[生汁日乗]ヒトの分:2024年10月18日(金)
小雨の日。
朝から、隣の敷地で新築の工事をしているのだが、今日は一人、大声で「馬鹿野郎!!」、「何言ってるかわからねーんだよ!!」、「遅ぇんだよ、早くやれよ!!」とかとか、別の作業員に対する罵声を大声で飛ばしまくっている作業員が居た。作業音や振動は我慢できるのだが、人を貶めるような怒号を聴き続けるのは精神衛生上しんどい。ので、施工会社へ電話し、状況を説明して、何とかして貰えないか相談してみた。状況を理解して頂けて、現場に対してそのようなことがないよう伝えるとのこと。ちゃんと連絡が行ったのか、午後は、少しましになった気がする。
常識的な職場ならばパワハラ一発アウト判定が下されるであろう、無茶苦茶な暴言ぶりだったが、それを普通にやっていたその作業員は、多分、過去に自分もそうやられて来たのかも知れない。そして、それが無茶苦茶であるということを認識することは、決して、容易じゃないのかも知れない。
でも、祈りたい。どんな仕事場でも、基本的な倫理観と心理的安全性が保たれますように。
わたしはと言えば、午前中は仕事して、午後から休暇を取る。ほんとは1日休みたかったのだが、午前中は社外との打ち合わせが外せず、稼働。カミさんの調子もまだ、良くないし、私自身も休みを必要としている。なにしろ、元気がないと、家のことをちゃんと回せない。
午後、久しぶりに少しまとまった時間、本読み。夢野久作『ドグラ・マグラ』、辻井良雄『しぶとい十人の本屋』など。
そして、『しぶといー』を読んでいて、小売店にてクレジットカードを使うのは極力控えようと誓う。クレジットカードにも「ラットレースの仕組み」がしっかりと組み込まれている。Amazonで買い物をするのは随分前からなるべく控えるようにしていたのだけど、まだまだ無自覚にその手の「仕組み」に加担していることが山程有るのだろう。だからこそ、暮らしのあり方に、少しずつで良いので、なるべく自覚的であるようにしたい。
昼過ぎ、帰宅した息子が数学の定期テストの解答についてクラスメートの間で意見が割れたという問題について語る。
曰く、以下のような確率についての出題。
・とある集団において、全体の4%が、ある感染症に罹患している。
・この集団の全員がスクリーニング検査を受けた。
・検査の精度としては、罹患者の80%から陽性反応が出るが、非罹患者の10%からも陽性反応(つまり偽陽性)が出る。
・検査結果で陽性反応が出た人の中に占める非罹患者の割合を求めよ。
私の回答を伝えると、彼の出した答えと一致した。
モデルとしてのリアリティはさておき、時事的な数学問題である。そして、時事的といえば、最近ではこういう問いも、Chat-GPTに訊ねて、試験後に正解を確認したりするそう。学習の場にもAIがじわじわキテいる。ううむ。
夕刻、娘が『名探偵コナン』の最新刊を買うというので、一緒に駅前の本屋へ。
坂本千明さんと、藤岡拓太郎さんがパレスチナ支援のためのポストカードを出品していたので購入。
坂本さんは最近友人にその存在を教えてもらったばかり。藤岡さんも「Title」で最近、個展をやっていて知ったばかり。そんな、最近知ったばかり二人のアーティストのポストカードが並んでパレスチナ支援を訴えている。何かの縁を感じて両者のカードを手に取る。
ちなみに、坂本さんの絵はフォトジャーナリストの安田菜津紀さんの「パレスチナとアイーダ」という記事に出てくる猫がモチーフだという。かわいくて素敵な、その絵に込められた、メッセージを汲みたい。
パレスチナに自由と平和を。
AIは正解がある問いの解は導出できる。が、正解のない問いについての取り組みは、まだまだヒトの方に分があると思いたい。「基本的な倫理観と心理的安全性の作り方」とか、「自由と平和の作り方」とか。
今宵、外は雨。雨音を聞きつつ、本のページを繰る。久しぶりに心穏やかな夜。
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