チェリまほ7話よ永遠に

「毎朝その人を選び続けること」とは私の恩師の愛について・結婚についての言葉なのですが、結婚に限らず誰かを、この人がいい、この人でなくては、と毎日思える。そういう人に出会えることは本当に素敵だなと思います。


さて1週間誠にお疲れ様でした私。
毎週木曜深夜に感情がビッグバン級にはちゃめちゃになってよく眠れないまま金曜に突入してよく整理のつかないまま週末になだれ込んでいくので、自分でも毎週1週間のリズムが行方不明です。
特に私は特撮勢でもあるので、木曜金曜にワーーーッてなったのち土日でまたお祭り騒ぎに飛び込んでいく生活をしており、毎週週の後半が太鼓叩いて笛吹いて時に底まで落ち込んでという有様です。セルフ・ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド(バックドロップ)生活。

週末チェリまほの30分を思い出しながらこのnoteに認めることでなんとなく終着点に戻ってきたような気持ちになるので、2.5秒に1度一時停止して語らいたくなるのを抑えつつ、6話から待ちに待った7話のワーーーッを綴りたいと思います。
(ちなみにハリウッド・ドリーム以下略はジェットコースターなので、終着点に戻ってきたら、そこを始発点にまた走り出していくんですけども)


・黒沢の過去と現在と"触れること"

冒頭からプロムナードでの告白シーン。そうだったここで前回終わったんだった、という"最初からクライマックス"状態で7話は始まります。

「少し前まで、近くにいられればそれでいいと思ってた。でも、近くにいたら、欲が出た」
「同期としてとか、友達としてとか、そんなんじゃいやだ。はじめてなんだよ、誰かを、こんなに」

そっと安達の頬に手を伸べる黒沢。6話の夜のシーンもそうですが、堰を切って溢れた思いをその手にのせる黒沢が切ないです。思い返せば(当たり前とはいえ)自分から黒沢に触れられなかった安達とは違い、3話で昇天から舞い戻り安達を引き留めた時も、嫌じゃなかったよ、の言葉を受けて思わず引き寄せた時も、黒沢の安達への気持ちが迸るシーンだったように思います。
声は震えて、必死で、その思いがどれだけ真摯で真剣かわかる。でも安達はまだ受けとめることが出来なくて、そっとその手を避けてしまう
触れてしまえば心の声も聞こえたでしょうし、もうそれ以前にどうしたらいいのか分からなかったように私には映りました。体調を崩した自分の家に看病のあとも泊まりにきて、曲がりなりにも楽しく過ごして、でも急にその夜黒沢が思い悩み始めて、やっぱり自分の思いは重たかったのか、自信を失ったところで受けた告白。
頷いたらどうなる?頷かなかったらどうなる。瞬時に駆け巡り心の奥底がさあーっと冷えていくような感覚。ちょっと待って、と顔を逸らしてしまう。
それを、受け入れてはもらえなかった、と察して、ゆっくりとその手を下ろす黒沢。

「ごめん、やっぱり忘れて、俺もそうするから」
「えっ」
「どうしても気持ち、伝えたかっただけだから。自分勝手でごめん、次会ったら、ぜんぶ元通りだから」

以前、この作品におけるリアクションの話をしましたが、告白をされて戸惑うエッ、ではなく、忘れて欲しいと言われて動揺したえっ、だったの本当になんというか、心がギリギリするような気持ちになります。
つらいのに微笑み、去っていく黒沢を引き留めなきゃと思う。思うけど引き留めてどうする、とまた動けない安達。張り詰めていた息を吐き出し、終わってしまった思いを抱えて泣き出しそうになりながらひとり重い身体を引きずって去っていく黒沢。
気丈に振る舞い安達から見えない辺りまで歩いたところで全てを振り落とし、力なく歩いていくのを見ているだけでこちらが泣きそうになりました。町田さんも赤楚くんも真摯な演技で、だからこそ余計つらい。

ここでオープニング。
こんな苦しいオープニングの入り方知らなかった……。正直リアタイ時大好きな産声がほぼほぼ脳内を素通りし、幸せそうにお弁当つくる黒沢とかスケッチブックを片手に微笑む安達とか、これは今後現実になりうるのか……?ただの白昼夢なのでは??まで混迷を深めてゆく自分。


