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シン・Evernoteの使い方 2021/メルマガにもテーマを設定する

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~ 2021/01/25 第537号

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○「はじめに」

noteに新しいマガジンを作りました。

いま構想している企画の一部を為すものです。その構想については次週にどどーんと書いてみます。

とりあえず、このマガジンではテーマに沿って本を読んでいくという「題読」を続ける予定です。

〜〜〜ポッドキャスト&動画〜〜〜

ポッドキャスト番組&動画が配信されております。

◇ブックカタリスト第04回:ゲンロン戦記 - ブックカタリスト

◇第五十七回:Tak.さんと最近復帰したツールたちについて by うちあわせCast A podcast on Anchor

◇倉下さんとブログやSNSをもっと楽しむためにどうすれば良いかを語らふ会(ラジオ第93回収録映像) - YouTube

時間泥棒で申し訳ないのですが、どれも面白い話ですので、お時間があるときにでもちびちび聞いてくださいませ。

〜〜〜ライフハックdiscordのお誘い〜〜〜

上のYouTube動画(「語らふ会」)でひょっこり出てきた話なのですが、皆で気楽に「ライフハック」話ができて、情報交流ができる場を作ろうぜ、ということでBeckさんがdiscordを作ってくださいました。以下のURLからジョインできると思います。

https://discord.com/invite/QefN2Sf4RD

もちろん「ライフハック」ってどういう定義なの、という疑問はあるかと思いますが、あまり細かいことは気にせずに、ガジェット・ITツール・文房具・ブログ・知的生産の技術・仕事術あたりが好みならば対象に含まれると思いますので、お気軽にご参加ください。

〜〜〜ツール話〜〜〜

二つツールを紹介します。両方ともMac系列です。

Craft - Create Amazing Documents

WZ Editor for Mac 日本語テキストエディタ HTMLワードプロセッサ for macOS 日本語スマート入力 C/C++/C#/JAVA/JavaScript/PHPスマート入力/リファレンス HTML/PDF/EPUB出力 アウトラインプロセッサ

Craftは極めてモダンなツールで、グラフィカルなノートが作れます。(アウトライナー+Notion)÷2、みたいなツールです。

WZ Editor for Mac は名前の通りWZ EditorのMac版で、思いっきり「WZ Editor」です。Mac版というか、「移植」という感じを強く受けます。

かたやモダンで、かたや古風ですが、いろいろ選択肢があるのは良いことですね。

〜〜〜週一回のツイートメンテナンス〜〜〜

週に一回、自分のタイムラインを読み返しています。主な目的は、この「はじめに」の話題をピックアップするためです。だいたい一週間も経つと、その週にやったことなんてすっかり頭から抜け落ちているので、タイムリーな話題を思い出すためにタイムラインを読み返すわけです。

以前までは、そうした振り返りはメルマガ用の話題をピックアップして終わっていたのですが、最近はそこにワンアクションが加わっています。ツイートを振り返り、「これはあのテーマと関連づけらるな」と思ったものはScrapboxに転記しているのです。

その際に活躍するのが、以前紹介した一年のテーマページです。このページには、自分が書こうとしているテーマがいくつも並んでいますので、その下に貼り付けたり、あるいは空リンクから新規ページを作ったりします。言い換えれば、話題を膨らませていくのです。

情報構造的に言えば、まずタイムライン型でリニアに書き出した着想を、少し時間を置いてからネットワーク型に再配置する作業だと言えるでしょう。これがすこぶる良い感じなのです。

これまでは何かを思いついたときに、ScrapboxにしようかTwitterにしようかと悩むことがありましたが、今は週一回確実に読み返して処理することが分かっているので、「とりあえず、つぶやいておくか」という気持ちになれます。Scrapboxには後で移動したらいいのです。で、実際その通りに処理できています。

さらに言えば、書いた直後ではなく、しばらく時間が経ってから再配置を行っているのもポイントでしょう。そうすることで、落ち着いた気分で情報の配置作業が行えます。ある種のメタ・ノートです。

