マガジンのカバー画像

らせんの本棚

218
SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
運営しているクリエイター

#らせんの本棚

『リファクタリング・ウェットウェア』レビュー(と勝手な解釈、そして達人な学習のススメ)

『リファクタリング・ウェットウェア』 ―達人プログラマーの思考法と学習法Andy Hunt(著) / 武舎広幸・武舎るみ(翻訳) ◇ わたくし、その道のプロの考え方や学習方法ってとっても興味あります。 これは、尊敬するプロのプログラマーさん、いわゆる達人プログラマーさんからおすすめ頂いた本です。 ウェットウェア、すなわち、固いハードウェアでも柔らかいソフトウェアでもない、ウェット(濡れてる?)ウェア、つまりは脳みそのことです。それをリファクタリング(機能を保ったまま改善

有料
100〜
割引あり

『男たちを知らない女』レビュー

『男たちを知らない女』クリスティーナ・スウィーニー=ビアード (著) / 大谷真弓 (翻訳) ◇ 新型コロナ禍の渦中に書かれたパンデミックSFです。 ◇ とてつもない感染力をもつ、イギリスを発生源にしたこの疫病は、女性には健康被害を与えないかわり、感染した男性のじつに9割を死に至らしめます。 この疫病の第一発見者であり、早い段階で危険を察知し独力で感染経路までも特定した優秀な女医が警鐘を鳴らしたものの、関係機関(の男性たち)は女性特有のヒステリックなたわごととして一笑

『ユニコード戦記』レビュー

『ユニコード戦記』─文字符号の国際標準化バトル小林龍生 (著) ◇ ジャストシステムという会社があります。かつて、一太郎というワープロソフト(まだありますw)でぶいぶい言わせて、一太郎用の日本語フロントエンドプロセッサ(なんて今ではもう言わないとおもうけれど。IMEかな?)のATOKで、あらゆる(日本語での)文章書きのハートをわしづかみにして一世を風靡した、老舗の、特に日本語処理関係に超強い会社です。 そこに、教育雑誌の編集者(小学館で、かの『ドラえもん』担当編集者だった

『天翔ける十字軍』レビュー

『天翔ける十字軍』ポール・アンダーソン(著)/豊田有恒(訳) 「外れなし」の異名を持つポール・アンダーソン先生の書かれた異色SFです。 というかんじの中世テイストSF。なんだか言葉通りの意味でのスペースオペラ(?)になっています。 面白いのは全編がその十字軍の宇宙遠征に帯同した愚僧ことパーブス修士(修道士)が過去を回想してしたためた年代記という設えになっていることです。 なので、言い回しがとっても古風。それなのに光線兵器は出てくるわ超光速航法は出てくるわ。この文体と出来

伊豆ジオ100めぐり。ガイドブックの紹介と実際にうろうろした話。

最近、こんな本を見つけてしまったもので、伊豆のジオスポットめぐりにはまっていたりします。 伊豆ジオ100ガイドブックの紹介ま、某漫画の影響も全くないとはいえないですけれどねw ※改めて某漫画をぺらぺらめくってみると、行ったことある所がたくさんでてきていてびっくりw これはこれで聖地巡りはかどりそうw さてさて、閑話休題。 そもそもジオパークって? ジオパークというやつは世界遺産などと同様に、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)が推し進めているプログラムなのだそう。

『ニセモノの錬金術師』が良いよ☆彡

『僕の妻は感情がない』で有名(?)な杉浦次郎先生原作の転生系ファンタジー漫画です。 『僕の妻は…』は杉浦先生ご自身による漫画作品なのですが(これはこれでほっこりアンドロイドSFでけっこう好き☆) 今回商業出版された『ニセモノの錬金術師』は、以前からpixivやニコニコ漫画で杉浦先生がラフ版として絵コンテ状態で発表されていた先生の趣味(?)感いっぱいの錬金術師&呪術もの。最初の方は結構絵がはいっていましたが、内容が加速するにつれ絵の方をつけていく時間がたりなくなっていったよう

『瑠璃の宝石』レビュー

『瑠璃の宝石』 渋谷圭一郎(著) 💎 谷川瑠璃(たにがわ・るり)は綺麗なモノに憧れる女子高生。祖父がかつて近くの山で水晶を拾っていたと聞き、自分でも採れるのではないかと山に出かけてしまう行動力の持ち主。 そんな山中で出会ったのは鉱物を研究している大学院生の荒研凪(あらと・なぎ)。骨董市で見つけたという外国製の戦槌(ウォーハンマー)を背負って山歩きするような変わり者ではあるのですが、自然科学に対する姿勢と鉱物の知識は本物で、何も解らない初心者の瑠璃を水晶の鉱床へと導くのでした

