思想入門

序  思想入門を始めるに当たって


 今回、思想入門を始めようとしたきっかけは、スマホやパソコンから日々
洪水のごとく流れる、ネット情報に踊らされている若者たちを見て、定見の必要性を訴えたかったからである。

 すなわち、思想における右とは何?左とはどういうこと?などの疑問に、わかりやすくこたえることはもちろん、日々流れるニュースや時事問題にも目を向け、わたしがこれまでの経験で培った判断基準をものさしにして、わたしの知識の及ぶ限り伝えていこうというのが、ねらいである。

 ひとことで思想と言っても、その扱う範囲・領域はきわめて幅広い。例えば、みなさんが思想をテーマに掲げるときに、真っ先に思い浮かぶのが政治思想、あるいは哲学思想などではないだろうか。

 政治や哲学は小難しく、硬いテーマであり、取っつきにくいのも事実である。それに思想が加わるのだから、なおさらのことだ。

 かと言って、硬いテーマばかりでもない。食文化思想、音楽思想、スポーツ思想などは比較的柔らかく、みなさんにも溶け込みやすいのではないだろうか?

 このほかにも、社会思想、宗教思想、経済思想、言語・語学思想、歴史思想、伝統思想、芸術思想、民族・民俗思想など、数えあげれば枚挙にいとまがない。

 つまり思想とは、わたしたちが生きていくうえで欠かせないテーマであり、気づかずに使っている思考回路でもあるのだ。

 これからは、一日一回テーマを設け、内容を吟味したうえで、アップしていく。硬い話もあれば、エッセイ調の柔らかい文章も駆使するつもりだ。

 できるだけ多くの人に読まれることを願いながら、わたしの思いが少しでも伝わるなら、幸甚である。

哲ちゃん   

思想入門

①スマホ世代の思想状況


 最近、ネット上で政治思想が語られ出し、若者にも浸透し始めている。

 具体的に述べると、右翼のほうは日本第一党の桜井誠氏、参政党の神谷宗幣氏など。一方の左翼はれいわ新選組の山本太郎氏がその代表であろう。

 そもそも右翼思想とは何なのか?いくつか該当条件があるのだが、簡単に言うと現政治体制を支持・肯定する立場に立つ考え方である。保守思想とも呼ばれる。

 一方の左翼思想は、現体制を否定し政権奪取を試みようとする。革新思想と置き換えられる。

 ところが、この構図が崩れている。桜井氏も神谷氏も与党の自民党をボロクソに叩いているのである。みんなが選挙に行かなくなったせいで、自民党の一極が政権を担い、保守の受け皿がなくなったと。

 「このままでは、日本はヤバいですよ。税収は過去最高を記録したのに、財務省は消費税を上げようとしている。物価が上がっているのに、賃金は上がらない。こんな時こそ、政府は消費税を減税し、国民に還元しなければならない」(神谷氏)

 この声に賛同する向きもあるが、悲しいかな若者のほとんどは政治的に無関心。個人的な体験を述べると、知り合ったばかりの若者に少し政治の話をしただけで、「僕の前では一切政治の話をしないでください」と怒り出す始末。あきれてものが言えなかった。

 僕に言わせれば、政治的無関心=私はバカですーと宣言しているようなもの。おそらくこんな子は歴史や哲学にも興味がないのであろう。

 話を元に戻そう。右翼の先鋒を担ぐ桜井氏は、左翼など反日を掲げる勢力、特に韓国・中国(在日韓国・朝鮮人を含む)を攻撃しているため、マスコミでは「ヘイトスピーチ」とやり玉に挙げられている。

 ちょっと待ってもらいたい。韓国・中国が主張する反日のスピーチは黙認しておいて、それを否定する言論を「ヘイト」と決めつけて報じるのは、いかがなものか。こんな現象自体、マスコミがかなり左に偏向している証左である。

哲ちゃん

②続スマホ世代の思想状況


 前回、ネット上で語られる政治思想についてざっくりと述べたが、今回は私の個人的な経験も踏まえ、もっと詳しく言及したいと思う。

 私は若いころから思想に興味があり、自称・他称を問わず〝右翼〟で鳴らしてきた。ところが、その信条が揺らいでいる。支持政党はずっと自民党だったのだが、次回の衆議院選挙ではその投票行動を変えようと思っている。

 私に変化を与えたのが、参政党の存在だ。代表の神谷宗幣氏の動画がTikTok上で流れると、その巧みな演説にいちいちうなずくしかないのだ。

 来年還暦を迎える私のハートが今、猛烈に熱くなっている。思想入門を始めようとしたきっかけが、神谷氏の登場にあるといっても過言ではないのだ。

 さらに「ヘイトスピーチ」を世に知らしめた、日本第一党の党首・桜井誠氏の存在も面白い。その言論の徹底ぶりは〝行動派右翼〟にふさわしい。私も彼に大いに賛同する。

 その一方で、私があれほど嫌っていた左翼の典型、れいわ新選組・山本太郎代表の声にも耳を傾けている自分がいるのである。

 一体これはどうしたことか。〝選挙に行かない〟若者をメーン・ターゲットにしたTikTokやYouTubeなどのSNSの拡散が、既存のマスメディアに飽き飽きしていた私の心に、次々と刺さってきたのだ。

 もっとも、これだけたくさんの情報が日々洪水のごとく流れてくるネット状況では、何が正しくて何が間違っているかを判断するのは、極めて難しい作業だ。なかにはフェイクニュースもあるだろう。

 若いころから思想について学び、友人と討論する機会もたびたびあった私でさえ、TikTokを始めた当初は戸惑ったものだ。ましてや今の若者には、ひざを突き合わせて議論した経験のある人が少ないのではないだろうか?いきおい情報を鵜呑みにしてしまう危険が伴うだろう。

 思想入門を書き下ろそうと思った動機は、私が若いころには無かったスマホが生み出す言論状況を踏まえ、思想の面白さと奥深さを若者に伝えたいと、真剣に考えたからである。

哲ちゃん


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