た。

今日は何のゲームしようかな、とクラスメイトと似たようなことを考えながら外に出ようとしたら、外は小雨とは呼べない程度の雨が降っていた。

(今日の天気予報は曇りだったはずなのに…)

(傘持ってきてないや…)

玄関でどうしようか迷っていると、先生が

「雨が止むまで2階で待ってなさい。天気雨やからすぐ止むやろう。階段を上がって左に行ってなあ、結衣もおるやろうから宿題でもやってなさい」

と声をかけてくれた。

「ありがとうございます」

その言葉に甘えて階段を上る。

(この家には毎週来てるけど初めて2階に上がったな)

(左…)

階段を上って左の扉を開けると、そこは10畳くらいの畳の部屋に、横2m×縦2m×高さ50cmくらいの木製のローテーブルがひとつ。

そして、

「あら、こんにちは」

とてもかわいい女の子がいた。

すらっと細い体系に丸い顔と大きな瞳を持ち、首が少し見える短めのボブ。

自分と同じ学校の子とは思えないほどかわいいが、同じ制服を着ているのでどうやら同じ学校の子らしい。

「宿題やりに来たの?」

「あ、は、はい」

「一緒ね。私は松宮結衣。5時半からピアノ弾くの。毎週ピアノ弾く前にここで宿題やってるんだー。」

(ということは毎週この女の子に会える…!)

