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noteでサークルを開始/情報を切り分ける領域/iPhoneと距離を置く/僕らの生存戦略奮闘記 vol.2

Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~2020/03/09 第491号

はじめに

はじめましての方、はじめまして。毎度おなじみの方、ありがとうございます。

ひさびさにうちあわせCastを収録しました。

今回は、Tak.さんとの共著について、ガチのうちあわせを行いました。

後半音声が重なっていて聞き苦しい点もございますが、ご興味あればチェックしてみてください。

〜〜〜共著のやり方の模索〜〜〜

上のうちあわせの焦点だったのが、「いかに本作りを進めるのか」と「利益の分配をどうするか」の二点でした。

で、「いかに本作りを進めるのか」がかなりやっかいな問題です。そもそも、ひとりで本を書く場合ですら「正しい本の書き方」などありません。無数のやり方が存在しています。プレイヤーが二人に増えたら、いったいどうなるでしょうか。

そこで必要なのが「制約」で、今回は短めの本を、なるべく二人の負荷が小さい形で書き進めようと決めました。私の体調のこともありますし、二人とも他に進めている仕事があるので、それで躓かないように「まず、完成させられる」形を目指したわけです。

とは言え、それだけ限定しても、まだ本の書き方は(おおげさにいえば)無限に考えられます。そこで、できればヒントが欲しいところですが、これがあまりにも情報がありません。「共著の進め方」という書籍が欲しいところです(これは将来的に、私の本のアイデアになりそうですね)。

『アンチ・オイディプス』という本は、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが書いているのですが(ドゥルーズ&ガタリと記されている)、よくあるようにパートごとに役割分担をする感じではなく、まるでそれぞれの著者が「ドゥルーズ&ガタリ」というひとりの別の著者に生成変化しているかのように書かれています。こういうのって、いったいどうやって書き進めたのか、実に気になるところです。

とりあえずは、いろいろ情報を集めながら、「小さく決めて小さく実行」の試行錯誤を進めていくことになるでしょう。

〜〜〜確定申告〜〜〜

2月に入ってから、毎日ごくごく短い時間を使って進めてきた確定申告作業がつい先日無事終了しました。2月はまだ体調不良まっさかりだったので、相当に早めに進めなければならないぞと覚悟していたのですが、2月後半からはぐっと体調が回復してきて、3月の頭には終わってしまいました。

幸いというかなんというか、コロナウイルスの影響で、申告の期限が1ヶ月延びて4月16日になっていたのですが、その助力も必要ありませんでした。

今は、背中に羽が生えたような開放感を味わっております。

〜〜〜議論の土台〜〜〜

議論することって、本当に大切なんですが、議論というのは参加者が一定の合意形成に向けて建設的に話し合う姿勢をキープしていることが最低条件で、人が集まって話し合いを始めたらそれで「議論」が起こるわけではありません。

よって、状況によっては始めた(始めようとした)議論を打ち切る決断も必要になってきます。でないと、時間の浪費ですし、それ以上にただ感情的対立が深まるだけという悲惨な結果にもなりかねません。

ディベートなどで、相手の論理をひっくり返す訓練を積むのはいいんですが、それ以前に「議論のための心の持ち用」をきちんと訓練した方がよいのでしょう。

〜〜〜お勧め本三冊〜〜〜

たまには面白かった本のお勧めでも。

このメルマガが配信されているのは3月11日間近ですが、たとえその日付を過ぎても十分面白い小説です。

知的生産の技術系の本ですが、やわらかい文体にもかかわらず、鬼教官みたいな内容です。私たちを幻想に誘って、やりたいことがあたかもすべてできるような気持ちにさせる要素はいっさいありません。その分、ひどく実用的です。気持ちが引き締められます。

「段落」のお話なのですが、文章執筆術としても参考になると思います。パラグラフ・ライティングを押さえつつも、それが欧米風の執筆的視点であり、日本では違う執筆的視点があると言及してある点に好感が持てました。

〜〜〜Q〜〜〜

さて、今週のQ(キュー)です。正解のない単なる問いかけなので、頭のストレッチ代わりにでも考えてみてください。

Q.共著で書かれた面白い本があれば、ぜひ教えてください。

では、メルマガ本編をスタートしましょう。

今週も「考える」コンテンツをお楽しみくださいませ。
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2020/03/09 第491号の目次
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○「noteでサークルを開始」

○「情報を切り分ける領域」 #メモの育て方

○「iPhoneと距離を置く」 #ゆっくりを取り戻す

○「僕らの生存戦略奮闘記 vol.2」

※質問、ツッコミ、要望、etc.お待ちしております。

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○「noteでサークルを開始」

先日、noteでサークルをスタートさせました。

インスパイアーされたのは結城先生のサークルです。

このサークルに参加して「他の人の作業ログを閲覧できるのって、結構楽しいね」と感じていたので、自分でもそれをやってみることにしました。

もちろん、それだけが理由ではありません。現状、少しずつ体調が回復しているなかで、わざわざ新しいことに手を広げるのはいかがなものか、という考えもあるかと思いますが、むしろだからこそ作業ログを公開することに意味があると思ったのです。

私の場合──ワーカーホリックなので──、仕事をしないことではなく、仕事をしすぎることに問題があります。だから、一週間分の作業量を記録していく表組みを作ったわけですが、さらにそれを一部の人に公開することで、さらなる自己監視の目を強められるのではないかと思ったわけです。

なにしろここ数ヶ月はまともな量の仕事をしておらず、今はなんの「レール」もできていない状況です。このまま徐々に仕事量を増やしていけば、いずれ混乱の憂き目にあうことでしょう。