さて、翌日黒沢ファンのお姉様たちのぼやきにより、黒沢は本日大阪に出張に行っていることがわかります。「次会ったら、」はこういうことかと思いました。思いを受け入れてもらえる確率は低いということは黒沢自身も分かっていた筈で、ならその次の日下手したら顔を合わせずに済む出張前日を選んだ。6話で社の廊下から窓の外を眺めていた時に、きっとそこまで考えていたんだろうなと思うと周到すぎてつらいです。
勝算があって告白をしたわけではない、というか恐らくそういう色んなものを抜きにして思いを伝えたかったにしろ、その後の痛みは出来るだけ軽い方がいい。悲しい。


大阪にて、自分の過去を回想する黒沢。
昔から自分が外見しか見られないことにコンプレックスを感じていたことが語られます。
頬を染めて告白されても、なぜ自分が選ばれたのか、ああ見た目なんだろうな、と諦めてきた学生時代。またこの大学生の黒沢が大学生の黒沢で、どうしてこう役者さんって"過去の自分"を連れてくるのが上手すぎるんだ、と語彙力をどっかにやってしまう定期。
社会人になってもそれは同じで、嫌味になるから言わないけど外見で得をしている、そう思われたくなくて必死に頑張ってきた黒沢は、ある日接待に誘われます。
この時の「よかったーあの人イケメン好きだから」云々にまた顔が曇る黒沢。頭数は多い方がいいやとばかりに帰ろうとしてた安達まで捕まってしまいますが、この時はまだ黒沢にとって安達は冴えない同期だし、安達にとっても黒沢はただの同期の"パーフェクト超人"でした。


接待先の女性社長さんは私の好きな俳優さんだったのでワーーーうれしい!と思いましたがまあそこで繰り広げられる地獄。
6話からの7話予告で黒沢の片想いが7年にわたることにひっくり返ったんですけど、確かにこのアルハラセクハラパワハラのオンパレードは昨今でもなくなりはしてない(と思う)ものの、これが去年今年の話として実写で描かれれば、形にした時のえぐみが立つというか、現在社会自体の認識が変わったことによる受容・拒絶の度合いでこのドラマの世界を見てしまう、それを避けるための7年だったのかなとここで思いました。
7年前は我々の世界もこの世界もそうだった、現在も色々ある、でも藤崎さんや六角くんを通して柔らかくきっぱりそれを否定していくのがドラマチェリまほ。ありがたいです。
その分、7年という長い間安達への思いを抱えることになった黒沢。この託された思いがよりドラマに入り込む要素になった気がします。ありがたいです。

しかしもう、つらいきついしんどい。顔要員って思われないよう接待先の商品もきちんとリサーチし、営業トークも完璧にこなし、アルハラをうける安達を庇ってワインを過分に飲んで挙句本意ではない触れられ方をして拒絶したら、あいつ顔だけが取り柄なのに、と一番聞きたくなかった上司の評価を聞いてしまう。
ショックを受けるなという方が無理な話で、それを分かってたことだろ、周りが求める自分を受け容れろよ、って言い聞かせようとする黒沢に、今までどれだけ辛い思いをしてきたかが滲みます。

見た目や性格を揶揄されたりいじられたりして、次第にそれを自虐として笑いながら口にするようになっても、心の中まで笑ってるかってそうじゃない。悔しいけど笑って口にするしか仕方ないと思ってる時ってある。想像以上に傷ついてる自分に気が付いて、なんでだよ、真理だろ、って、余計傷つく。

過ぎたアルコールにふらつきながらその傷の痛みにひとり耐えようとする黒沢が思わずよろめいて倒れてしまうと、それを受け止めてくれる手。安達がずっとついてきてくれていたのでした。
この構図、5話のお姫様抱っこを彷彿とさせて、先に相手を受け止めて救っていたのは安達だったんだ、という衝撃にリアタイ時完全に言葉を失いました。感情が放物線を描いて一瞬で正の無限大へフライアウェイ。お互いがお互いの救いたりえる2人って。待って待って。