「北村玲です。4年生です。」

不純な動機を隠しながら自己紹介をする。

「私は6年生だけど敬語使わなくていいよー!せっかくのピアノ仲なんだし。ゆいって呼んでね」

「れーって呼んでくだ、呼んでほしい」

「おっけー。れーくんは7時から?…の子は知ってるから違うか。4時からで今終わった感じ?」

「う、うん。さっき終わったところで、雨が降ってたらこの部屋に居ていいよって言われたんだ」

「そうなんだ! じゃあこんな感じのプリントの宿題ある?どっちが早く終わるか勝負しようよ」

「よーい、どん」

机に向かい合うように座ってプリントを解く。

耳からは鉛筆とピアノの音。

目の前には変わらない理料の問題があるが、目を正面に向けるとかわいい女の子がいる。

「よーし終わったー! あれ、れーくんまだまだじゃんw」

自分は半分も解けてない。

というか集中できるわけがない。

「私の勝ちだねー。じゃあさ、れーくん、机の下こうやって掴んでよ」

「え?こう?」

突然変なことを言われて困惑しつつも、言われた通り机を掴んでみる。

このローテーブルの天板の下には強度を上げるための木が使われており、かえしのようになっていたので掴みやすかった。

「じゃあそのまま離さないでねー?」

そう言いながら結衣がこっちに来て、後ろに座った。

何をするんだろうと思い首を右に回して後ろを見ようとした瞬間。

「うひゃあ!」

左の脇腹に電撃が走ったかのような刺激を受け、思わず机から手を離して腋を閉じた。

「何すんだよゆい、さん」

つい強い口調で言ってしまったけどそういえば初対面の人だったので慌てて整える。

「あっはは、負けたら罰ゲームをするのは当然でしょー」

目線の先にはいたずらっぽく笑う結衣がいた。

「「うひゃあ」だってwもしかしてれーくんってくすぐり弱い?」

「今のはいきなりくすぐられたからびっくりしただけで…あんまりくすぐられたことないから分かんないな」

あまり友達と遊ぶことはあるけど、ゲームしかしておらず、くすぐりあうなどといったスキンシップはしたことがない。

「じゃあ私が判定してあげよう♪ 最近うちのクラスでくすぐり流行っててさー それで色んな子くすぐってるからどれくらい弱いかは分かるんだ」

「なるほど」

「私くすぐるのめっちゃ上手だから覚悟してね~?ほら、前向いて前」

にやりと悪そうな笑顔を見せつつ結衣はそう言い、僕の顔をつかんで真っすぐ前に向けさせる。

僕は机をつかんでいて腋や脇腹は無防備で、僕の背後には結衣がいる状態。

「んっ」

顔をつかんだ手が離れるとき、ぱっと離れるのではなく、さわーっと、顔や耳を撫でるように離れていった。

そのとき、耳に当たったときに思わず声が漏れてしまった。

「れーくんもしかして耳弱い?なんか今びくってしたよね??」

「い、いや、そンナことないヨ」

なんとなく恥ずかしくて隠してみる。

「ほんとかなぁ~~??」

隠してみたはいいものの、耳の輪郭を確かめるように耳の外側をなぞられると、どうしても体が跳ねてしまうし、力が入らなくなってしまう。

「やっぱり弱いじゃんw友達にも耳が弱い子はいるからね〜」

「んや、やあぁ…」

耳をされるがままにされていると、手が下に降りてきて首に到達する。

「どこが弱いか調べてあげる♪次は首だよー?」

首を10本の指が包み込んで、触れるか触れないかのところでフェザータッチされる。

「どう?くすぐったい?」

「うう…ぞわぞわするう…」

「ほうほう首はそこそこくすぐったい、と…」

結衣は研究者のような反応をしている。どうやらノリノリなようだ。

首を包んでいた手がまた撫でるように下がり、背中を通って腋へ移動する。

「うっ」

背中をかすめた瞬間からくすぐったさは爆増していたが、

「お、良い反応するね~まだ腋くすぐってないよ~?」

「くひひっ…あは、あははは……」

肩甲骨を撫でられただけで笑いがこみ上げる。

少しずつ、少しずつ、焦らすかのように、背中を撫でる手は腋へと移動していき…

「いやっ!あはははっ!あはははははははっ!!!」

2本の指で腋のくぼみを引っかかれた瞬間、あまりのくすぐったさに腋を閉じてしまった。

しかし、反射的に身を守るべく腋を閉じたものの、閉じられた腋には結衣の指が挟まったままになっているので、

「腋閉じられちゃったから動けないよおー助けてぇ〜」

「あはははははっ!!やめてぇ!!!」

挟まれた指をクニクニと動かされると、強烈なくすぐったさが全身を走る。

「腋を開けてくれないれ一くんが悪いんだよー?」

「そんなこと言われてもくすぐったいんだもん!!」

「ほら、じゃあ動かすのやめるからさ、腋開けて?」

クニクニと動かされるのは止まったものの綾の間に何か物があるってだけでくすぐったい。

すでにあるくすぐったさを少しでも軽減するために腋を開けたくないという本能を、腋を開けないとくすぐったさはなくならないという理性で抑えて、頑張って腋を開く。

…こちょっ。

「うあひゃあ!」

僕が頑張って腋を開けたというのに、自由になった結衣の手は素直に離れることなく、腋をひと掻きして離れていった。

「あっははははw腋めっちゃ弱いんだねw」

楽しそうに悪い顔を浮かべた結衣だったが、

「静かにせんか!」

と、下から先生のあまり聞かない、するどい声がした。

さすがにその声を聞いた結衣は、

「ごめんなさーい!」

そう返し、

「もー。れーくんが大きな声出すからだよー?」

と、責任をこちらに押し付けてきた。

大きな声出させてるのは誰のせいだと思ってるんだ…!

「じゃ、大きな声出さないように頑張ってねー」

「ていうか、ゆいさん、もうおわりに、しませんか…?」

息も絶え絶えになりながらそうお願いすると、

「なんでよー。今週はれ一くんが宿題負けたんだからだーめ。あと10分くらい残ってるからくすぐらせてもらうよ?」

らしい。

ん、「今週は」って言ったか?

来週もここに来たらくすぐるチャンスがあるのか…?

