恋愛小説 30

波の音

それはまるで雨の鳴き声

夜の海

くっきりと浮き上がる木々

濁り湯に白く浮き立つ

触れれば確かにやわ肌が

諦めにも似た蜃気楼に投げ出されている

けぶるような湯気の向こうの岩山から

獅子が分け入ってくる

私の恋愛小説家

岩山の陰

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