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『旧暦屋、始めました』レビュー

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『旧暦屋、始めました』仕立屋・琥珀と着物の迷宮 2

春坂 咲月(著)

以前紹介した『花を追え』の二巻目です。あちらはミステリーの優秀賞をいただいているぐらいでミステリーが大きな軸になっていましたが、こちらは、まあ若干謎解きっぽいところはあるものの、それよりもこの、和風・和服・着物の美麗な世界と、主人公の八重ちゃんとイケメン仕立て屋の琥珀の初々しいラブっぷりを楽しむのに比重が置かれてる気がします。

前作では女子高生だった八重ちゃんは奈良の大学へ進学し、それを追って仕立て屋の琥珀も奈良に店を構えます。
↑ここ注目。超イケメンの、その道で名を知られた超優秀で働き者な職人さんが自分にぞっこんで、追いかけてきて店構えてるんですよ? そして自分はそのお店でアルバイトをするのです。なんかもう夢のようですねw

これはもう乙女の夢。少女漫画の世界ではないかと。
顧客(わたし?w)の趣向に合わせての方針転換ですかねw

そして、前回同様、きらびやかな着物うんちく、こだわりがすごいのです。
例えば、現代人は春夏秋冬の四季、4つぐらいしか季節感なかったりしますが、二十四節気や七十二候なんて細かい区切りで季節をとらえ、その時々に合わせて着物や帯や、あわせる小物をチョイスしていたという昔の人の知恵というか生活の楽しみ方。それをつかった謎解きがしょっちゅうでてきます。
それにしても、着物の世界では、そういう季節や着物を使った謎解きや解釈って普通なことなんでしょうかね?w
七十二候なんて約5日単位ですよ? 古文や和歌、俳句を諳んじてるのも必要みたいだし、どれだけ基礎知識が教養として必要なんでしょうかw
登場する着物の達人のおばさま曰く「こだわりは必要や――頑固やゆうて敬遠する人もおるけど、こだわりのないことなんて面白くもない。そもそもこだわりがなかったら、なんぞ突き詰めていくことすらできへんやろ」とのこと。
そのこだわりを楽しみに変えて、わかる人にだけわかるように、こっそりと、でも堂々と、全身を美しく装うのが粋なのでしょうねー。

でもって、そうした小粋な着物たちの描写の美しさったらもう、めちゃくちゃ素敵なのです。ヒロインの八重ちゃんの視点から見えるキラキラの世界がもう乙女心くすぐられまくりでヤバいです。
これは着物ほしくなっちゃいますねえ(買わ(え)ないけどw)

さてさて、着物にトラウマがあって、さんざん逃げ回っていた八重ちゃんも、ようやく着物を着てお仕事をすることになります(それを自分に惚れてるイケメンが縫ってるんですよ!! もういろいろ爆発案件ですね!><)。
今後、彼との距離も、着物との距離もさらに近づいていくのでしょうか。(でしょうね、きっとw)
3巻目の表紙ではとうとう着物着ているので、もうあらかた想像はついちゃっているのですが、今後に期待なのですw

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