「じゃ、続きやるよー。敏感なれ一くんが声出さないでいれるように優しくするから頑張ってねー」

その細くて白い指が迫ってくるのを見るだけでくすぐったい。

確かに一人っ子だしくすぐりっことかしてこなかったけど、まさか自分がこんなにくすぐりに弱かったなんて…

「うっ……はう…いひひっ……んひひひっ」

結衣は指1本だけで両方の脇腹をなぞってくる。

上下につつーっとなぞってきたり、たまにくるくると回ってみたり、脇腹だけでなくお腹に来たりと慣れさせてくれない。

指1本ですら十分くすぐったいのに、

「あははっ、そこ、や、ばい…!」

「んー?脇腹からお腹に行く間が弱いのかあー。教えてくれてありがとね、もっとやってあげようか?」

「んやははっ、やだあ…」

「まあ時間もないからつぎつぎ~」

ノリノリな結衣が次に狙ってきたのは、ふとももだった。

「あはっ、そこ、やばぁ…!!!」

ふとももをちょっとなぞられただけで、腋と同じくらいかそれ以上のくすぐったさが休に流れ込んでくる!

くすぐる場所といえば腋か足の裏だと思ってた自分にとって、ここがくすぐったいのは意外だった…

「え、そんなにここ弱いの?指1本だよ??」

「いたずらを越えてもはや驚かれているが、くすぐったいものはくすぐったい。しかも特に、

「あはっ、そこ、は、いや、だぁ!」

内腿がとてつもなくくすぐったく、ちょんと指が触れただけで暴力的なくすぐったさが体を襲う!

「さすがに弱すぎでしょwここ本気でくすぐったらどうなっちゃうんだろうね〜?」

「死んじゃうよ…」

「けど大きな声は怒られちゃうから本気でくすぐれないな…あ、ていうかもう6時じゃん!」

結衣が気づいたのとほぼ同時刻、1階からありがとうございましたの声が聞こえる。

あっという間のようで長かった1時間だった…

最初はこんなかわいい子と一緒に宿題ができるなんて最高だと思ってたけど、まさかこんなにくすぐられるとは…

いや、でも不思議とくすぐられるのも悪くはなかったかもな…

「足の裏とかできなかったなあ~。続きはまた来週だね」

そういえば来週も来ていいんだった。

「え、今度は僕がくすぐられるとは限らないよ?」

来週は勝って結衣をくすぐるぞ… と意気込んでいた目の前には、机の上のプリントをランドセルにしまう背中を向けた無防備な結衣の姿が。

こっそりと距離を詰めて、

無防備な脇腹めがけて、

ランドセルを持とうと手を伸ばしたその瞬間に、

がしっ

「にゃは!?」

こちょこちょ。

「やははははは!!!!」

やわらかくも細いお腹をもみしだかれた結衣は大笑い。

「こら、もう交代なんだから…!」

と顔を赤くしながら言ってくるが、その顔が赤い理由は怒っているからではなさそうである。

「結衣さんも相当くすぐり弱いんじゃない?」

「う、実はそうなんだよね。だから最近はくすぐりの刑されたくなくてテスト勉強頑張ってる」

「あはは、面白い理由だね」

「松宮さん?交代よ」

「はーい、すぐ行きます!」

下から先生の声がした。交代のタイミングだったからか、先生はさっきの結衣の大きな笑い声については何も言わなかった。

「じゃ、れーくん、またね」

「結衣さん、またね」

結衣がいなくなり静かになった部屋から外を見ると、まだ曇り空ではあるものの雨は止んでいた。

結衣の弾くピアノの音を横にしながら、小さくお辞儀をして家を出る。

帰り道。

いつもはピアノの復習をするかのように空中でピアノを弾きながら帰っているが、

(たのしかったな…)

今日の手はそうはいかなかった。

それ以来、毎週の楽しみが増え、家に着く時間は6時になり…

そして、僕はくすぐりフェチになった。




ここまで読んでいただきありがとうございました。

初投稿です。
自分が実際にくすぐりフェチに目覚めたきっかけを書きました。
事実をもとにしたフィクションです。

「来週」の話は近いうちに書きます。
https://twitter.com/ray_tkl

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