見出し画像

脳科学塾ルポ〜10ヶ月コースを修了

理化学研究所・脳神経科学研究センター(理研CBS) による「脳科学塾」の10ヶ月コースを修了しました。

講義スライド等は基本的に非公開のためシェアできませんが、どんなコースだったかイメージがつく程度に、問題なさそうな範囲で、ルポをお届けします。

講義の内容

細胞の構造と機能、計算論的手法、テクノロジー、学習と記憶、情動と社会的行動、疾患など、幅広いテーマについて、概要から詳細まで深く紹介されます。Nature, Science, Neuronなどに掲載された著名な論文をベースにしており、研究の概要、記録動画、実験結果のグラフなどが紹介されます。講義スライドは、毎回50~100ページほどあり、非常にボリュームが多いです。

(一部の講義スライドの表紙をピックアップ)

画像3

募集要項にもある通り「主に大学院の修士課程1年を対象」にしており、普通の社会人である僕にとっては非常にレベルが高かったです。特に、生物学系の英語をベースにした知識がないとキャッチアップが大変な講義が多かったです。

講義の進み方

講義の前に、講義スライドと関連論文の一覧がシェアされます。例えば、第1回の講義「The development and meaning of dendrite arbor shape」では、下記のような論文の一覧です。

Review
1) Lefebvre JL., Sanes JR., Kay JN. (2015). Development of Dendritic Form and Function. 10.1146/annurev- cellbio-100913-013020
Primary literature
2) Lee S., Stevens CF. (2007). General design principle for scalable neural circuits in a vertebrate retina. 10.1073/pnas.0705469104
3) Chen SX., Tari PK., She K., Haas K. (2010) Neurexin-neuroligin cell adhesion complexes contribute to synaptotropic dendritogenesis via growth stabilization mechanisms in vivo. 10.1016/j.neuron.2010.08.016
4) Yoong LF., Lim HK., Tran H., Lackner S., Zheng Z., Hong P., Moore AW. (2020) Atypical Myosin Tunes Dendrite Arbor Subdivision. 10.1016/j.neuron.2020.02.002

事前学習できる時間があれば、目を通すのが良さそうです。今年度は、Basecampというツールで、講義スライドや関連論文が共有されました。

画像1

講義は、Zoomを使って、終始オンラインで実施されました。毎週火曜日 16:30~19:30となっており、2~3時間の長さの中で、途中休憩が1~2度入る感じです。質問はいつでもウェルカムで、Zoomでコメントを投稿したり、キリの良いタイミングで質問時間が設けられたりしました。また、講義外でもSlackを使って、事務局の方や受講生間でコミュニケーションを取ることができました。

受講生のバックグラウンド

受講生は50名程度でした。主な受講生である大学院生が5割くらいで、残りの3割が学部生、2割が研究者という感じでした。僕のように、大学院生でも学部生でも研究者でもない普通の社会人は、特殊なケースのようです。

また、所属機関としては、東京大学・京都大学・東北大学・筑波大学などの国公立大学から、慶應大学・早稲田大学などの私立大学まで様々でした。

受講生レポーター

脳科学塾の良さを紹介する受講生レポーターが募集され、何名かが自主的に参加しています。面白そうなので、僕も参加してみました (笑画像2

さいごに

脳科学やブレインテックの研究者を目指す方は、間違いなく参加した方が良い講義だと思います。社会人の僕にとっては専門性が高く大変でしたが、研究の歴史、研究の進め方などの大枠を理解できましたし、何より研究者が何に興味を持ち、どう行動するのかといった空気感を感じれたのは、今後の糧になりそうです。

脳科学塾について一般公開されている情報や、入塾までのプロセスは、下記の入塾前のnoteをご覧ください。




いただいたサポートは、note執筆の調査費等に利用させていただきます