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ベンゾジアゼピンの離脱症状_10_めまい_平衡感覚に関連する症状

(この記事の内容は、私の知識と経験に基づく個人的な考察と症状の記録であり、何らかの実験・研究・論文等に基づくものではありません。ベンゾジアゼピンの離脱症状を理解するための参考としてご覧いただけましたら幸いです。)


私が経験しているベンゾジアゼピンの離脱症状の中で、最も生活に支障のある症状の一つがめまいです。
私は少なくともこの5年以上の間、めまいが起こらない日は一日もありません。

人間が目を閉じた状態でもまっすぐ立っていられたり、スポーツ選手がクルクル回転してもスッと元の姿勢に戻ったりできるのは、耳・体・眼などから自分の姿勢や重力などの情報を脳に入力し、脳でそれらの情報を組み合わせて空間における自分の位置を判断しているからです。これを平衡感覚と呼びます。

平衡感覚を構成しているのは、主に下記の3つの要素です。
①    耳の奥に前庭という部位があり、この前庭にある半規管と耳石器という器官で回転や直線的な動き、重力などを感知して脳に伝えます。
②    関節・筋肉・皮膚から、体の曲がり具合や伸び具合の情報が脳に入力されます。(この感覚を深部感覚・固有感覚と言います。)
③    眼から、視覚的な空間と自分の位置関係の情報が脳に入力されます。
これらの、空間や姿勢の認識に関わるいずれかの器官や経路が障害されると、めまいが起こります。
ベンゾジアゼピンによって生じるめまいの場合には、耳や眼、筋肉などが異常をきたすわけではなく、そこからの入力情報を受け取り、処理する神経の活動が異常になることによって起こっていると考えられます。

平衡感覚には自律神経が関わる経路も存在しています。
これを前庭自律神経反射と言います。耳の前庭から入力される刺激によって起こる自律神経反射で、めまい感、悪心、嘔吐などが現れます。
例えば乗り物酔いにはこの反射が関わっていて、前庭から脳への過度の信号により自律神経系に異常を来すために起こるものとされています。
私はめまいに伴って自律神経発作が起こったり、自律神経発作の症状にめまいが含まれることが多いのですが、その原因はこのように平衡感覚が自律神経にも関わっているためだと思われます。

私は毎日のように、一日に何度もめまいが起こって、本当に辛いですし、生活にも支障があって困っているのですが、平衡感覚がこれだけ様々な入力情報を適切に処理した結果として成り立っていて、そのどれかが少しでも狂うとめまいが起こることを考えると、頻度が高いのも当然なのかなと思います。

私の場合、めまいの性状(どんな種類のめまいか)は時によって様々ではありますが、一番頻度が高いめまいは、体の内側が激しく揺れているように感じるめまいです。
私は以前、ベンゾジアゼピンを内服し始めるよりも前に、良性発作性頭位眩暈症と呼ばれる耳の異常が原因で起こるめまいになったことがあり、この時は目を開けると部屋が回転しているように見えたのですが、ベンゾジアゼピンの離脱症状で起こるめまいはそれとは違って、外の世界ではなく、体の内側が揺れているという感覚のことが多いです。

症状がひどい時は、嵐の海を木の葉になって漂っているような、体をあちこちから引っ張って振り回されているような、ものすごいめまいが起こります。
横になっても、眼をつむっても、何をしても治まりません。
何もできない、何も見られない、何も考えられないという状態になります。
吐き気を伴うこともしばしばあります。

めまいが長時間続くときは、この症状の中でトイレに行ったり水を飲んだりする事が必要になってきますので、これが本当に大変です。

少し頭の向きを変えたり、寝返りをするだけでも、めまいが急激に悪くなることもあります。
上を向いた時にめまいが起こりやすいので、高い棚の上にある物を取ろうとした時などにめまいが始まることも多いです。
また、歯磨きをすると手を左右に動かすのに合わせて、どんどん横揺れのめまいが増幅していったりもします。
視覚的な動きでもめまいが起こるので、目線を急に動かしたり、スマホの画面をスクロールしたり、テレビの画面で文字が流れるのを見ただけで激しいめまいが起こる事もあります。

家族や支援してくださる方々の話によると、めまいが起こっている時は他人から見ると眼がピクピクと動いているのが見て取れるようです。これは眼振と呼ばれる症状です。

このようなめまいがずっと続いていると眠る事もできないのですが、めまいの症状は心身の消耗がとても激しく、疲れ切って途切れ途切れに気絶するような感じにはなります。しかし、意識が少しでも戻ってくると、またすぐに全身が激しく揺れている感覚がやってきます。

めまいがあると体がぐらぐらしたり、足が地面に沈み込むような感覚があったりして、動くのが大変になります。
家の中でも廊下の壁にぶつかりながら、あちこちに手でつかまりながら歩くような感じになります。
ある程度めまいの症状が強いと、体を起こしたり、座っていることも難しくなります。

強いめまいが起こっている時は、横になっている以外にどうしようもありませんが、軽いめまいは歩いている時などにもしばしば起こりますので、めまいがある状態で少しでも安全に安定して歩けるように、自分の足の裏よりも接地面が大きめの靴底のスニーカーを履いたりしています。

以前は、ある程度強いめまいがあっても外に出なければならないことが時々あり、そういった際には杖を使っていました。(杖は、筋力低下を補う意味でも使っていました。)
自宅にたまたま家族が以前使っていた杖があり、私よりも体格の大きい人が使っていたものだったので安定感があって、それにしがみつくようにして立ったり歩いたりしていました。
杖に加えて、人に手伝ってもらわないと歩けない時もありました。
めまいが強い時は、歩く以外にも、起き上がる時などに人に助けてもらう必要が出てきます。

最近はめまいが強い時に外出しなければならない機会が無いので、杖を使う事はなくなりました。
ただ、軽いめまいを含めると毎日起こってはいますし、かなり程度の強いめまいも今も時々起こって、それが一日中治まらないこともまだまだあります。


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