顔要員のくせに結局役立たずで、と弱音を吐いた黒沢にそんなことない、充分すごいよ黒沢は、と告げて、小さく笑う安達。何だよ、と聞かれて、

「いや、黒沢っていつも完璧ってイメージだからさ、弱ってるとこ見るの新鮮で、なんかいいな」

と答える。
見た目だけと思われたくなくて完璧にこなそうこなそうとしてきたのに、失態(黒沢のせいではないけど)をおかし、弱音を吐いてみっともないところを見せた。辛い。恥ずかしい。でも全部わかった上でその弱いところがいいな、って、それがいいな、って言ってもらえて黒沢はどんな気持ちだったかと。
母親が子供にするみたいにぽんぽんとその手で落ち着かせようとする安達に、初めて心に触れられた気がした、と泣きそうになるのを抑える黒沢……最初に黒沢に触れて、心に触れたのは安達の方だったのだと知らされてもう胸がいっぱい。

そこから黒沢が安達に思いを寄せていく過程が描かれるのですが、黒沢が見ている安達の好きなところが1話のマフラーのシーンまでずっと繋がっていて、安達のどんな小さなことでも掬い上げて、自分の中の好き、が溢れるまで継ぎ足していった黒沢の7年間が見えるようで、心がぎゅっと潰れそうでした。
そしてそんな好き、を告白を受け入れてもらえなかったことで終わらせようとする黒沢。分かっていたことだ、というのが苦しいです。

「もう忘れるんだ、次会ったら」


・安達の過去と現在と"聞こえること"

「次会ったら、全部元通り。黒沢はそう言った、でも元通りって、何だよ」

次会ったら、をきっかけに安達視点へと移り変わるところが切ないやらお洒落やらでリアタイ時ふおおおおお、って叫んだポイントその3だか4だか105だかです。

告白されて、何も言えなくて、追いかけることも出来なかったけど、それで良かったのか考え続ける安達。
黒沢に触れて聞こえてきた今までの心の声が、全部ぜんぶ離れない、と気付く。ただの"パーフェクト超人"だった同期が、自分と同じく悩んだり焦ったりする等身大の人間で、だから自分も踏み出して他人の役に立てて、その人は自分の良いところを探して見つけて心から好きになってくれる人で、辛い顔をさせたくなくて、もっと知りたいと思って……黒沢に対する思いが安達の中にももう溢れるくらいいっぱいになってる。真摯に向けられた思いに、真摯に応えたいと思うまでいっぱい。

2話で黒沢の思いを聞いて、黙ってはいられないと走り出したそのままに、自分の中に溢れ出した黒沢への思いを伝えるべく駆け出していく安達。
もうこの辺りから実況する手も止まったし、ただひたすら、走れ安達、がんばれ、間に合え、って願い続けていました。


メタ的なことを考えるようであれですが、安達と黒沢は連絡先をお互い知ってるわけなので、闇雲に出張から戻ってくる黒沢を探して走り回るより先に、安達は黒沢に連絡しただろうなと勝手に思っています。ただ、きっと黒沢はそれを見ていなかっただろうな、と。
だから、会社の近く(多分)で安達は黒沢をようやく見つけるし、自分を追いかけてきたと気付いて黒沢もびっくりする。振られた、と思ってるわけですから何だろう?て。
歩み寄る時とどうした?て聞く時、辛い中にも僅かにやはり安達に会えた嬉しさが垣間見えたようで切ないし、安達が開口一番「ごめん!」から入るもんでああ、改めて断りに来てくれたんだ、とその真面目さや律儀さ(そこも黒沢が好きなところなのがね)を思いつつ絶望した表情になるのが相変わらず素晴らしいです。

今まで、(聞こえてきた)黒沢の思いに向き合わず逃げてきたことを謝る安達。俺たち、男だし、同期でいた方がラクだし、でも、と。

「黒沢といると、びっくりすることもあるけど、気付いたら笑ってて、一緒にいるのが心地よくて、そんな時間も悪くないなって思えて」
「いや、そういう理屈とか抜きで、俺、俺、黒沢が好きだ」

対する2人の表情が全てを物語ってた気がしました。好きになるきっかけはお互いにあって、どうして好きか、の理由もある、勿論障害も。でも全部全部ひっくるめて理屈じゃないし、お互いがお互いを選んだことがすべて。一緒にいて楽しい、心地いいから隣にいたいし、もっと笑っててほしい、何をおいてももっと一番近くにいきたい、って思いあえる相手に出会えた、ああ、よかった!
蔑ろにされる鞄(少なくとも4度目)にちょっと笑ってしまいましたが、黒沢がぎゅっと安達を抱きしめたところでもう笑顔ながら涙が溢れました。