これまでもつぶやいたものを「再利用」しようとして、アウトライナーに放り込んでいたことがありますが、そのときは今のように「テーマ」を設定していなかったので、うまくまとめることができませんでした。

仮テーマの設定と、時間を置いた再配置、の二つが実に調和的に機能しています。

〜〜〜今週見つけた本〜〜〜

今週見つけた本を三冊紹介します。

『書く、読む、生きる』(古井由吉)

このメルマガのテーマ(読む・書く・考える)に似ていますが、最後の一つが「生きる」になっていますね。でかい言葉です。でも、たしかに「書く、読む、生きる」の並びはしっくりきます。著者のエッセイ、読書ノート、芥川龍之介賞選評がまとめられているようです。

『<責任>の生成ー中動態と当事者研究 』(國分功一郎、熊谷晋一郎)

最近、「自由意志と責任」についていろいろ読んでいるので興味を持ちました。著者二人が、共同研究としてお互いに意見を交換する内容のようです。

『善と悪のパラドックス』(リチャード・ランガム)

人間はひどく残酷なことをする存在でありつつ、驚くべき思いやりを発揮する存在でもあります。そのような特徴はどのようにして生まれてきたのか。それを〈自己家畜化〉というキーワードを元に読み解く本とのこと。ややお高いですが(¥5,390)面白そうな内容です。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のウォーミングアップ代わりにでも考えてみてください。

Q.「書く、読む、x」。xに何を当てはめますか。

では、メルマガ本編を始めましょう。今回はEvernoteのお話しをたっぷりお送りします。

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○「シン・Evernoteの使い方 2021」

ポッドキャスト「うちあわせCast」に以下の感想をいただきました。ありがとうございます。

私の新しいEvernoteの使い方(以下シン・Evernote)はどのようなものなのか、日常的に利用しているScrapboxとどう違うのか、なぜEvernoteなのかといったことについて今回は書いてみます。

■基本的な使い方

まず最初に断っておくと、シン・Evernoteでやっていることは、ほぼScrapboxでできてしまいます。その意味で「あえて」Evernoteでやっている側面があることは否めません。

では、なぜその「あえて」をやっているのかと言うと、一つには、バージョンアップして新しい方向へとかじを切ったEvernoteの道行きを一緒に進んでいきたいという気持ちがあるからです。つまり、新しいEvernoteではどんなことができるのかを「実験」したいわけで、そのためにはEvernoteを本格的に触っておかなければなりません。言い換えれば、Evernoteとの接点を維持しておく必要があるわけです。だからこそ、全面的にScrapboxに振るのではなく、一部はEvernoteに残しておくという判断が出てくるのです。

その意味で、効率性の観点から言えば、合理的な判断ではないかもしれません。ちょっとした不都合や不具合は当然出てきます。それを引き受けた上で、二つのツールを使う選択をしています。

■ならではの良さ

もちろん、「あえて」の部分だけではなく、Evernoteならではの良さもあります。

たとえば、Mac用のアプリケーションをインストールしておけば、オフラインでも保存したデータが利用できます。これはScrapboxにはないメリットです。

実際、その他のクラウドツールのアプリケーションも、実体はそのツール専用のWebブラウザであって、オフラインではまったく用をなさないものがほとんどです。というか、それがクラウドツールの真なる姿であって、Evernoteが特異なのです。

しかし、たまに回線をオフにして作業に集中したい私としては、オフラインでもツールが使えるのは嬉しいことです。

また、そうした外部的な理由だけでなく、Evernoteの方が「表組み」の利用が──Scrapboxに比べて──やりやすいという特徴もあります。Scrapboxでもテーブル記法があるのですが、EvernoteではGUIで表組みが作成できますし、さらに表の行をドラッグで移動することもできます。背景色を変えるといったことも簡単です。

もちろん、そんなことを言えば、はるかにNotionの方が優れていますし、機能的でもあります。Notionについてはまたどこかで書きますが、「凝った」スタイルや、データベース的なデータの利用に関しては、他のツールから頭一つ抜け出ているといっても過言ではありません。むしろ、「スタイリッシュなExcel」に位置づけるのが適切ではないかとすら思うのですが、その話はさておくとしても、やりたいことをとことん追求するならばNotionです。実際私もNotionにいくつかのページを作っていました。

