『ナンバMG5』のドラマ化がどう転ぶかはわからないが原作は面白いから是非読んで

小沢としお氏の名作『ナンバMG5』がドラマ化されるそうじゃないですか。続編の『ナンバデッドエンド』も併せて、他のヤンキー漫画とは一味も二味も違う衝撃作。1クールくらいでどれだけ描けるのか不安はありますが、あの名作をより多くの人に知ってもらういい機会でしょう。

しかし、もしドラマがつまらなくても、お願いだから原作は読んで!  大人が読んでも子供が読んでも面白いし、ヤンキー漫画が好きでも嫌いでも、いろいろ考えさせられてキャラクターたちと一緒に一喜一憂できる名作だから!!!

まずちょっとあらすじを。

関東の筋金入りのヤンキー一家、難破家
10代の頃は千葉最強のヤンキー、トラック運転手の父勝。気合いの入った元レディース、料理上手な母ナオミ。関東を制覇した長男の猛は誰もが恐れるカリスマヤンキーで、長女吟子は改造自転車を乗り回す。難破家飼い犬の松も、近所中の犬をシメている。
そんな家庭で生まれ育った次男坊、難破剛(なんば つよし)。彼も14校を傘下に持つ中学のアタマをはっていたバリバリのヤンキー。その強さから、関東では知らぬ者は1人もいない「難破兄弟」の弟として名を轟かせていた。
全国制覇いったれ!家族からの熱い期待を背負い、特攻服をひるがえし、不良校と名高い市松高校へ進学する。
……はずが、なんと白百合高校でシャバいフリ!?

普通の青春に憧れたヤンキー少年が、家族に内緒で特攻服を脱ぎ、正体を隠して真面目な学校で"逆"高校デビュー
好きな女の子も出来て、同じ部活にも入り、恋に勉強にと正に普通の青春を謳歌する剛。しかし、次から次へと巻き起こる問題を見過ごせず、こっそり特攻服に着替えて大暴れ。陰から友達を助けたり問題に対処したりしていく内に、その強さと目立つ風貌が、正体不明の「特服(とっぷく)の男」としてヤンキー界の巷を騒がせることに。
家族にも友達にも、誰にも言えない、良心の呵責。時には誤解され、時には蔑まれ。悩みを抱えながらも壁を乗り越える剛は、理解者との絆、強者との闘いで、人としてより強く成長してゆく。

「全員まとめてかかって来いや!!」

最強ヤンキーとシャバ僧の二重生活を描いた、笑いあり、涙ありの、痛快ヤンキーバトルギャグ漫画。

ナンバMG5 - Wikipedia

『ナンバMG5』『ナンバデッドエンド』の物語の深みは、この設定によるところが大きいでしょう。この漫画は、基本姿勢としてヤンキーを賛美していません

主人公の剛が生まれ育った町は、作中で明言はされていないものの、かなり治安の悪い地域です。そこで当然のように育ってきた彼ですが、喧嘩して誰に勝ったの誰が強いのだけの生活に虚しさを感じ、いわゆる「普通の」生活を送りたくて、家族にも地元の仲間にも秘密で逆高校デビューするわけです。

最初、この流れはギャグ調で描かれました。しかし物語が進むにつれ、剛が二重生活を送ることの後ろめたさに焦点が当たっていきます。彼はヤンキー人生はうんざりですが、ヤンキー一色の家族や仲間たちを否定したいわけではないのです。寧ろどちらも大事だからこそ、秘密の二重生活を送っているのです。

この作品は、よくあるヤンキーエリート二元論では描かれません。ヤンキーは馬鹿だけど裏表のないいい奴、エリートは陰で悪さをする嫌な奴というようなことも、その逆もありません。ヤンキーかどうかは関係なく、どちらにも他人に迷惑をかける悪い奴と、自分の人生にまっすぐ向き合う良い奴がいます。――こういう人間観が、私は本当に好きなんですけど!

剛の二重生活を知ったうえで仲間になる伍代と大丸ももちろんすごくいいキャラなのですが、剛の高校の美術部の先輩や中学時代の同級生・関口恩師の長谷川先生なんかは、もう、聖人かと! 個人的には、こういった非ヤンキーのキャラにも注目してほしいところ。もしドラマで描かれなかったら、是非原作を読んでね!!!!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?