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軽井沢移住計画(8)-コーポラティブハウス-

仕事が忙しくて、時間が空いてしまった。

前回に引き続き、少し横道に外れて、昔、住まいを購入した時の回顧録。当時書いていたブログを、一部追記修正して転載(手抜き)。



コーポラティブハウスを知る (2000.5)

都内に住まいを購入したいと決断したものの、マンションや一軒家、そして予算の兼ね合いなどで迷走していた頃、一冊の雑誌に出会う。

エスクァイア6月号「知的住宅建築のすすめ」

当時、住居関連の特集をしている雑誌を買いまくっていたのだが、そのうちの一冊。特集記事で「コーポラティブハウス」という住居形態の存在を知る。

コーポラティブハウスというのは、分譲マンションのように完成した集合住宅を購入するのではなく、何人かで集まり組合を結成し、共同で土地を購入して、各自の要望を取り入れながら設計して、組合が直接建設会社に工事を発注する方法でつくられた住宅のことだそうだ。

日本ではまだメジャーではないけれど、海外では欧米を中心に広く普及しており、ドイツでは全住宅の約1割、スウェーデンやニューヨークでは約2割がコーポラティブ住宅とのこと。全然知らなかった。

エスクァイアを読みすすめていくと、どうやらコーポラティブハウスのメリットは

⚫︎マンション本来のメリットである「共同所有により割安に立地の良いところに住める」という面を備えつつ、集合住宅でありながらも間取り、内装、仕様などを、自分のライフスタイルに合わせて好きなように変えることが出来る。
⚫︎特殊な住居方式なので、参加者はある程度価値観の共有が行われている。
⚫︎一軒家はもとより、分譲マンションよりも購入価格は安い(広告費や売れ残りの部屋のリスクが購入金額にのってこない)。
⚫︎設計と施工が別々の会社で行われるため、手抜き工事の可能性が低い。

などがあり、ぼくの欲求を満たしてくれる住居形態のようである。そのほか“入居戸数が少ない”という点もメリットに感じた。

逆に、一般にいわれるデメリットは

⚫︎入居までに時間がかかる(長いところでは5年というところも)。
⚫︎あくまでも自分達でおこなわなければならないので、非常に労力がかかる。

といったところらしい。

エスクァイアに載っていたコーポラティブハウスは、都市デザインシステムという会社がコーディネートした物件で、写真が掲載されている部屋はすべて魅力的だった。
ちなみに“コーディネート”とは、土地の選定から始まり、建物の基本プランを立て、参加者を募集し、設計やゼネコン、果ては管理会社の選定、公庫や銀行からの融資など、自分達でおこなったら何百年かかるかわからないことを、微に入り細に入りサポートしてくれること。まだメジャーな存在ではないコーポラティブハウスだが、都市デザインシステムは日本における草分け的存在のようだ。

その時は「へー、こんな感じのマンションもあるのか。でも面倒くさそうだな。」という感想だった。メリットに魅力は感じつつも、デメリットばかりが印象として残った。

やはりコーポラティブハウスしかない (2000.7)

それからも地道に毎週毎週週刊住宅情報を買いながら、「いい一軒家ないかな、いいマンションないかな」と物件をチェックする日々。でも、どれも決定力に欠け、そのうち「みんなどういう条件を満たせば住まいを買う決心がつくのだろうか?」と、自分のなかの住まいに対するモノサシまでもが曖昧になってきてしまった。

結局は「立地」「値段」「広さ」「仕様」といった要素の中で、何を優先するかが大切なのだが、どうにも優先順位がつけにくい。その結果、いい物件がないというあたりまえの壁にぶつかる。

そこで再び自分のなかでリセットして、初志貫徹、本気で一軒家を建ててみようと調べはじめる。

「どうせなら設計士さんにお願いしよう。」
「そうなると分譲住宅はダメ。まずは土地を捜せ」

という思考の流れになった。だが、家の総工費と土地代をシミュレーションすると、とても希望するエリアで家を建てることはできないと気付くのに一週間ほどかかった。元の木阿弥。

しかし、次なる手が思いついた。

「そんなに広い家はいらないから、知り合いと共同で土地を買って家を建てたらどうだろう。」

あれ?これってどこかで聞いたことがあるアイデア。偶然思いついたアイデアは、コーポラティブハウスと同じ考え方だった。

そこでエスクァイア6月号を引っぱりだし、コーポラティブのページを再度熟読して、都市デザインシステムのHPをチェックしてみた。コーポラティブハウスのメリット・デメリットをぼくなりに消化したうえで、「やっぱりコーポラティブハウスしかない!」と決心した。



回想はここまで。そこからも長々とブログを書いていたが、結局プロジェクト参加から居住まで2年の歳月がかかり、20年後の今もそのコーポラティブハウスに住んでいる。コスト、立地、コミュニティと不満のない生活で、当時の選択が間違いなかったことを実感している。

都市デザインシステムは一度民事再生をしてコーポラティブハウス事業から撤退してしまったが、調べるとまだコーポラティブハウスを手がけている会社は複数あるようだ。こだわりを捨てられず、手間を惜しまず、理想の住まいを探したい方は、コーポラティブハウスを選択肢に入れてはいかがでしょうか。オススメです。

次回からまた「軽井沢移住計画」に戻ります。

(続く)


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