格ゲーが構造的に衰退する理由

2023/09/12 追記
自分の文章スキルの至らなさゆえですが、"雑魚狩り"の指すものを上手く伝えられなかった人がそれなりにいそうです。

ここでの"雑魚狩り"は
「『今まで手こずっていた敵が、途端にザコ扱いできるようになった』という自身の変化を確認する作業」
のことを指します。

雑魚を狩るのが目的ではなく、雑魚を狩ることを通して自分が強いことを確かめるのが目的。
あまりしっくり来る表現が思いつかなかったので本文では"雑魚狩り"と書きましたが、"格付け"としたほうが、より表現として適切かもしれません。

今から本文を読む人は、"雑魚狩り"を"格付け"と読み換えてください。
むろん、このnoteが対人ゲームにおける雑魚狩りや格付けを推奨するものではないことは言うまでもありません。


※おことわり
このnoteは「格ゲーは衰退するしかない。格ゲーは終わり」ということを言いたいのではなく、「格ゲーは今のゲームの仕組みだと構造的に衰退するしかない。だからどうすればいいか?」ということを考えたいものです。

格ゲーが抱えるゲームの構造としての問題

みなさんがゲームをやっていて、「努力が報われたなぁ」というカタルシスを一番感じる瞬間は、例えばどんなときでしょうか?
RPGを例に挙げてみましょう。

経験値を貯めてレベルが上がった時。
お金を貯めて新しい装備を手に入れた時。
両方、モンスター狩りという努力を経て手に入れた報酬です。

この「努力に対する報酬」という構造がゲームの楽しさの核であり、ゲーム側がこの構造をどれだけ上手に用意できるか?というところに、ユーザーがどれだけ夢中になってくれるかが懸かっています。

さて。
RPGを遊んでいてカタルシスを感じる瞬間として、以下の二つを例に挙げました。

経験値を貯めてレベルが上がった時。
お金を貯めて新しい装備を手に入れた時。

この二つが楽しい瞬間であることには間違いないですが、それよりももっと楽しく、もっと強くカタルシスを感じるであろう瞬間があります。
それは「雑魚狩り」です。

どういうことかと言うと・・・
レベルが上がったり、新しい装備を手に入れたりして変わるのは、つまるところただのパラメーターの変化です。
このパラメーターの変化は、「今まで手こずっていた敵が、途端にザコ扱いできるようになること」という変化によって、初めて実感することができます。

例えば・・・どうのつるぎを買ってみた。これまで2発は殴らないと倒せなかったスライムが1発で倒せるように。
イオを覚えた。これまでは手こずっていた複数の敵も、一網打尽にできるように・・・
といった感じでしょうか。

つまり、自分が努力して強くなったことを実感するためには、「雑魚狩り」というプロセスを経る必要があるということです。
マンガとかでも主人公が修行して強くなったりしたシーンの後は、これまで苦戦してた敵を瞬殺する描写が入ったりしますよね。

これは、成長要素があるゲームに関してはほぼすべてに大体同じようなことが言えるんじゃないかなと思います。

しかし、格ゲーは雑魚狩りをさせてくれない

そうなのです。格ゲーでは雑魚狩りができません。
大抵の格闘ゲームのメインコンテンツであるランクマッチは、「常に自分と同じくらいの腕前の相手」とマッチングするようになっています。
ランクマッチをやっている限り、どれだけ自分が強くなっても、自分から見て「雑魚狩り」になってしまうような相手とマッチングすることは無いでしょう

これでは「ユーザーの努力に対して報酬が薄い状態」だと言えると思います。
もちろんランクマッチを続けることで、ランクポイントが上昇したり、称号をもらえたりはするでしょうが、
これは先ほどの話でいう「パラメータが上がっただけ」で、それを実感するには至っていない状態です。

まず、この時点で、「ゲームからの報酬が少なくても、自分で報酬を見出せる人」以外は格ゲーからかなり脱落しやすくなってしまいます。
「格ゲーを続けるには、勝ち負けよりも、自分で課題を作ってそれをこなせたかどうかで自分を褒めるのが大事」なんてよく言われたりしますが、この言葉がよくそれを表していると思います。