「ほんとに、いいの?逃げ出したくなっても、もう離さないけど」
「おう」
「おうって……」

告白のシーンでも思いましたが、黒沢の素の喋り方ってきっとこうなんだろうな、と思います。やだ、とかいいの?とか、もうそれを聞くのは安達だけなの、よかったねよかったね、とずっと笑顔で涙が止まらない。
抱きしめ返すことも出来ずに所在なさげな安達の手がまた安達らしくていいな、と思うのですが、ここで聞こえているはずの言葉にならない黒沢の思いも、黒沢のすげー早い心臓の音も、私たちには聞こえずまた全部安達だけのもの、という演出が素晴らしくて私も言葉にならなかったです。

安達がやがてゆっくり抱きしめ返す。それに気付いて、3話のように首もとに手を回してより引き寄せて愛おしそうに抱きしめ直す黒沢が本当に幸せそうでした。私の好きな歌に「愛しいの文字は、過ぎ去ったもの慈しむ姿」という歌詞があるのですが、7年分の思いを、7年思い続けた過去の自分自身をも一緒に抱きしめていてくれたらいいなと願います。

「俺は、こいつの心に触れるために、魔法使いになったのかもしれない」

7年前、安達はそうと知らなかったけれど黒沢の心に触れていた。7年を経てもう一度触れあえたことで、お互いにとって一番大事な人をあなたがいい、と選び合えた。あんなに要らないと言ってた能力も含めて安達が自分を、黒沢を認めてくれたようで、本当に素敵なシーンでした。


・2人の現在とこれからと"見えること"

さて、お互いの気持ちを確かめ合ったあとの帰り道、まあ〜なんか、フワフワしてる。フワフワしてるのがもう見える。

「そんな緊張しないでよ、俺までなんか、うつる」
「黒沢でも緊張すんの?」
「当たり前だろ!さっき聞こえなかった?俺の心臓の音」
「……聞こえました」
「やっぱり」

ほらもう口調が!ちがう!これが恋人に向ける黒沢の顔なのだと分かるともう、ありがとうございますしか言えないです。

フワフワしたまんま、これからどうする?飯でも?それとも?と黒沢に聞く安達。もう色々いっぱいいっぱいなのはわかるけどそのワタワタした動きが小動物にしか見えない。精一杯初めての恋人に一緒にいようよ、ってアピールするかのような、で。


「それとも?それって、安達の家に行っていいってこと?」


こちらは猛禽類か捕食動物のそれでした。
もう料理とかそういうきっかけなしに大胆に踏み込んでも構わない関係になったわけでして、安達大丈夫か!?て思う反面、7年の片想いを思うともうどんどんいきなはれという気持ちでおります。

オープニングを苦しい中聴いたのに対してこのエンディングのハッピーっぷりよ。
7話までと8話予告を見て、黒沢も安達もきっと素ではこんな感じなんだと思った姿が、エンディングの2人の姿に近付いてきているのが嬉しいです。いつかこんな風に背筋を伸ばし屈託なく笑い、茶目っ気ある掛け合いをしつつ隣を歩いていくシーンが見られたらいいなと思います。
8話は今回切ない2人に出番を譲った柘植と湊くんのターンのようでめちゃめちゃ楽しみなのですが、想いが通じて明らかに浮かれまくってる黒沢が見られそうでこちらも楽しみです。
藤崎さんは黒沢から安達への想いは早々に察してましたが、安達もまた黒沢を想ってることも見抜いてそうだったので、まあ藤崎さんには速攻で気付かれることと思います。
安達も黒沢も"初恋"同士幸せに生きていってほしい。そして、毎朝お互いを選び続けていってほしいです。


改めまして
この場で一言お礼を申し上げたく思います。
前の記事にたくさんコメント頂きありがとうございました。サポートまで、お気持ちだけで本当に本当に嬉しいです。
ネットの片隅で"細かすぎて伝わらないドラまほのここが好き"をひたすらやってるつもりでおりますので、また来週も言葉にならない叫びを書き出すジェットコースターになれたらと思います。
もう最終回までひと月なの愕然とするんですけどスピンオフもあることですし、今年最後に素敵なドラマに出会えたことを感謝しつつ来週を待ちたいと思います。