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ベンゾジアゼピンの離脱症状_11_振動によって誘発される症状

(この記事の内容は、私の知識と経験に基づく個人的な考察と症状の記録であり、何らかの実験・研究・論文等に基づくものではありません。ベンゾジアゼピンの離脱症状を理解するための参考としてご覧いただけましたら幸いです。)


人間には振動覚という感覚があり、体に伝わる振動を感知することができます。
視覚や聴覚と違って振動覚という感覚はふだん意識されないことも多いのではないかと思いますが、音が無くてもスマホのバイブレーションで電話やアラームに気付くことができるのはこの振動覚によるものです。

重いドアが強い勢いでバタンと閉まった時や大きなトラックが側を通った時、高架下にいて電車が頭上を通った時、工事現場のそばを通った時などに、ドンという感覚が体に伝わってきたり、地面が上下に振動するような感じを経験したことのある方もいらっしゃるのではないかと思います。また、車や電車などに乗っている時には、エンジンの振動や道路で車がバウンドするような振動だったり、線路の上を電車が走る時のガタンゴトンという振動を感じると思います。私は、このような種類の揺れで、自律神経発作(ベンゾジアゼピン性自律神経発作・パニック発作様の発作)が起こるなど、体調がとても悪化する状態が続いています。

厳密な意味での振動覚とは、「音叉の振動を感じる感覚」のことで、皮膚や骨などにある振動の受容器から脳に情報伝達される感覚です。
音叉とは、特定の周波数の音を発する金属製の器具で、この音叉を振動させて皮膚に当てるとブーンという感じの細かい周波数の振動が感じられます。振動覚を検査する際には、この音叉が使われます。
しかし、私の症状が生じるのは、このような音叉や携帯のバイブレーションのような細かな振動ではなく、もっと粗大な、体全体が上下に揺れるような振動です。

症状を誘発するのが体全体の揺れであること、車の揺れで体調が悪くなるのは乗り物酔いに共通する要素だということを考えると、私の症状には、厳密な意味での振動覚に加えて、めまいの記事で説明した平衡感覚などが関与しているのだろうと考えています。
ただ、「平衡感覚の異常」という表現は、ほぼイコールで「めまい」の症状を指す言葉だと思います。
粗大な振動によって私に起こる症状は、めまいの時もありますが、めまいを伴わない呼吸困難感や動悸、吐き気、胸部や腹部の強い不快感などであることも多く、この振動に対する過敏性を「平衡感覚の異常」「めまい」にまとめてしまうのは、自分の症状を考えるとかなり違和感があります。

この粗大な振動の感覚を振動覚と呼んで良いのか、呼ばないのであれば他にどのような用語があるのかという事をインターネットで少し調べてみたのですが、はっきりした答えにたどり着くことができませんでした。
ただ、私の体調に影響を及ぼす振動、すなわち、工事現場や道路・鉄道などの振動は人体に重大な影響を与えるものとして、環境基本法で定義されている公害のひとつであり、振動規制法によって規制されているそうです。
実際、このような振動の刺激を体に与えると、不快感を感じたり、体を戦闘モードにする交感神経が興奮するというデータがあるようです。これは、人間の祖先にとって、振動が捕食者や敵の襲来などと関係していたであろうことを考えると納得のいく話です。
ベンゾジアゼピンの影響によって、脳で振動を認知したり、自律神経に命令を出す神経などが過剰に活動する状態にある場合には、このような振動の影響が健康な人よりも強く出ることもあり得ると考えます。

上記のような経緯から、振動規制法で規制されているような「粗大な振動」の感覚も「振動覚」と呼んで書いていこうかと今は考えています。
他の記事でも、このブログで「振動覚」と表現されている感覚は、主に、音叉で生じるような細かい振動ではなく、地面や乗り物が揺れるような粗大な振動の感覚の事を指していると理解していただけましたら幸いです。

以下、振動によって生じる私の症状について述べていきたいと思います。

減薬を始めた前後の頃の私は、振動覚が非常に過敏な状態になっていて、家の中のドアが閉まる振動、人が歩く時の振動、家の前を車が通る振動(私の家の前の道は細いので、車は徐行しているのですが・・)、何十メートルも離れた幹線道路を通るトラックの振動など、それまでは起こっていることすら分からなかった振動で自律神経発作が起こるようになりました。
振動に対しては、サングラスや耳栓のように簡単に遮る道具もありませんので、家で自分が静かに寝ていても、外で起こっていることの影響で発作が起きてしまう状況でした。
これらの振動は、座ったり立ったりして体を起こしている時よりも、横になっている時の方が格段に大きく感じられますので、振動による自律神経発作は、横になっている時の方が起こりやすくなります。また、振動によるかどうかにかかわらず、自律神経発作自体が、体調の悪い時ほど起こりやすくなります。つまり体調が悪くて横になりたい時ほど、振動によって自律神経発作が起こり、より体調が悪くなっていくという悪循環が起こります。

また、自分が乗り物に乗るとダイレクトにその振動を受けることになりますので、乗り物にも基本的に乗れなくなりました。
タクシーだと、発作が起こっても、座席にもたれて耐えていればとりあえず目的地の目の前までたどり着けますし、本当にひどい発作が起こってどうしようもなくなれば、家まで連れて帰ってもらえますので、どうしても遠くまで移動が必要な時はタクシーを利用することにしています。
座っている姿勢を保つことがとても難しい時期もあったので、ストレッチャーで移動できる介護タクシーのようなものも検討したのですが、横になって車の揺れが伝わってくる状態は耐えられないと考えて、利用しないことにしました。
(自家用車が一番良いのでしょうが、私の家には車もありませんし、車を運転できる人もいません。)

現在は、遠くの道路でトラックが通ったかどうかなどは分からなくなりましたので、一番症状がひどかった頃よりは少し軽快していると言えます。
ただ、今も乗り物には乗れませんし、幹線道路の近くや工事現場の近くを通ると体調に影響します。
また、ドアを強く閉めた時の振動、掃除機をかける時の振動などでも症状が起こる状態が続いています。

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