続『犬王』

先日、犬王の感想を投稿した。
だが実は自分でもあの記事にはそこまで納得がいっていないところがあり、ここ数日色々と考えていた。

そして犬王のサウンドトラックを聞いたとき、なんとなく頭の靄が晴れた感じがしたので、続という形で書かせてもらう。

僕が本当に引っかかったところは以下の2点。
①音楽の長さ
②音量のバランス
これが僕が犬王に対して没頭しきれなかった真の原因だった。


①音楽の長さ

僕の集中が一番切れたのは中盤、「犬王 壱」から「鯨」までの間だ。
まず曲それぞれの長さを記載する。

犬王 壱(友一) :5.14
腕塚(犬王):5.36
犬王 弐(友一):5.14
鯨(犬王):7.04

ここでは友一の琵琶ロックと犬王のロック能が交互に展開される。
だが問題は歌詞の内容だ。

犬王壱及び弐は「犬王について語る」パートだ。
歌詞は犬王の生まれ育ちや、平家物語の失われた物語を拾っているというもの。
これは作中の観客にとっては大事だろう。
だが映画館の観客にとっては、そんなことは「すでに知っている」のだ。
つまり物語上の進行はほぼ無いし、新規の情報もない。

しかも通常のロックミュージックにおいて5分はそこそこに長い方だ。
友一は主人公ではあるが、あくまでメインは犬王の能だ。
だというのに「犬王 壱」「腕塚」「犬王 弐」はほぼ同じ尺。
しかも歌詞の進行・密度の影響によって「犬王  壱弐」の方が体感として長く感じる。

せっかく「腕塚」で盛り上がったのにまた友一が長々と語ってるよ……というのが見た時の自分の感覚だった。
個人的にベストな配分は3分・5分・3分だったと思う。
しかし計10分の友一ロックを聞かされた後に「鯨」へ行かれても、完全に集中力が切れているから100パーセント没入しきれなかった。

「鯨」も「鯨」で、
①イルカ(イルカの大群による鯨)が平家と源氏のどちらに行くのか
②イルカは来なかった
③だが平家の亡霊はイルカが来るのを待っている
と、「腕塚」に比べれば物語性に欠ける。

集中力がかけた状態で「鯨」を聞かされたせいで、また物語ないじゃんか、と感じてしまったのだ。


②音量のバランス

これはIMAXかどうかとか、正直劇場の良し悪しも関係してきていると思う。

基本的に映画館で聞く音楽はボーカルより楽器の方がよく音が聞こえる。
通常は別にそれでいいかもしれないが、「犬王」はミュージカル映画だ。
しかも内容は平家物語のニッチなところで、歴史用語などがガンガン使われる。

ヘッドホンで歌詞を見ながら聞けばすんなりわかることも、映像を見ながら聞きづらい音量バランスで聞いているとわからない箇所が大量に出て来る。

そのために「何言ってるかわかんない」となってしまうとかなりよろしくないのだが、僕が観た映画館ではそれが起こってしまっていた。
だから劇場での「腕塚」などは(物語は知っていたものの)ぼんやりとしか理解できなかった。

これが例えば字幕付きだったり、完璧な音量バランスであればきっと3割増しで楽しめたような気がする。


終わりに

というわけで、先日の『犬王』評を変えさせてもらった。
とりあえず僕は家でヘッドホンをしながら見るのをおすすめする。
もちろん異論はあるだろうが。


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