第二話
下つ闇
気味の悪い雨が激しく降った後の闇夜
私は袖の中に両腕を隠して歩いていた
鼻歌で誤魔化して先を急ぐ
先の民家からササっと黒い影が飛び出でた
大きな商家と見える
姿なき娘があつらえて、仕付糸もそのままに、母御が売りに出す
他の母親が娘に買う度、その着物はどこぞに消える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?