第二十三話
窪み
門を出る
穴の中に鼻孔から上を出して
覗いている男がいる
「勝手に穴を掘られると困るのだが」
うわの空
しばらく行き振り返ると
ズズズと穴が引きずられている
私は眼鏡を指で上げズレを直す
どうにも引きずられているのは道のようで私は十歩すらも進んでいなかった

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