そこで、他の人に作業記録を開示しながら、自分で今どんな作業をしているのかを自覚し、記録していくことで、「レール」を整えていけるのではないかと考えています。

実際、ここ数日ためしに作業記録を記録していたのですが、「今の時間はこれをしよう。あっ、ちょっと脱線してしまっていたな」というメタ認知が強くなっている効果が確認できました。たぶん、タスクシュートのセクションを設定したのと似た効果が発生しているのでしょう。なんにせよ、よい兆候です。

当初noteのサークル機能を目にしたときは、「参加者さん同士でワイワイ盛り上がる場」として使っていこうかと画策していたのですが、まずは日々の淡々とした作業記録を残していこうと思っています。

ちなみに、作業記録だけでなく、ちょっとしたメモもたくさん掲載されております。今回は特別試写会として(意味不明)、実際公開している作業記録をいくつか開帳してみましょう。

2020年3月5日の作業記録
https://www.evernote.com/l/AATMwB7pSBBDJIoktYw6ISY5j3uHHaufzss

2020年3月6日の作業記録
https://www.evernote.com/l/AASuOPuRI5dOm7RNsH8D3sLpj2Dnz26DTU4

2020年3月7日の作業記録
https://www.evernote.com/l/AATjfP91Kx5MzL7IyAEuTwXx4XXLrGAA6rs

2020年3月8日の作業記録
https://www.evernote.com/l/AASApxdm9XlAiroucWNwPnRHdyKJfqqPie0

へ〜、こういうのちょっと覗いてみたいな〜、という方は気楽にサークルにご参加ください。ちゃんとしたアウトプットだけで良いよ、という方はこのメルマガだけで大丈夫だと思います。

■作業記録の開示方法

というところで、実際的なお話に。

上で紹介したように、作業記録は掲示板に直接書き込むのではなく、共有設定したEvernoteのノートへのリンクを投下しています。こうすることで、たとえばpixivFANBOXなど別のクリエイター支援サービスとコンテンツを共有できるメリットが生まれます。

ちなみに、結城先生のサークルでは作業ログの公開にesaというサービスを使っておられたのですが、私はそのサービスを使っていないので、自分の場合どうするかをかなり考えました。

まっさきに思いついたのはScrapboxですが、個別のページだけを限定公開することがScrapboxではできません。すると、非公開のプロジェクトを作り、そこに参加するためのリンクを支援者限定で公開する、という形になりますが、一度そのプロジェクトに参加できたらnoteのサークルから離脱してもOKになってしまうので、あまり良い形ではないでしょう。

一方、Dynalistの場合、トピックごとに共有URLを切り出せるものの、アウトラインの表現力だけでは、やや力不足です。特に画像を使いたいときなどが面倒そうです。

となると、残されたのはEvernoteです。Evernoteは、各ノートを「URLを知っている人だけが閲覧できる」形で共有できますし、リッチテキストと画像も楽々扱えます。

ただし、問題がないわけではありません。いくらリッチテキストが扱えると言っても、スタイルが定義できないのです。

■いちいち設定するのは面倒

現状、最新のWebブラウザ版Evernoteでは「見出し1」や「見出し2」という設定があります。それを使えば、フォントサイズやボールドを統一して指定できます。しかし、Mac版のEvernoteではそのスタイル指定がないので、見出しが一つ出るたびに、いちいちフォントサイズやボールドを変えていかなければなりません。わりとつらめな作業です。

また、フォントサイズなどを変えられても、CSS的な見栄えの調整ができません。たとえば、border-bottomだけを指定することで、区切りに見える線を表示させる、みたいなことができないのです。これは不便ですね。

そこで、AppleScriptでごちゃごちゃやることにしました。

たとえば、「### hogehoge」という記述がノート内にあったら、それをノート内部のHTMLとして「<h3 style="border-bottom:1px solid #000 ;">hogehoge</h3>」と置換するScriptを書いたのです。これで、統一的なスタイルが使えますし、手間もさほどはかかりません。

これで準備の第一弾が整いました。

■背景色も変えたい

そうやって作成したノートを共有し、自分でブラウザで閲覧してみると、どうにも地味な感じがしました。真っ白な背景色に、文字が載っているだけのシンプルな状態です。h3のスタイルを凝れば見栄えは良くなりそうでしたが、むしろ背景色を変えてみてはどうかと思い至りました。

しかし、先ほどのAppleScriptハックであっても、ノートの背景色を書き換えることはできません。<body>タグは不可侵の領域なのです。

そこで、表組(Table)を使うことにしました。Evernoteでは簡単に表組みを挿入できます。

1マス(セル)だけの表組みを作り、それをノート幅目一杯まで広げれば、それが「背景」になります。Evernote上で表組みの背景色を変更するのは簡単にできるので、AppleScriptハックを使うまでもありません。

これで現状のスタイルがだいたい整いました。

その後に気がついたのですが、時間のブロックごとに下向きにセルを伸ばしていけば、それが区切り線(セクション)として使えます。さらに背景色を灰色→白→灰色→白、としていけば、多少長くなっても一定の見やすさをキープできそうです。

このようなスタイルの設定や調整などは、ScrapboxやDynalistなどではなかなか難しかったでしょう。その意味で、Evernoteという選択はなかなかアリだったのではないかと現状は考えております。

ちなみに、このやり方の最大のポイントは、「新しいツールを使い始めなくても良く、作業記録自体は自分のローカルにもきちんと残っている」点だと思います。やっぱり作業記録はきちんと手元に残しておきたいですからね。大切なところです。

■さいごに

noteのサークル機能の使い方については、まだまだ試行錯誤中ですので、今後もいろいろ変わっていくかと思いますが、大筋はこのまま続けていくかと思います。

もし、ご興味あれば覗いてやってみてください。

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