「回る目」
自分が生きようと思えば
きっとあの厚い雲の間から光の帯が射す
窓辺に立ち
外を窺うと途端に
天はさあぁ、と明るくなり
草原の陰が退いてゆく
わたしたちは
季節とともに生きてきた
春夏秋冬
喜びも悲しみも憤りも優しさも
委ねよう
逆らうことなど出来はしない
自然とはそういうもの
厚く重い灰色の綿雲
みぞれの雪を含んだまま
火付けた痴人は自ら火傷する
不穏な燻し煙が尾を引いていても
いつか錦帯のように
雲の隙間から鮮やかに燃える
輝いて反射する
まだ足は着かないけれど
宙に投げ出されて滑稽だけれど
いつか
着地する
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