『ドードー鳥と孤独鳥』レビュー

『ドードー鳥と孤独鳥』川端裕人:著 🦤 この素晴らしい装幀でこそ包み込める、厳粛で、壮大な生物史の物語。 遺伝子、ゲノムから細胞、生物、命、生物相、土地、気候、環境、そしてすべての歴史の、めぐるめぐる堂々巡りの旅路。 これは本当に一言では説明も紹介もしづらい、心をゆさぶる物語。 そう、フィクションだからこそ書くことができた物語。しかし、とても現実的、知的、史実的で、コロナ騒動を経た「今」だからこそ書かれるべきだったのではないか。そして、川端裕人という著者の仕事歴、作品歴

『ウォーシップ・ガール』レビュー

『ウォーシップ・ガール』 ガレス・L・パウエル(著/文) / 三角 和代(翻訳)◇ 日本語でいえば戦艦少女。艦コレかしらん? なんて思って手に取った本。表紙の娘の表情がいいかんじ。どうやらこの子が主人公(?)。 殺戮兵器(宇宙戦闘用重巡洋艦)を己の身体として操作をしているAIがこのタイトルの戦艦少女さんのようです。 「トラブル・ドッグ」と名付けられた彼女は、人間の脳細胞を元に培養・育成された生体由来のAIで、群れで生きる犬の細胞も混ざってアレンジされているからか、命令には

『科学でかなえる世界征服』レビュー

『科学でかなえる世界征服』 ライアン・ノース (著), 吉田 三知世 (翻訳) 🌎 みんな大好きスーパーヴィランに、なる、なれる、なっちゃう本です。 なんせスーパーですからね、たんなるヴィラン(悪者)じゃなく、そんなものは超越したスーパーなヴィランです。 ヒューマンを超越したスーパーマンのごとく、(あの方って単にすごい人。じゃなく明らかに人間を超越した超能力もってるでしょ?)スーパーヴィランたるもの、力は機関車より強く、弾丸すら跳ね返し、高いビルを蚤のように飛び越すどころか

『宙(そら)の名前』レビュー

『宙(そら)の名前』(新訂版)林完次(写真・文)☆彡 宙と書いて「そら」と読ます、ちょっぴりキラキラネームな本。 前回紹介した『空の名前』と読みがおんなじな公式パチモノ、、じゃなくて類似品? なのかしらんと思ったらどうやら逆なようで、もともとオリジナルはこちらの原本が『宙(そら)ノ名前』(光琳社出版)として1995年に出ていたようですね。『宙』のほうが早く。『空』のほうが類似品だったようです。(『空』は初版発行が1999年。『宙』の改訂版がKADOKAWAさんから出たのが2

『空の名前』レビュー

『空の名前』 高橋健司(写真・文)⛅ まだまだ暑い日が続いていますね~。 夏はお空を眺めることが多くなり、ついつい雄大な雲を見上げて「ぼへえええー」としている今日この頃。あんまりぼおっとしすぎて熱中症になりかけたり(あぶない)しています。 以前、こんな本を紹介しましたわたくしですが、 夏のダイナミックな空(というか雲)を眺めるのってほんと大好きなんですよー。 だんだん大きくなっていく雄大積雲の成長なんて、眺めているだけでご飯三杯はいけそう。あれ、お砂糖かけたらおいしそ

真夏のおしらせ! 無料キャンペーンやってるますよー☆

めっちゃ暑いですね!>< 酷暑な夏休みにおすすめのSF短編集の無料キャンペーンのおしらせですです! と、 の二本を、本日11日から、8月16日 (水) 15:59 まで無料キャンペーンいたします! 念のためリンク。 こちらと、 こちらですね。 さらにさらに! このキャンペーンはこちらの作品と合同で行わせていただいています。 そう、めちゃ暑い夏にぴったり(?)のクールな本ですね! こちらももちろん期間限定で無料です! てなわけで、クールで激しくお勧めの内容の3

『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3』レビュー

『 ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 3 』小川一水(著) ♡ 来た来た、キマシタ! 第三巻!! もう1,2巻は読まれてますヨネ? え? まだお読みでない?? ソンナバカナ、全人類が読むべき(言い過ぎ)の『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』シリーズを、まだお読みでない?? まあ、それも良いでしょう。いまから楽しめるんですからね。 ちょうど今、kindle Unlimitedの読み放題対象に小川一水センセの作品群が沢山はいっていて、その中に『ツインスター・サ