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「鬼神」九面つづら

雨夜伽に
桜花
散りかひ曇る山

一九淵つづら

真鶴のすぐ側で

張り巡らされた紙垂れが、夜風に揺れた気がする

傍らで笑う子狸

不動尊の貌は識別すら出来ぬ

面はひとつのようである

様々に握られたものを見る限り

空に振り上げられたその腕は十手に近い

むかしこの辺りは九つ浦と呼ばれていた

長い長い回廊は九十九折

やがてムスクを思わせる入り口に・・

烏が柵に停まっていた

我々を見ようともせず

羽を翻す

祈りなどせぬ

願いなどもってのほかである

なぜならば

人は求めてやまない生き物だからである


星宿

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