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らせんの本棚

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SF、ファンタジー、実用書からマンガ、画集、絵本などなど、アトランダムに紹介するレビュー集。神楽坂らせんが読んで「グッ!」と来た本を不定期に紹介していきます。もちろんネタバレはな… もっと読む
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2021年4月の記事一覧

『人之彼岸』レビュー

『人之彼岸』(ひとのひがん)郝 景芳(ハオ・ジンファン)(著)/ 立原透耶・浅田雅美(訳) ◇ 『折りたたみ北京』で、『三体』に続いてヒューゴー賞を中国SF界にもたらした郝 景芳(ハオ・ジンファン)さんの短編集です。 彼女は1984年に天津市で生まれ、清華大学で天体物理を学び、その後、経営学と経済学の博士号を取得。なるほど『折りたたみ北京』の著者らしいプロフィールです。けしてどっちつかずではなく、理系と文系の両方を専門にしている作風が素晴らしい。 境界線があいまいで、

『折りたたみ北京』レビュー

『折りたたみ北京』 現代中国SFアンソロジー #ケン・リュウ /編 ◇ 『紙の動物園』で知られるケン・リュウさん(中国読みで劉宇昆=リウ・ユークン)が編纂・英訳した、気鋭7名の中国作家による13作品+3本のエッセイ+ケン・リュウさんの序文+各作家の紹介文、という、ちょー盛り沢山。詰め込みに詰め込みまくった中国SFのアンソロジーです。 今、中国SFがとってもアツいわけですけど、『紙の動物園』のようにご自身で書くだけでなく、あの劉 慈欣(リウ・ツーシン)作『三体』の英訳