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らしたの寓話

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短めの寓話を集めていきます。
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桃太郎は鬼ケ島に行きました。

桃太郎は鬼ケ島に行きました。

(以下の記事を読んで自分でも書いてみたくなったので書いてみました)

桃太郎は鬼ケ島に行きました。かつてと違って、お供となる動物たちはいません。桃太郎が成長し、大人になった段階でイヌもサルもキジも寿命で死んでしまいました。そもそも、鬼退治から帰還してからというもの、彼らとは疎遠になっていたのです。もともと野に住んでいた彼らは、村に迎え入れらたことで、英雄のような扱いを受け、食事に困ることはなかった

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ダメダス王の手

ダメダス王の手

王は願った。望むものをすべて欲する力を。

神は与えた、すべてを手に入れる力を。わずかな呪いと共に。

王は欲するものをなんでも手に入れることができた。おのが権力を超えるものでさえ、それは可能だった。

あふれんばかりの黄金、傾国の美女、長く続く栄誉。

王はそのたびに落胆を繰り返すことになった。あれほど待ち焦がれ、あれほど強く欲していた数々のものが、手に入れた瞬間に価値を失ってしまう。心の渇望が

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たいやきくんの悲哀

台所でおにぎりを握っていたら、ふと「およげ!たいやきくん」の歌が口をついた。歌詞を引用するといろいろややこしそうなので割愛しておくが、最初のフレーズを歌い出したとき、私は強烈な違和感を覚えた。

この歌は、主人公であるたいやき(おそらくタイトルのたいやきくんがそれであろう)のモノローグの形をとっている。そして、彼は「毎日ぼくらは鉄板の上で焼かれている」という旨のことを言っている。

はたして、そん

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カレー屋さんの誤算

一軒のカレー屋さんがありました。個人経営のカレー屋さんです。

外食産業の競争が厳しくなる中、そのカレー屋さんの売り上げも最近落ち込み気味でした。なんとかしなければ。そんな危機感を抱いていたところ、名のある経営コンサルタントのセミナーに出席できる機会に恵まれました。そこでは「利益を確保しましょう。つまり、経費を削減するのです」というありがたいアドバイスが。

早速、彼はいかにして経費を削減するかを

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