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「吉田まもる」

可哀想な女がいたので
神頼みに行った

我が心、相手は知ったこっちゃない

昼間でも薄ら暗い

夜に行くなんざ

賽銭泥棒か丑の刻参り

物好きな

恐ろしくて

早朝に参ったところで肝試しに変わりない

誰かが忘れていった黒い傘

木の枝に引っかけられてら

変だな

ピントが合わない

超音波の丸い螺旋が俺のカタツムリを刺激して来る

見ていたら

にゅー・・・

っと、黒い傘が下に伸びて

徐々に傘骨を広げて行くと

にー・・・っと笑った

蝙蝠傘

破れかぶれはよくないな

古いよすがの森の眷属は

ただ、来る者に

来たれる者には見えるらしい


可哀想な女は

蜘蛛と暮らしている

あちらはあちらで派閥が違うらしい

守備範囲も広い


数日後

良く似た小さな蝙蝠傘が数本

納屋の吊るしにぶら下がっていた


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