見出し画像

金縛り

私は今まで3回金縛りにあったことがあります。


そのうち2回は前に住んでいた場所で起こりました。
そのうち、一番最近に金縛りにあったときの話をします。


私は大学入学を機に一人暮らしを初め、とある大学の近くのアパートに住んでいました。
そこは、1Kのアパートで台所3畳くらい、部屋6畳、畳、玄関を入るとすぐにキッチンで、ふすま隔てて部屋がある感じ、風呂トイレ別、家賃が27000円と、他の同級生が住んでいるアパートよりも格段に安いところに住んでいました。


安いなりに、2階への階段もサビサビだったのですが、中は最近少しリフォームしたということで、畳は新しく、壁は白い壁紙に張り替えてありました(もともと土壁だったらしい。)
色々ありましたが、結構住みやすいアパートでした。
ただ、その大家さんが結構おしゃべりで、入居前の部屋紹介の間もいろいろ話をしてくれました。
むかしバブルのときとかは大学生なのにでかいスポーツカーとかがアパートの前の駐車場にズラッと止めてあったりとかすごかったんですよーみたいな。
ここも古いですけど…まあ去年ちょっとあって少しリフォームしたんですよって言ったんですよ。
ちょっとあっての部分が少し気になったのですが、大家さんはそのまま話し始めたので、その時は特に気に留めませんでした。

金縛りにあったのは確か大学2,3年のときです。

ある日急に目が覚めました。確か朝の5時くらい、薄明るい時間でした。
特にその日はそんな早い時間に起きる予定もない日でした。

頭は冴えているのに体はだるく動悸がする。

僕の金縛りの前触れはこんな感じです。まさしく起きた直後に動悸がし始め、体は重くなっていきました。
3回目の金縛りなので、あー、またか、と思うと同時にあるものを探すようにキョロキョロあたりを見回しました。

3回の金縛りの中で共通していたのが、金縛り中、黒い靄が集まって何かを形作っているものを見るのことが必ずありました。
なので今回もその靄を自然と探してみたのですが、今回はすぐに見つかりませんでした。

でも、しばらくしたら、台所の方から玄関の扉を開けて誰か入ってくるような音が聞こえ、ガラガラと部屋のふすまを開ける音がしました。
仰向けに寝てて頭の上の方がそのふすまだったので、頭上に目線を上げると、黒い靄が固まってできたような人のシルエットが見えました。


怖くて目を閉じようとしたのですが、目が閉じれず、且つ目を離すこともできず、ずっとそのシルエットを見ていました。
そのシルエットは、部屋の中をゆっくり歩いて、真ん中のちゃぶ台を起点にゆっくり一周して歩きました。
そして、入ってきたふすまを締めて、玄関の扉を締めて出ていった音が聞こえました。

居なくなったと感じた瞬間、やっと目が閉じれるようになったので、怖かった怖かった…と思いながら、ぐっと目を閉じてもう一度寝ました。

次に起きたのが9時頃、体を動かすことが出来たので、とりあえず誰かが入った痕跡がないか確認しました。

ちゃぶ台の上に置いてあるものを確認しましたが、特に触られている形跡は無し。財布もそこに変わらずありました。

台所も確認しましたが、特に変化はなし。

特に何か取られたとか、あらされた形跡はないな、と安心した時に、一瞬嫌な予感を感じました。

「俺、家の鍵閉めてたっけ」


確認したところ、玄関の扉の鍵は、掛かっていませんでした。

僕の、どうしても忘れられない、金縛りの記憶です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?