自分の中に架空の女の子を住まわせることで生活の質を上げる

友達が身近な人の書いたエッセイを読みたい、と言っていたのでなんとなく書いてみることにした。複数出してくれたお題の中から「生活」と「救い」を選択。きちんと準ずるものが書けているかは不明(すみません)。あと時間が経ちすぎていてすみません。

私は怠惰な人間である。一人暮らしをしているが、自分でやりたくないことが多すぎる。朝はそもそもベッドから極力降りたくない。メールをチェックするのも面倒臭いし、返すのにはさらに多くのエネルギーを消費する。コーヒー1杯入れるのにも作業工程が多すぎてやりたくないし、使ったコップを洗うことを考えると飲みたい気持ちも半減する。
また、一人暮らしをしていると、時折ひどい孤独感に苛まれることがある。作った料理が明らかに失敗だった時や、こわい夢を見た時など、他に人がいれば笑い話になるようなことも、一人だと落ち込む以外選択肢がなくなってしまう。
怠惰と孤独、一人暮らしをする上で障壁となり得るこの2つの敵に、私は心の中に架空の女の子を住まわせることで対処している。自分とうまくやっていけそうな、自分の好きな要素を詰め込んだ女の子をイメージして、その子が自分の中に別人格として存在していると考えれば、自分のことを大切にしながら丁寧に生活できるのでは、と考えたからだ。こう考えると、いろいろなことが随分と違ってくる。
まず、自分の部屋は自分だけのものではなく、彼女の部屋でもあるのだから、できる限り綺麗に保とうと思うようになる。埃のたまった部屋で生活させられているその子を思うと心が痛むからだ。架空の女の子の目を通して見ると、今まで気にならなかった水回りの汚れや、出しっぱなしの本や、洗っていない食器などがどうしても気になってくる。彼女は私と同居しているせいでこんな汚い部屋に住まわされて、なんてかわいそうなんだろう、と思い掃除をこまめにするようになる。食事も彼女のために作る。自分ひとりだと簡単に済ませがちだが、自分の中にいるその子は自分で食べるものを選べないのに、粗末なものばかり食べさせられていると思うとかわいそうだ。そうすると出来るだけ手作りの、栄養バランスを考えたものを作るようになった。
寂しい時も、彼女との会話を想像してみることでやり過ごす。本来私はかなりネガティブだが、自分の中に自分とは違う考え方をする人格がもうひとりいると、気が楽になったり、思ってもみなかった選択肢を思いつくことがある。失敗しても笑って済ますことができる。何かを決断する時も、私だったらこうするしかないと思ってしまうけれど、あの子だったらどう考えるかな、と視点を変えてみる。自分ではない誰かの価値観が常に頭の片隅にあると、寂しさを感じなくてよい。思いつめて選択肢を間違えることも減ったように思う。
誰かに大切にされるのを待つよりは、自分で自分を大切にする方法を学んだほうが手っ取り早いと思っている。一人暮らしで生活が乱れがちになっている人や、自己肯定感が低くて自分を大切にできず困っている人には、ぜひ試してみてほしい。

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