が、しかし。

Notionは「凝る」ことができすぎるのです。言い換えれば、私が持つ「凝る」ことについての欲望をアフォーダンスしてしまう危険性を持ちます。

たとえば文章を書く際に、最初にリッチテキストエディタを使うと、マージンのサイズだとかテンプレートだとかフォントだとかが気になってなかなか文章を書き下ろす作業に移れない、といった悲しい出来事が起こりますが、それもこれもそうした要素を「設定」できるからです。設定可能性が持つアフォーダンス。Notionはそれを多分に有しています。

Evernoteは、便利だけども「そこまでではない」という謙虚さを持っています。露悪的に言えば機能不全なわけですが、むしろそれを「そこまで凝らなくてもすむ」というメリットとして大胆に読み替えていくことが可能なわけです。

つまり、Scrapboxほどシンプルではないけども、Notionほどリッチ(ないしはゴージャス)ではない。Evernoteの表現機能は、そうした中間的な位置づけを持ちます。ほどほどにリッチなのです。

■基本的なノート

では、そのほどほどにリッチなEvernoteで、どんなノートを作っているのかというと、いまのところ以下の四種類のノートがあります。

・書籍ノート
・出来事ノート
・リストノート
・月間ノート(Orgノート)

まず「書籍ノート」は、名前の通り本の情報に関するノートです。ノートのタイトルは、本の絵文字+書籍のタイトルになっていて、本文には、著者名や出版者名などの著者情報と本文からの引用と表紙画像が記載されています。書誌情報や表紙画像はAmazonからいちいちコピペしており、本文からの引用も紙の本なら手打ちで、Kindle本ならハイライトからのコピペで入力します。

実際例:

つまり、全体的に「手作り」です。

これまでは、こうしたノート作りをいかに自動化するかに注力していました。いかにもライフハック的な試みです。しかし、そうやって自動的に作成されたノートは、積極的には利用できていませんでした。検索したら見つかる、以上。そんな感じです。

一つには、そうして作成されるノートが、生半可な自動化によって作成されているので、どうにも不格好だという理由があります。見た目が汚い(整っていない)のです。当然、そのようなものを積極的に目にしたいと思うことはないでしょう。結果的に、その本の情報が必要になったときには検索して見つけるけれども、という感じになってしまいます。

しかし、そんな利用しかしないなら、Amazonのサイトと何も違いはありません。むしろ、Amazonの方が書誌情報が充実しているでしょう(最近は、目次が表示されなくなったので若干変わりつつありますが)。だったら別にEvernoteに本の情報を保存する必要などありません。

さらに、バカみたいに本を買う私は、積読だけでなく、そうした書誌情報ノートすらも「積んでしまう」ことが起こります。結果的に、全体に対する必要なノートの割合はごく限られたものになり、「操作するためのノート群」ではなく、「保存しておいてたまたま見つかったら良いノート群」という認知が立ち上がります。これはもう立ち上がってしまうのです。

そこで自動作成をやめて手作業でEvernoteに書誌情報ノートを作っているのですが、もちろん同じことはScrapboxでもできます。ただ、公開Scrapboxに書誌情報ノートを作ってしまうと、引用部分の貼り付けが著作権的に厳しくなってくるので、オープンではなくクローズドな場で管理したい思いがあります。

だったら、クローズドなScrapboxの方に作ればいいんじゃないか? と思われるかもしれませんが、最近私は自分用のクローズドなScrapboxをほとんど触っていません。何かしら書くなら、もう全部オープンでいいじゃん、という気持ちなのです。

あと、オープンとクローズの両方のScrapboxを、似た用途で使ってしまうと、「あれっ、どっちに保存したっけな?」ということになりがちです。だったら、はじめからツールを分けてしまい、クローズドな情報管理はEvernoteで、それ以外の知見はScrapboxにと分けた方が、認知的混乱が起きないだろうという予想もあります。これも、わざわざ二つのツールを使っている理由の一つです。

(続きは以下)

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