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Debut/Bjork-様式美の彼岸-Human Behavior

今年、初めてBjorkを生で聴きに行く。

ファンというほどではないけれど、一度は生で聴きたいと思っていた人だったので本当に楽しみにしている。

Bjorkのアルバムの中ではこのDebutが抜群に好きで、今でも度々聴きたくなる。
泥だらけの地べたから天上まで清濁あらゆるものをちゃんと自分の感覚でのみこんで消化しアウトプットまでブレずに完遂してみせるスケールの大きさを感じる。
ビッグアーティストの最初に売れた作品、もしくはその手前の作品は大抵、格別の覇気を感じるもので、そういった意味でも相当なカロリーではある。

大学時代だったと思うが、昔、NHKかなにかの番組で、詩人の吉増剛造さんのドキュメンタリーをやっていた回の録画をなにかで観る機会があった。
その中で、今でも印象に残っているくだりがある。

ブラジルにて歩いている途中で蟻の巣を見つけた氏が、座り込みしばらくじっとそれを眺めた後、静かに発した言葉。
「この蟻の巣を宇宙だとして、私達がこの蟻だったとする。今我々がこうしてこの巣を眺めているかのように宇宙を外側から眺めている、そんな存在に想いを馳せる。我々が認知していないだけで、そんな存在がある可能性はごく自然に想定できる」。
うろ覚えではあるが、確かそういった趣旨の事を仰られていた。

そういう事を小さな日常風景から自然に想起できるきめ細やかさとスケールの大きさを兼ね備えた、土着的でありながら天上の住人のような感性が、なんとなくBjorkを彷彿とさせた。

Human Behaviorを聴いていると、Bjorkは地に足の着かない不思議ちゃんなどでは無く、非常に地に足が着いている上で、視点が細やかで尚且つ広く遠くに及んでいる人なんだな、としみじみ感じる。

それは、従来の様式美をふわりと、そしてしっかりと超えてゆく人の特徴なのかもしれない、とも思う。









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