第三十二話
境界
硯屋の御堂は人がたの姿の曼陀羅布を背負うと、何もなかったかのように行ってしまった
「七福も付いていってしまった」
「文鎮だけに文鎮でしたわね」
代わりに置いて行ったのは硯屏風かと思いきや、香炉であった
「またなんの趣向を望みだろう」
「さあ?」
万代は刺繍に夢中

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?