でも、格ゲーで雑魚狩りをする方法もある

やっぱり雑魚狩りがしたい。これは自然な人間の心理です。
だから一部の人々は、以下に挙げるような方法で無理矢理格ゲーで雑魚狩りをしようとします。

・サブアカウントを作る。
わざとランクを下げて出直すことで、自分より弱い人たちと戦おうとします。

・ランクマッチ以外の場所で格下に挑む。
ゲームによりますが、ランクマッチ以外の場所で自由に相手を選んで対戦するモードがあることが多いです。
そういったモードでわざと自分より弱い相手を探して、戦いを挑み続けます。

・ゲーム外の場所で言葉を使って「雑魚狩り」する
たとえば「俺○○ランクだけど、全然まだまだ初心者だよw」というような発言。
もっとストレートに「○○以下は雑魚」とか言ってる人もいるかもしれません。
やってることは結局一緒です。

当然ですが、上に挙げたような行為は、やられた人間としては気持ちの良いものではありません。
なので一般的には「良くないこと」とされています。
でも、やる人はいます。本来のゲームからの報酬だけだと割に合わない、と思っているからです。

先ほど、
「ゲームからの報酬が少なくても、自分で報酬を見出せる人」
は格ゲーを続けられる。と言いました。
それに加えて、「他のユーザーを犠牲にして報酬を手に入れる人」も格ゲーを続けることができます。
でも、この人たちが続けていくためには犠牲が必要です。犠牲にされたユーザーはゲームから離脱する可能性がグッと高まるでしょう。

まとめると

格ゲーの構造的な問題点は以下の通りです。

①「雑魚狩りをさせない」システムにより、ゲームからの報酬が少ない。
②報酬が少ないことにより、他のユーザーを喰って報酬にしようとする困ったユーザーが発生する。

これでは新規が流入しにくい、流入しても次のシリーズまで続かない、というのも当たり前ではないでしょうか。
結果、がんばって人を増やしても衰退していきます。

でもそれって他の対戦ゲームでも同じじゃない?

ある程度同じようなところはあるかもしれません。
しかし、格ゲーと他の対戦ゲームが大きく違うのは、1対1であることです。

これが2対2や5対5の場合、「チームの強さとしては両チーム同じくらいとしてマッチングするが、個人の強さにはばらつきがある」ということもよく起こります。
(まぁ、これはこれで今度は「味方に一人弱すぎる奴がいたせいで負けた!」というような不満の元にもなりますが・・・)

つまり、「ランクマッチでも自分より明らかに弱い個人と出くわす可能性がある」ということであり、そういった相手を、言い方は良くないですが「雑魚狩り」することで自分の実力を実感する機会はあるはずです。

では、格ゲーはどうすれば良いのか

正直わかりません。
格ゲーのメーカーの偉い人は、何年も前からどうすればいいかずっと考えていることでしょう。でも、これといった答えは出ていません。

・・・と前置きをした上で。
いくつか案を挙げるとするなら・・・

①格ゲーもチーム戦にしちゃう
1対1じゃなければ良いのなら、チーム戦にしてしまう。
現在Riot Gamesが開発中のProject Lは、1人1キャラ操作で2対2を行うのがメインの遊び方として想定されているチーム格ゲーのようです。

このゲームの評判がどうなるか、行く末が非常に気になるところです。

②CPUと戦わせる。
格ゲーではありませんが、ポケモンユナイトなどでは、連敗が続くと弱いCPUが出てきて「接待」してくれます。
「やりたくもないCPUと試合をやらされるとは何事か!」と怒りたくなるところですが、実際やってみると意外とこれはいい仕組みで、連敗であったまった自分をいい感じにクールダウンしてくれます。
なんとこのCPUを倒すとランクポイントももらえます。太っ腹です。

格ゲーでも「ランクポイントが貰える」「バトルパスのポイントが貰える」など、何かしらのインセンティブを持たせた上で、弱めのCPUをボコってもらう機会を用意できるといい気がします。

さいごに

格ゲーが時代に合わせたアップデートをして、これからも末長くジャンルとして生き残ってくれることを望んでいます。
ささやかな貢献になることを祈って、とりあえず今はスト6をプレイしようと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

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