素朴なノート術としてのバレットジャーナル
近年、すごくヒットしたノート術でいうと「バレットジャーナル」が思い浮かびます。
YouTubeなどを検索すると、華やかに彩られたノートと共に「バレットジャーナル」を紹介している動画をいくつも見つけられます。実に楽しそうです。
とは言え、おおもとのバレットジャーナルはそんなに華美なものではありません。
名前が示す通り「バレット」と呼ばれる●を使う箇条書き主体でノートを取っていくシンプルな技法です。ラピッドロギングと呼ばれています。
頭の中がごちゃごちゃで混乱してしまう。うまく注意がコントロールできない。そういう状況に対処するために、ソリッドな記述とシンプルな階層構造だけで情報を扱えるようにしてあります。
色とりどりに飾りつけるのは要件ではありませんし、むしろ本来の目的からすれば逆効果ですらあるかもしれません。最低限のシンプルな記法で、最大限の効果を上げる。それがこの手法の最大のポイントだからです。
記号の使い方
以前ノートにおける「記号」の利用方法を紹介しましたが、バレットジャーナルでもうまく記号が使われています。
「・」:タスク(当日のToDoなどすぐに実行できるもの)
「〇」:イベント(誕生日や、商談など大事な予定)
「-」:メモ書き(思いついたことや、すぐに実行しないこと、情報など)
「*」:重要(とくに重要なイベントなど)
「!」:アイデア(ひらめきや今後のためのアイデア)
「×」:完了タスク(終わったタスクにつける)
「>」:次の日に移動したタスク
「<」:未来の予定に入れた(翌月以降、さらに先の未来に実行)
ページのタイプ
さらに、ノートのページのタイプが4種類規定されています。
Index(インデックス)
Future Log(フューチャーログ)
Monthly Log(マンスリーログ)
Daily Log(デイリーログ)
ようするに日本で言うところの手帳的な役割も担わせているわけです。
加えてカスタムコレクションといって、自分が好む対象のページを作ることも推奨されています。
そうしたタイプの組み合わせで、(他の誰でもない)「自分なりのノート」を作っていくことが、バレットジャーナルのコンセプトにはあります。
自分なりのノート術
つまり、バレットジャーナルには二つの側面があるわけです。
一つは、扱いが難しい「注意」というものを最大限うまく発揮できるようにシンプルな記法で記述していくという著者の特性を踏まえた方法という側面。
もう一つは、自分が好きな対象のものを集めていけるという、「自分らしさ」を担保するための方法という側面。
発案者のライダー・キャロルは、他の人とは違う自分なりの特性を踏まえたノート術を構築したわけで、どちらの側面でも「自分に合ったノート術」になっていると言えます。
また、注意を扱うことが高いレベルででき、かつノートを飾りつけるのが好きな人にとっても、その二つは重なるでしょう。
一方で飾りつけることは好まない、むしろそれによって注意が削がれてしまうという人にとっては、飾りつけることは本来のコンセプトを崩してしまうことを意味します。
だとすれば、自分にとってどういうノートの書き方が心地よいのかという「自分中心主義」で方法を再検討してみることが必要でしょう。どういうやり方が「正しいのか」ではなく、方法の趣旨を確認した上で、それを自分に適用するにはどうしたらいいのかを考えるわけです。
▼その他参考記事:
▼ノート術の基本を一冊にまとめました: